1月30日
●小口泰與
山茶花のむらがりこぼる風の街★★★
盆栽の松に鋏や息白し★★★
菓子を売り有為転変の四音かな★★★
●多田有花
寒晴れに甍の波の光りおり★★★
雨降って寒の終わりの近づきぬ★★★★
このごろの天気を見ていると、たしかに一雨ごとに寒の寒さが緩んでいるようだ。その事を技巧を使わず句にした良さがある。(高橋正子)
寒の雨音楽を聴き絵を描く★★★
●桑本栄太郎
<故郷の冬の追憶>
寒凪のはるか遠きや隠岐の島★★★
海苔掻きや潮のうねりをかわしつつ★★★★
天然の海苔は岩についている。潮はときどき、大きなうねりを作って寄せてくるときがあるが、そのときは待ち、うねりが逃げてまた海苔を掻くことを繰り返す。「うねりをかわしつつ」がリアルで、潮の様子が見え、磯の香りがしてくるようだ。(高橋正子)
氷柱融け楽となりたる軒端かな★★★
●河野啓一
ひさかたの光かそけく寒の雨★★★
夜通しの雨や草木も雨待つ心★★★
友の顔みざるデイの日氷雨かな★★★
1月29日
●小口泰與
山風にさらさる梢(うれ)の木の葉かな★★★
利根川の威の白波や虎落笛★★★
白波の広ごる湖やおでん鍋★★★
●多田有花
晩冬や土鍋で昼の飯を炊く★★★★
「昼の飯を炊く」生活もあるのだ。日が高く昇り、朝の寒さがとれたころ、ゆっくりと土鍋で飯を炊く。土と火の生活に古代に帰ったような気持ちになるのだろうか。(高橋正子)
快晴の空を仰げば春近し★★★
春隣る空気を胸に吸い込みぬ★★★
●桑本栄太郎
炊きたての白飯にかけ寒卵★★★
探梅の空の青さよヘリコプター★★★★
探梅の青空にリコプターが一機飛んでいる。何かの目的で飛んでいるヘリコプターだが、見る側からすれば、このきれいな青空に、なぜ居るんだ、と思う。(高橋正子)
青空へつぼみふふむや春隣り★★★
●河野啓一
冬麗の空の広さよ明るさよ★★★★
冬とは言え、麗らかな日和。空の広々と、明るいのが嬉しくなる。日脚が伸びたこの頃は、春を待つ気持ちも加わって、特に嬉しくなる。(高橋正子)
青空に飛行機雲や春近し★★★
ポリポリと沢庵噛んで春隣★★★
●古田敬二
陽光の春の気配に包まれて★★★
眩しき陽高きにありて春隣★★★
森に座す落葉の下に日の温み★★★★
コメント
お礼
信之先生、正子先生、
「晩冬や土鍋で昼の飯を炊く」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
朝はシリアルを食べますので、ご飯を炊くのは昼か夜です。
土鍋で炊くご飯、おいしいです。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月29日の「探梅の空の青さよヘリコプター」の句に★印のご指導を賜り、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます。抜けるような真っ青な青空に、近在の丘の上にある公園へ探梅に出掛けました。梅の枝を下から眺め上げていますと、寒晴れの空にヘリコプターの機影が日差しを浴びて煌いていました。
御礼
信之先生、正子先生
1/29の投句に★印によるご指導を賜りまことにありがとうございました。
「冬麗の空」に正子先生から大変うれしいコメントを頂戴しまして厚く御礼申し上げます。
デイリー句会投句
★ひさかたの光かそけく寒の雨
★夜通しの雨や草木も雨待つ心
★友の顔みざるデイの日氷雨かな
お礼
信之先生、正子先生、
「雨降って寒の終わりの近づきぬ」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
大寒に入ってから、厳しい寒さというよりもむしろ、春に向う気配を感じることが多くなっています。
昨日の雨もそうでした。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月30日の「海苔掻きや潮のうねりをかわしつつ」の句に★印のご指導を賜り、その場の情景そのままの過分なるご句評も頂戴しまして、感激です。大変有難うございます。今頃の時季になりますと、いつも故郷の海での海苔掻きを想い出します。