12月16日

●小口泰與
甲高き二羽の鶏声冬田かな★★★★
冬田にまで聞こえる鶏声か。二羽が甲高く鳴き合っている。この甲高い鶏の声は、寒い冬を一層寒々とさせる。(高橋正子)

竹林に鳥影ありし暖炉かな★★★
うす雲を透かす落暉や枯尾花★★★

●祝恵子
庭師らは寺に冬苗運び入れ★★★★
何の苗か。正月を迎える葉牡丹などであろうか、あるいは苗木か。庭師が入って寺の庭が年末新たになる。(高橋正子)

冬芽吹く目を凝らして枝見れば★★★
風任せなれど落葉は遠くまで★★★

●多田有花
焚火囲む朝の仕事の始まりに★★★★
建築現場など早朝からの戸外の仕事は、まず、暖を取ってから。木くずなどを燃やして焚火をする光景は、昔から変わっていない。(高橋正子)

一年の長さ短さ忘年会★★★
連山の彼方に雪の降りしきる★★★

●桑本栄太郎
白き実の揺るる並木や風冴ゆる★★★
街をゆく吾を追いかけ木の葉舞う★★★
土乾き冬田ほろほろ日射しけり★★★

●古田敬二
ベートーベン落葉の公園にまみえけり★★★
石畳冷え初む夕べをオペラ座へ★★★
開演を待つ間のウイーンの夜の冷え★★★

●川名ますみ
青々と葉の付きしまま蜜柑着く★★★★
蜜柑の荷を開けると、明るいオレンジ色が目に飛び込んでうれしいものだが、それに青々とした葉がついていれば、色は一層鮮やかになる。送り主の心遣いも忍ばれる。(高橋正子)

聖樹背に笑い損ねし写真かな★★★
葉を捨てて桜にまるき冬木の芽★★★


コメント

  1. 小口泰與
    2013年12月17日 10:26

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    12/16の投句に★印のご指導を賜わり、その上正子先生には「冬田」の句に素晴らしい句評を頂き有難う御座います。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  2. 祝恵子
    2013年12月17日 10:45

    お礼
    信之先生、正子先生、★印のご指導ありがとうございます。「冬苗」に嬉しい句評を頂きましてありがとうございます。

  3. 多田有花
    2013年12月17日 17:42

    お礼
    信之先生、正子先生、
    「焚火囲む朝の仕事の始まりに」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
    直で焚き火というのは見られなくなり、ドラム缶などに廃材を入れて焚火をされるています。
    寒い朝、仕事への意気を感じる光景でした。

  4. 川名ますみ
    2013年12月17日 23:20

    お礼
    信之先生、正子先生、いつも★印のご指導とあたたかいご講評を賜りまして、感謝いたします。
    「路地曲がり」の句は、先日のお食事会の帰り、路地を曲がった途端に広がる、大隈講堂の銀杏並木を見てのこと。近くまではよく訪れていましたが、大隈講堂へ、まして銀杏の美しい時期に、は初めてでしたので、貴い景との出遇いが叶いました。
    「青々と」は、ご近所の方が、蜜柑を摘んでいらしたお土産を下さって。「葉っぱもきれいでしたから」と枝や葉をつけたまま頂き、色も香りも、それは鮮やかな賜り物でした。「送り主の心遣いも忍ばれる」その通りの心持ちでございます。

  5. 川名ますみ
    2013年12月17日 23:21

    お礼
    信之先生、正子先生、いつも★印のご指導とあたたかいご講評を賜りまして、感謝いたします。
    「路地曲がり」の句は、先日のお食事会の帰り、路地を曲がった途端に広がる、大隈講堂の銀杏並木を見てのこと。近くまではよく訪れていましたが、大隈講堂へ、まして銀杏の美しい時期に、は初めてでしたので、貴い景との出遇いが叶いました。
    「青々と」は、ご近所の方が、蜜柑を摘んでいらしたお土産を下さって。「葉っぱもきれいでしたから」と枝や葉をつけたまま頂き、色も香りも、それは鮮やかな賜り物でした。「送り主の心遣いも忍ばれる」その通りの心持ちでございます。