9月5日(2句)
★旅立つ子見送る駅に秋の涼/上島祥子
旅立つ子を駅に見送りに来てみると、駅にはすっかり秋の涼しさがあった。秋の涼しさも、旅立つ子を見送る淋しさを感じさせるものになった。(髙橋正子)
★みそはぎや門ある庭の家ばかり/多田有花
門構えの家ばかり並ぶのは、古くからの代々の家がならんでいるのだろう。そういう家には、盆花用に家の傍に、ときには前が川になっていたりして、みそはぎが植えられていることも多い。古びながらも、しっとりした情景がいい。(髙橋正子)
9月4日(2句)
★朝顔や空の青さを集め咲く/多田有花
「朝顔」の色が「空の青さ」と響き合って、一つの明るい世界ができているのが、すばらしい。(髙橋正子)
★空色のトーンを落とし九月来る/川名ますみ
「空色のトーンを落とし」は、視覚的でありながら、心理的であり、夏の高揚から秋への沈降を感じさせている。空の色の変化から季節を感じ取る感性がいい。(髙橋正子)
9月3日(2句)
★何もかもくつきり見ゆや涼新た/桑本栄太郎
「何もかも」と目に見えるものすべてが、涼新たになり、世界が一新され感じがしているのがいい。(髙橋正子)
★籾殻を払いし林檎香り濃し/廣田洋一
籾殻に埋められた林檎の籾殻を落とすと、濃く林檎の匂いがした。
皮自体にも微細な芳香成分が含まていて、取り出されたばかりの林檎の濃い匂いが新鮮さを保証している。(髙橋正子)
9月2日(2句)
★月光のきらめく流れ墨田川/廣田洋一
「墨田川」には江戸の情緒が今に残るところ。光にきらめき流れる墨田川はまた特別感がある。(髙橋正子)
★つくばいに風の径有り秋の涼//上島祥子
つくばいがあるところは、風が通る径になっている。秋の涼を一番に感じるところとなっている。(髙橋正子)
9月1日(1句)
★八月の最後の花火打ちあがる/多田有花
夏の間あちこちで花火が打ち上げられ、楽しんだ。だが、打ち上げられた花火もいよいよ八月最後の花火となり、夏の終わりの一抹の寂しさも湧いた。(髙橋正子)
コメント
お礼
正子先生
9/2秀句に「つくばいに風の径有り秋の涼/」をお選び下さり 添削のご指導有難うございました。
露路にあるつくばいの前にいましたら気持ちの良い風が吹いてきました。わかりにくいとのご指導でしたのでもう少し考えたいと思います。
正子先生
「八月の最後の花火打ちあがる」を9月1日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
今年の八月は週末で終わりました。
毎週末にどこかで花火大会があり、山の影に隠れて姿は見えなくても音は聞こえてきました。
これで八月が終わり、子どもたちの夏休みも終わりだと思いながら聞いていました。
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
9月2日の「月光のきらめく流れ墨田川」及び9月3日の「籾殻を払いし林檎香り濃し」を秀句にお選び頂き、その上先生の素敵な句評を賜り、真に有難うございます。今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
高橋正子先生
9月3日の今日の秀句に「何もかもくつきり見ゆや涼新た」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
日中は残暑が厳しいものの、朝のうちは涼しく空気も澄みこのような時もあります。この様な時には新しい9月の出発を感じます。
正子先生
「朝顔や空の青さを集め咲く」を9月4日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
暑さを避けて早朝に散歩をしているとあちこちのお宅の庭先に咲いているアサガオを見ます。
さまざまな色がありますが、明るい空色のアサガオに清々しさを感じました。
正子先生、いつもご懇切なご指導を、ありがとうございます。
「空色の」の句に、選とコメントを頂きまして、嬉しく存じます。
九月一日、通院で外出しました。まだまだ気温は高い日でしたが、空の色がワントーン落ちているように感じました。仰る通り、心理的にも秋を感じる空でした。
お礼
正子先生
9/5の秀句に「旅立つ子見送る駅に秋の涼」添削の上に丁寧な句評を有難う御座いました。サークルの合宿に出かけるのに車で送りました。早朝でしたので涼しい旅立ちでした。