12月8日(3名)
多田 有花
風なくも木々は落葉を急ぎけり★★★★
不揃いの小さき蜜柑をいただきぬ★★★
冬川の上を飛び行く鷺の群れ★★★
廣田洋一
もぎ立ての冬柿数個頂きぬ★★★
夜明け前毛布一枚重ねけり★★★
牡蛎フライ揚がるを待ちて酒を酌む★★★
土橋みよ
菰巻かる一本松の影の濃し★★★★
参道に南天の房赤く垂る★★★
門前に友の笑顔や息白し★★★
12月7日(4名)
多田 有花
冬菊の日差しへ冬の虫の来る★★★
初霜の薄く家並を覆いけり★★★★
大雪や今日は町内一斉清掃★★★
廣田洋一
日を浴びてふくらみ見せる冬木の芽★★★★
冬の月天頂近く照らしおり★★★
地震の後復活したる牡蛎フライ★★★
小口泰與
遠き日の燃え立つ焔寒月光★★★
刻限をわきまう赤城颪かな★★★
このあたり猟師の里や囲炉裏端★★★
桑本栄太郎
あおぞらに雄々しく起ちぬ枯木かな★★★
籾殻のけぶり立ち居り冬日さす★★★
群がりて柿を食い居りすずめどち★★★
12月6日(4名)
小口泰與
雪浅間熔岩原へ風吹きにけり★★★
暖冬や素直に生きて山住まい★★★
冬いちご分け合う数の軽さかな★★★★
桑本栄太郎
あおぞらに鉄塔並ぶ冬の嶺★★★
葉を落とし冬芽くいくい青空に★★★
吹き溜まるいろは楓の落葉かな★★★
多田 有花
冬満月床をのべたる部屋にさす★★★★
がまずみの赤き実なりや十二月★★★
今宵一枚毛布加えて休む★★★
廣田洋一
地を覆う銀杏落葉のあでやかに★★★
マンションの灯りは消えて冬の月(原句)
マンションの灯りの消えて冬の月(正子添削)
賜りし冬柿食べるお八つかな★★★
12月5日(4名)
多田 有花
凩が夜更けの窓を叩きけり★★★
ランドセル駆ける落葉の公園を★★★
地を覆う銀杏落葉をそっと踏み★★★
廣田洋一
週末はおでんと決めし妻逝きぬ★★★
ゲートボール落葉掻きより始めたり★★★
鴨増えて橋の上より弾む声★★★★
小口泰與
四方山の支流飲み込む冬の利根川(とね)★★★
朝晩のどかっと襲う寒さかな★★★
庭の木木枯葉を鎧う風の中★★★
桑本栄太郎
満天星の緋色となりぬ寒波来る★★★
あおぞらの高きに舞いぬ木の葉かな★★★★
初雪の気付く朝や消えかかる
「の」が問題です。クセ?(髙橋正子)
12月4日(4名)
土橋みよ
直送の鮃こぶ締め囲炉裏端★★★
寺の柚子香の抽き出され化粧水★★★
店先に並ぶ樅木と鏡餅★★★
句材、目の付け所はいいです。あと一歩です。(髙橋正子)
小口泰與
寒夜読む俳句歳時記重きかな★★★
夜もすがら空風吹くや我が髪膚★★★
上州は四方山よりの空つ風★★★
桑本栄太郎
吹き晒す風のほほ過ぎ寒波来る★★★
裸木のすつくと立ちぬ青き空★★★★
バス道の片辺に寄りぬ落葉かな★★★
多田 有花
冬晴へいまだ黄金の銀杏あり★★★
書き物にふと手を止めれば日短か★★★★
木枯しに互いに吹かれているばかり★★★
「互いに」が誰と誰、あるは、何と何 がわからないので、おしいです。(髙橋正子)
木枯に我ら互いに吹かれいる(正子添削例)
12月3日(5名)
小口泰與
明け六つの寒さ刃の如きかな★★★
日を受けてしゃんと伸びたる冬木の芽★★★★
山の沼水潜りせる鴨一羽★★★
多田 有花
石蕗の花咲けばほのかに江戸情緒★★★
つと刷毛をふれるごとしや冬の雲★★★★
葉を落とす枝が触れたり冬の雲★★★
桑本栄太郎
吹き溜まり彩となりたる落葉かな★★★
葉を落とし冬芽ばかりの銀杏かな★★★★
尖りたる木々の梢や寒波来る★★★
廣田洋一
残業の憂さを晴らしぬおでん酒★★★
ICUに留まる友や冬の月★★★
白々と湧きては流れ冬の雲★★★
友田修
散る紅葉そぼ降る雨に濡れ光る★★★
青空やはらはらと舞う紅葉かな★★★
留まりや盛る紅葉の散りぬるを★★★
12月2日(6名)
川名ますみ
蜂蜜の色して銀杏散りそめる★★★
いっぱいに膨れて銀杏黄葉散る★★★
銀杏黄葉ふくれ弾けるごとく散る(原句)
銀杏黄葉樹の膨らみて弾け散る(正子添削)
上島祥子
指先に息吹きかける午後の冷え★★★
かくれんぼ冬の落葉に身一つ(原句)
かくれんぼ落葉の中に身一つ(正子添削)
「落葉」は冬の季語です。(髙橋正子)
冬芝に木立の陰が迫り来て★★★
桑本栄太郎
山茶花の咲き初めいたる八重一輪★★★
綿虫尾の手にとどまるや翅たたむ★★★
冬菊の括られ咲きぬ畑の隅(原句)
「畑の隅」では、景色が平凡になります。括られた冬菊の様子を表現するといいです。添削は、括った紐に注目しました。(髙橋正子)
冬菊の紐あたらしく括られぬ(正子添削)
廣田洋一
リサイタル終えし上野の月冴ゆる★★★★
コンビニのおでんの匂い昼餉時★★★
笑顔にて糶落としたる本鮪★★★
小口泰與
どっしりと長き裾野の冬赤城★★★
寒雀我が物顔に庭荒らす★★★
水槽の静かに暮れて冬目高★★★★
多田 有花
冬の夜の光の中の城仰ぐ★★★
ふるさとはすでに雪かも冬林檎★★★
冬の朝雲の並びへ陽の差しぬ★★★
12月1日(5名)
多田有花
彩や師走迎える玄関に★★★
古暦へなすべきことを書き加え★★★
師走入り風まだ優しき播磨かな(原句)
師走に入り風まだ優しき播磨かな(正子添削)
「師走入り」が日本語として、不自然にひびきます。
※12月1日の投句を更新したのですが、反映されていませんでした。失礼しました。(髙橋正子)
小口泰與
雨の中よくよく見たる寒牡丹★★★
冬晴れや三山見事稜線を★★★
赤城より襲い来たりし空っ風★★★
廣田洋一
句会場予約したるや師走入り★★★
冬柿や主亡き家に実りおり★★★
冬天に澄みたる声や園児達★★★
土橋みよ
境内の紅葉拾いて台湾へ★★★
ひび割れし苅田に糠の山一つ★★★★
雨降りて柿落葉載せる地蔵様★★★
桑本栄太郎
落葉掃くあとよりはらり落葉かな★★★
手のひらに乗せて綿虫撮りにけり★★★
小春日や吾が影追いて歩き居り★★★
コメント
正子先生、恐れ入りますが、私の投句が反映されておりません。
12月1日分です。よろしくお願いします。
彩や師走迎える玄関に
古暦へなすべきことを書き加え
師走入り風まだ優しき播磨かな
高橋正子先生
12月6日の「マンションの灯りは消えて冬の月」を「マンションの灯りの消えて冬の月」と添削して頂き有難うございます。中七がすっきり致しました。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。