11月6日(2名)
廣田洋一
切干大根ちりちり縮む軒の下★★★
朴落葉子への土産に拾いけり★★★★
冬耕や鴉が後を追いかける★★★
桑本栄太郎
朝の窓開けて明かりの黄葉かな★★★
水色の空に日差しや冬隣る★★★★
いづこより匂い来たるや金木犀★★★
11月5日(4名)
上島祥子
十三夜小雨を払う光かな★★★
回覧板届ける門の夜寒かな★★★★
(17歳の猫の葬式を終えて)
木犀の豊かに香る忌日の夜★★★★
廣田洋一
園児らの駆けまわる声小春かな★★★
酢醬油の切干が好き赤提灯(原句)
酢醤油の切干好み赤提灯(正子添削例)
「好き」を「好み」にかえ俳句的な余白を生むようにしました。どちらがお好きかです。(髙橋正子)
模造品の生垣並べ風除に★★★
桑本栄太郎
黄葉の窓の明かりの朝かな★★★★
生り年と云えど我が家の柿ならず★★★
ながめつつ推敲したり庭紅葉★★★
小口泰與
寄り添いて二羽の雀や秋の夕★★★★
目覚めれば秋翡翠の鋭声かな★★★
眼路の先秋翡翠の羽の色★★★
11月4日(3名)
小口泰與
見つめいる秋翡翠の羽の色★★★
水底に魚影走る暮の秋★★★
忽然と浮かぶ俳句や秋うらら★★★
廣田洋一
板塀の傾ぎたる家朱欒熟る★★★
剣先を揃えたるごと葱畑(原句)
葉の剣を揃えあおあお葱畑(正子添削)
朴落葉空にぽっかり穴を開け★★★★
桑本栄太郎
あおぞらの錦秋なりぬ在所かな★★★
校門のさくら紅葉の枝垂れ居り★★★
枝先に小花ありたる萩は実に★★★
11月3日(4名)
小口泰與
大利根へ瀬瀬の入り込む下り鮎★★★
やれはすや爺婆遠出諦めし★★★
青空へ秋夕焼の雲の色★★★
桑本栄太郎
青き実のままに転がる木の実かな★★★
鶏頭の赤のきわまる今朝の冷え★★★★
朝日差す銀杏黄葉やバス通り★★★
廣田洋一
文化の日小豆飯を炊きにけり★★★
焼芋の香りこうばし駅の前★★★
切干や日毎縮まる軒の下★★★
11月2日(4名)
小口泰與
秋鴨の澄みし鋭声や飛び立ちし★★★
秋鴨の声みずみずし朝の沼(原句)
秋鴨の声あたらしや朝の沼(正子添削)
鴨の声を「みずみずし」とするには、すこし飛躍がありすぎるように思いますので、添削しました。
みどり子の桃のほっぺへ日の当たり
「桃のほっぺ」の「桃」は比喩なので、これをを季語とするには、無理があります。(髙橋正子)
桑本栄太郎
秋澄むやテニスボールの音弾む★★★★
日を透くやさくら紅葉の儚さよ★★★
幼子の我を見つめる秋うらら★★★
廣田洋一
休耕地占拠背高泡立草★★★
色付きて鈴なりの柿ここかしこ★★★
初鴨や番で来たり街の川★★★
多田 有花
ワイパーの動き確かめ秋の雨★★★
雨上がり帚木紅葉鮮やかに★★★
南天の色づき初めて冬近し★★★
11月1日(4名)
小口泰與
肌寒や丸寝の我を起こしける(原句)
肌寒や丸寝の我の起こされし(正子添削)
「肌寒」を感じたのは、自分(我)なので、「起こし」の主語(自分以外の人)とねじれています。
添削は、主語を自分(我)に統一しました。(髙橋正子)
水際より逃げ去る魚や石たたき(原句)
「石たたき」と「水際より逃げ去る魚」の関係がわかりませんので、添削しました。(髙橋正子)
石たたき水際の魚を散らしけり(正子添削)
みすずかる信濃の湖の夕月夜★★★
桑本栄太郎
谷あいの彫の深さや山彩る★★★
溝川のこぼこぼ流れ秋深し★★★★
白壁の土塀崩れり秋の里★★★
廣田洋一
大枯野匂い立ちたる日の光★★★★
湿原に舞い下り来たる鶴の群★★★
落穂拾い去りたる後に群れ雀★★★
土橋みよ
仰ぎ見て雲間に垂れる青橙★★★★
蕾持ち寺を見下ろす白椿★★★
冬座敷源氏講話聴く古典の日★★★
コメント
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
11月4日の「剣先を揃えたるごと葱畑」を「葉の剣を揃えあおあお葱畑」と添削して頂き有難うございます。葱の青さが良く出てると思います。
また、11月5日の「酢醬油の切干が好き赤提灯」を「酢醤油の切干好み赤提灯」と添削して頂き有難うございます。原句は叙述的だなと思っていました。仰る通り添削後、俳句的余白が生まれました。
実に有難うございました。