12月21日~12月31日

12月23日(名)
作業中
多田 有花
津久見から届きし蜜柑を並べおり★★★
バロックを静かに流し冬なかば★★★
市川に鴨のつがいの浮かびおり★★★

小口泰與
一か所に数多集いし冬の鳥★★★
カメラマン息を殺して冬の朝★★★
枝々に数多の鳥や冬の庭★★★

廣田洋一
着ぶくれて電車の席をはみ出せり★★★
行く年の川の流れを見ておりぬ★★★
障子見て夜明けを知りぬ4畳半(原句)
障子より夜明けのひかり四畳半(正子添削)

桑本栄太郎
山茶花の赤の咲き満つ垣根かな★★★
山茱萸の枯木に赤き実のあまた★★★
鳴き交わす鳥の水面や蓮枯るる★★★

12月22日(4名)
小口泰與
柿落葉表を上に流れけり★★★★
上州の風は鬼子や寒牡丹★★★
屁踊りの幕は下りたり冬の闇★★★

多田有花
冬至の鉢植えガーデンシクラメン★★★
冬至かな淡く残りぬ朝の虹★★★★
一陽来復西洋たんぽぽ旅立ちぬ★★★

桑本栄太郎
待合の無言の人よ冬ざるる★★★
中庭に落葉つもりぬ待合所★★★
診察の果てて挨拶年暮れる★★★

土橋みよ
冬雲の切れ間に青き空生まる★★★
柿の木の枝それぞれに寒雀★★★
冬バッタ枝を伝いて歩きけり★★★

12月21日(3名)
桑本栄太郎
白き実を晒す寒風アメリカ楓★★★
見た目にも華やぎあらぬ枇杷の花★★★
しぐるるや目鼻分かたぬ辻地蔵★★★

多田 有花
冬の陽の低しサングラスを掛ける★★★
大根の柚子浅漬けを作りおり★★★
冬の薔薇やわらかき陽に包まれて(原句)
やわらかき陽に包まれて冬の薔薇(正子添削)

上島祥子
図書室の冬灯数多に学び人(原句)
図書室の冬灯数多の学ぶ人(正子添削)
オリオンの南に位置する子の帰宅★★★
出入りを重ねる度に雨は冷え★★★


コメント

  1. 多田 有花
    2025年12月22日 8:11

    正子先生
    12月21日の拙句
    「冬の薔薇やわらかき陽に包まれて」を
    「やわらかき陽に包まれて冬の薔薇」に添削いただき
    ありがとうぎざいます。
    倒置ではなくそのままよみくだすと「やわらかさ」が
    素直に伝わる感じがわかりました。

  2. 髙橋正子
    2025年12月22日 12:17

    倒置などは、詩や文章の技法のひとつで、効果の狙いがあります。
    普通によみくだしているからよい、と言う判断ではなく、下五が「冬の薔薇」と体言止め(名詞止)になっているので、句に緊張感と格がうまれているわけです。

  3. 土橋みよ
    2025年12月22日 18:36

    冬雲の切れ間に青き空生まる
    柿の木の枝それぞれに寒雀
    冬バッタ枝を伝いて歩きけり