11月11日~11月20日

11月15日(5名)
友田修
朝日差す今は明るき枯野かな(原句)
朝日差す今ぞ明るき枯野かな(正子添削)

日差し受け透けて交わる紅葉かな(原句)
日差し受け透けて交わる紅葉の枝(え)(正子添削)

柔らかき日差しもらいて散る紅葉★★★★

多田 有花
ひつじ穂をつけて並べる十一月★★★
冬紅葉煙らせ雨の降りしきる★★★
じょうびたきの鳴き声響く浅き冬★★★★

小口泰與
透き通る空の蒼さや冬の朝★★★
裾長き赤城の嶺や雪催★★★
空っ風風の呼び名の大八洲★★★

桑本栄太郎
綿虫の浮かぶ日差しや風のなく★★★
橡の葉のガサと踏み行く落葉かな(原句)
元の句は、日本語の文法にあわせると、意味が通じません。(髙橋正子)
橡の葉の落葉をガサと踏み行けり(正子添削)

沈み込むような蒼空冬日さす★★★

廣田洋一
切干や一人の酒の進みおり★★★
小春日や半袖着たる異国人★★★
デフリンピック競技始まる小春かな★★★

11月14日(3名)
桑本栄太郎
さくさくと又もくもくと落葉踏む★★★
学校の始業チャイムや小春日に★★★
上枝(ほつえ)より冬の紅葉の楓かな★★★

小口泰與
冬なれど利根の流れのふとぶとし★★★
貰いたる蜜柑に里の日の温み★★★★
赤城嶺の忠治の声の空つ風★★★

多田 有花
陽を受けているばかりなり冬紅葉★★★★
冬の散歩盗人萩を連れ帰る★★★
柿いまだたっぷり初冬の枝にあり★★★

11月13日(5名)

多田 有花
冬の薔薇ポケットパークの一画に★★★
南天の赤さ深まる頃となる★★★
「頃となる」にはやさしい抒情的なひびきがあります。もう少し句をふかくするには、「頃となる」に工夫がいるでしょう。(髙橋正子)
南天の赤さ深まる時が来ぬ(正子添削例)

小春日の畑にぽつぽつ人の影★★★

廣田洋一
真夜覚めて窓越しに見る冬の星(原句)
「見る」を工夫するといいと思います。(髙橋正子)
真夜覚めて窓越しにある冬の星(正子添削)

冬耕の終わるを待ちて群れ雀★★★
風除けの樹の囲みたる大農家★★★

桑本栄太郎
あご髭の堅くとがりぬ冬の朝★★★
時雨れ降る窓の明かりの庭木かな(原句)
「窓の明かりの庭木」がわかりにくいです。(髙橋正子)
時雨降る窓の明かりに庭木かな(正子添削)

冬ざれやテレビ付け食う妻の留守★★★

土橋みよ
 茨城空港3句
降り立てば牛糞の匂い秋の風★★★★
秋夕焼温室群の光りだす★★★
行く秋や乗客の列に機影差し★★★

小口泰與
忽然と地震(ない)の起こるや冬の夜★★★
冬紅葉散るを促す風の中★★★
競走馬の肉は硬しや雪催い★★★★

11月12日(2名)
小口泰與
里の冬もろもろの影躍動す★★★
寒雀もんどり打って樋の中★★★
百とせの利根の流れや寒の声★★★

桑本栄太郎
川べりの色づき来たる草もみじ★★★
穂すすきやパンパグラスと云う白に★★★
金柑の色づき来たる垣根かな★★★

11月11日(1名)
桑本栄太郎
梢より裸となりぬ銀杏黄葉★★★
遠山の日差し明かりや冬紅葉★★★
橡の葉の枯葉踏みゆく散歩かな(原句)
橡の葉の枯葉踏みゆく朝(あした)かな(正子添削)
「踏みゆく」があるので、「散歩」は省くのがいいと思います。(髙橋正子)


コメント

  1. 廣田洋一
    2025年11月15日 8:33

    高橋正子先生
    いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
    11月13日の「真夜覚めて窓越しに見る冬の星」を「窓越しにある」と添削して頂き、有難うございます。見るだと叙述文に近いなと思っていました。
    写生にして頂き、有難うございます。

  2. 多田 有花
    2025年11月15日 10:27

    正子先生
    「南天の赤さ深まる頃となる」を
    「南天の赤さ深まる時が来ぬ」に添削いただきありがとうございます。
    「明るくて深い」句にするためにはこうした工夫が必要ですね。
    原句では漠然としていたものがきっぱりとしたものに変化したのがわかります。