1月21日~1月31日(2024年)

1月31日(4名)

小口泰與
老夫婦落葉焚きせる腰まげて
八十路にて未だ楽しき冬籠り
躍動の女性美きや初雪よ

多田有花
寒中やどろりとしたるごま油
人参と牛蒡を入れて五目豆
春隣る水の流れの軽やかに

弓削和人
冬鳥のうしれを水輪従えり
寒茜農道の果開かれり
閉店のまぎわ駆け込む寒波かな

桑本栄太郎
嶺の端に忽と集いぬしぐれ雲
一月の雲一月の空模様
哀しみと怒りの果てや一月尽
1月30日(3名)

小口泰與
鉛筆をまさぐりおるや冬句会★★★
冬温し暁ける間際の天赤し★★★
機関車の雪巻き上げて喘ぎおり★★★

多田有花
晴れ続く播磨に水仙咲き誇る★★★★
晩冬の驟雨が街を濡らしおり★★★
排水口の流れ回復日脚伸ぶ★★★

桑本栄太郎
燦々と日差し明るく春近し★★★
たそがれの在所となりぬ寒夕焼け★★★★
<京都市長選挙>
寒中の夜の立ち合い演説会 ★★★
1月29日(3名)

小口泰與
目陰して野鳥見さだむ冬の朝★★★
寒雀鉄砲玉の如きかな★★★
パソコンのぷっと壊れし冬の夜★★★

多田有花
しばらくは寒晴続くとの予報★★★
春近し手すりを濡らす朝の雨★★★
洗濯す背に当たる陽の春隣★★★
桑本栄太郎
たそがれの嶺の茜や寒入日★★★
もの種の網の下げらる草城忌★★★
寒中に集う立会演説会★★★

1月28日(2名)

小口泰與
ほろほろと星の光や凍て凍る★★★★
塊の降り来る空や雪の夜★★★
避難所の燃ゆる灯や冬の夜★★★

多田有花
レコードに針を落とした冬の夜★★★★
疼痛に起こされている寒夜かな★★★
曇り空なれど明るく春近し★★★
1月27日(3名)
小口泰與
湖風にほつるる氷波の秀ぞ★★★
猟犬の飛び出す丘や夜のほどろ★★★
月影に吠ゆる寒犬いたずらに★★★★
多田有花
春を待つモーツァルトを聴きながら★★★
寒林やうしろは青空あるばかり★★★★
狼は滅びて久し寒満月★★★

桑本栄太郎
遠峰のしろきちぢれや春遠し★★★
枝先のうすきみどりや日脚伸ぶ★★★
室内のラジオ体操春待たる★★★

1月26日(3名)
小口泰與
かの人の榾速やかに燃え移り★★★★
短日の上枝に鳥の影を見し★★★
ほぞの緒を仕舞忘れし齢かな★★★
多田有花
流れ来し雲の一片雪降らす★★★★
歩数計の歩数確かめ春を待つ★★★
BGMには向かぬ寒のベートーヴェン★★★

桑本栄太郎
凍て風やうす氷張るにはたずみ★★★
雨雲の峰に途切れや日脚伸ぶ★★★
ふるさとの海鳴り想う寒波かな★★★★

1月25日(3名)

小口泰與
寒雀家を震わす山の風★★★
風の穂に尖りて氷柱露見せり★★★
「風の穂」の比喩が、おしいです。(髙橋正子)
冬の沼自由気ままに稚魚乱舞★★★

多田有花
昼の風おさまり星の冴ゆるなり★★★
風あれど寒晴いっぱいわが頭上★★★★
奥山は雪にて候よく晴れて★★★

桑本栄太郎
しんしんと夜の静寂や雪の闇★★★
ちりちりと山膚凍つる山河かな★★★
積もる雪載せて走れりバスの屋根★★★
1月24日(4名)

小口泰與
冬鵙の群れて電線囃子けり★★★
この雪は降るべからずや下校時★★★★
雪掻きの終わりし妻の割烹着★★★

多田有花
寒くなる寒くなるぞと寒茜★★★★
ごうごうと音立て進軍冬将軍★★★
霜は無し夜中に風の吹き荒れて★★★

廣田洋一
枝打ちの電線よけて枝落とす★★★
青空に赤き花穂立て花アロエ★★★★
池の縁波平らかに浮寝鳥★★★

桑本栄太郎
風花やおもい出今も躍り居り★★★
あおぞらにぽつぽつ青き冬木の芽★★★
雪しまく墨絵のような在所かな ★★★★
1月23日(名)

小口泰與
初雪のばらの葉っぱにちょんと乗り★★★
麦の芽や朝日映えゆく上州路★★★★
頻繁な地震に冬月揺れており★★★

廣田洋一
寒鯉の川上を向きひしめける★★★
柳葉魚焼く北の海の香流れけり★★★
寒鰤の身を光らせて売られけり★★★

桑本栄太郎
寒晴や枝のきらめき風に揺れ★★★★
冬日さす影の寒さの団地かな★★★
雲途切れ冬日燦々あおぞらに★★★

多田有花
少女たる日々は隣に冬銀河★★★★
マエストロ次々現る霜夜かな★★★
陽は明るし寒風窓を揺らせども★★★

1月22日(5名)

小口泰與
古びたる屏風納戸へ春近し★★★
朝日浴ぶ浅間見事と寒見舞★★★
あけぼのの一羽の雀雪に舞う★★★★

廣田洋一
また一羽目白飛び来る早梅かな★★★
早梅や白さ際立つ法の庭★★★
蠟梅の香の立ち込めし城の跡★★★★

多田有花
そのむかし綿の布団は重かりし★★★
日脚伸ぶ塔の右手へ陽が沈み★★★★
足早に駆けゆく一月追いかける★★★

桑本栄太郎
雪雲の地図に在りたる天気予報★★★
峰の端に雲昇りゆき春を待つ★★★
しつとりと山河濡れゆき春近し★★★

川名ますみ
聖堂に冬木大きく陽を抱く★★★
凩や書類つぎつぎ青空へ★★★
ぐんぐんと岸の白梅ふくらめり ★★★★

1月21日(4名)

小口泰與
片雲や里に粉雪残しける★★★
枯草の穂が磨きける夕日かな★★★
我が町は坂の町なり寒椿★★★★

多田有花
春を待つピアノの音の軽やかに★★★★
安売りの白菜たっぷり鍋物に★★★
寒中に三日続きの雨が降る★★★

廣田洋一
厳寒の川に佇む鷺一羽★★★
寒の雨水嵩増したる街の川★★★
枯草のしきりに流れ街の川★★★★

桑本栄太郎
大寒を過ぎてゆるびぬ今朝の雨★★★
身ほとりの濡れて西山しぐれかな★★★★
久女忌の雨に濡れ居り枯芙蓉★★★

コメント

  1. 桑本栄太郎
    2024年1月25日 12:38

    自由な投句箱の投句ミスの件
    高橋正子先生
    1月24日の小生の投句は「おぞらにぽつぽつ青き冬木の芽」は「あおぞらに」であります。タイプミスのようです。宜しくお願い申し上げます!!。