●小口泰與
冬霧の覆わる丘の灯しかな★★★★
詩情のある句。冬霧に覆われた丘に静かに点る灯が、なお柔らかな灯となっている。冬霧の季語が効いている。(高橋正子)
トンネルを出づや目交冬紅葉★★★
素朴なる冬の黄葉や奈良井宿★★★
●河野啓一
柿の葉の実を養えば色褪せず★★★
坂道を下れば浜辺冬の浪★★★
枯れ蓮の残りし池や散歩道★★★
●小西 宏
梯子より上は鴉に柿を干す★★★
子のひとり落葉の中の滑り台★★★★
落葉の積る公園だろうか。ひとりの子どもが滑り台をしている。幾度も幾度も滑っているのだろう。滑り台を楽しむというより、好きで集中している子に面白さ、頼もしさを見る。(高橋正子)
静空の枝に音触れ木の葉ふる★★★
●桑本栄太郎
活き活きと雨の畑の冬菜かな★★★
ワイパーの時折振れて時雨れけり★★★
蔦紅葉バスの家路の坂道に★★★
●多田有花
近隣の銀杏色づき冬の雨★★★
雨あがりすぐに日差しや冬紅葉★★★
昼の陽に蝶の飛び来て冬菜畑★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
11/15の投句に★印のご指導を頂き、その上、正子先生には素晴らしい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。有難う御座いました。
お礼
高橋正子先生
「子のひとり落葉の中の滑り台」への嬉しいお言葉、たいへんありがとうございます。先生のお見立ての通り、子供は一つのことに熱中し、滑り台の回りから離れません。遠景に引いて見れば、落葉の中の静かな公園の景色。