今日の秀句/2月1日~2月10日

2月4日(2句)
★節分や影絵のごとき宵の富士//川名ますみ
節分は冬に区切りをつけ次の日よりは春となる日。影絵のようなくっきりとした富士山が浮き上がっている。節分の宵が美しく詠まれている。(髙橋正子)

★立春のどこかでかすかに水の音/多田有花
立春は、春の気配が立ちのぼる日と言えるだろう。かすかに聞こえる水の音に、凍り付いたものが少しずつ解け、命が蘇るような気配がある。「かすかに」は徐々にでもある。しずかな春の気配を感じさせてくれる句。(髙橋正子)

2月3日(1句)
★節分の青空広く鈴鹿まで/上島祥子
節分の青空は夜空ではあるまいかと思った。今年の節分の夜空は満月に近く、明るく青かった。雲も白く浮かんでいた。それが、鈴鹿まで続いている。その遥けさを思う心が、春への期待と読めた。(髙橋正子)

2月2日(2句)
★もふもふの白木蓮の冬芽なり/多田有花
「もふもふ」の普段使いの擬態語が面白い。白木蓮の冬芽は、芽鱗が毛被に被われている。その毛被がもふもふ。ふわふわで、温かそうだ。人間味を感じて面白い。(髙橋正子)

★寒風に蝉の抜け殻動かざる/廣田洋一
寒風が吹くころになっても、蝉の抜け殻が残っていて、動かない。そのことへの驚きがまずあるが、それを衒いなく、そのままに単刀直入に詠んでおり、ここがよい。(髙橋正子)

2月1日(2句)
★紅梅を透かしカーテン真新し/川名ますみ(正子添削)
向こうのものを透かすカーテンはレースような透ける生地であろう。透けて見えるものの美しさ、紅梅の紅の美しさと、真新しい清潔なカーテンの取り合わせが春らしい。真新しさは心の刷新であり、新しい季節を迎えるわくわくした気持ちであろう。(髙橋正子)

★春隣運ばれていく競走馬/多田有花
どこへ運ばれて行くのか、競争馬は静かな立った姿。馬の体は日差しにかがやいている。その艶やかな姿を見ると、春がそこまで来ていることが実感される。疾走する馬の姿も美しいが、春と冬のあいだの光が目に見える。(髙橋正子)

 

 


コメント

  1. 多田有花
    2026年2月3日 9:14

    正子先生
    「春隣運ばれていく競走馬」を
    2月1日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    姫路には地方競馬の姫路競馬場があります。
    中に入ったことはありませんが、競走馬を時々目にします。
    肌つやのいい馬は調子がいいとか。

  2. 川名ますみ
    2026年2月3日 18:00

    正子先生、「紅梅を」の句に添削ご指導とコメントをいただきまして、ありがとうございました。
    「透かす」と「透く」の区別が曖昧になっておりました。勉強いたします。

    また、正子先生の「真新しさは心の刷新であり、新しい季節を迎えるわくわくした気持ちであろう。」とのお言葉が、まさにその通りで、深く沁み入りました。
    穴の開いたカーテンとカーペットを、長い間、ほったらかしていました。いつまで生きるかはもちろん、施設や病院に入るかもしれないと思うと、家に手を入れる気になれなかったのです。でも、症状や暮らしが少し落ち着き、この家でもう少し生きる覚悟が湧いてきました。カーテンとラグを新しくし、心を刷新して次の季節を迎えるつもりです。

    • 多田有花
      2026年2月5日 9:01

      川名ますみ様
      お身体の加減はいかがでしょうか。
      長い闘病生活の中で、いつも真摯な透明感のある御句を詠まれており、
      襟を正す思いで拝見しておりました。
      もう少し現在のお住まいで生活されるとのこと。
      気持ちを新たにされているのを拝読し、うれしく思いました。

  3. 多田有花
    2026年2月5日 9:02

    正子先生
    「もふもふの白木蓮の冬芽なり」を
    2月2日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    近所のお寺の境内にある白木蓮の冬芽をみあげたとき
    「もふもふ」という言葉がぱっと浮かんできました。
    そうそうこういう感じ…ですね。

  4. 廣田洋一
    2026年2月5日 11:52

    高橋正子先生
    2月2日の「寒風に蝉の抜け殻動かざる」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  5. 上島祥子
    2026年2月5日 21:44

    お礼
    正子先生
    2/3の秀句に「節分の青空広く鈴鹿まで」お選び頂き丁寧な句評を有難うございました。終日冬晴れで空気が澄み渡って気持ちのいい日でした。