現代俳句一日一句鑑賞/8月31日

8月31日

人の手に触るることより新豆腐    野田 ゆたか(のだ ゆたか)
 この句は「より」の解釈に重点がある。冷たい水から掬う、あるいは手にのせることによって、今年の大豆で作られた豆腐は、できたばかりのほのかな匂い、柔らかな白い色、水に触れていた切り口などが、生き生きとしてくる。新豆腐を感覚的に捉えた作者の新境地と言える句。
 
『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著/水煙ネット/2005年発行)より

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