8月23日(1句)
★蜻蛉や水面に映る蒼き影/小口泰與
「蒼き影」として水に映る蜻蛉は幾種かあるだろうが、写実としての蜻蛉そのものの色というより、自然の光と水の作用によって生まれた一瞬の詩的現象と読めるところがいい。(髙橋正子)
8月22日(1句)
★秋草のマリアの像に供えられ/多田有花
もとの句は、「供えおり」だったが、「供えられ」と受け身形にした。この方が、秋草の供えられたマリア像が絵(イメージ)がはっきりする。マリア像には普段は栽培される花が供えられるのだろうが、この日はえのころ草などの秋草が供えらていた。秋草の優しい風情がマリア像を親しみやすく優しくしている。(髙橋正子)
8月21日(1句)
★建つ店舗壊される家秋の朝/多田有花
この句の季語「秋の朝」は、澄んだ空気と静けさを伴う時間帯。 その清々しさが、建設と破壊という動的な場面に、逆説的な静けさを与えている。(髙橋正子)
コメント
正子先生
「建つ店舗壊される家秋の朝」を8月21日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
近所の家が空き家となりお盆前から取り壊し準備が勧められています。荷物を運び出し、建具を取り外し、今は側だけになって防音シートが巡らされています。
国道312号線沿いには「ハローズ」という瀬戸内沿岸部に店舗を展開する24時間営業食品スーパーの新店舗が建設されています。9月オープンとのことです。
正子先生
「秋草をマリアの像に供えおり」を
「秋草のマリアの像に供えられ」に添削いただき
8月22日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
添削いただいたことで、供えた「人」ではなく、
供えられた「マリア像」に焦点があたり、
「イメージがはっきりする」との意味がよくわかりました。