12月3日(1句)
★日を受けてしゃんと伸びたる冬木の芽/小口泰與
「しゃんと伸びたる」の「しゃんと」は口語だが、それが冬木にたいする親しみとなっているのがいい。日を受けて、「しゃんと」伸びた冬木の芽は、健康的で輝いて、親しみがもてる。(髙橋正子)
12月2日(3句)
★銀杏黄葉樹の膨らみて弾け散る/川名ますみ(正子添削)
もとの句は、膨らむの主語が曖昧になっていたので、「樹」を入れた。銀杏が葉を散らすぎりぎりまで黄葉を保ち、それから弾けるように散り急ぐ様が捉えられている。銀杏黄葉の樹の膨らみに注目したのは、あたらしい。(髙橋正子)
★かくれんぼ落葉の中に身一つ/上島祥子(正子添削)
もとの句は、「落葉に」としたったが、「に」だけでは弱いので、「中に」とした。「落葉」は冬の季語なので、もとの句にある「冬の」は削った。子どものかくれんぼを詠んだ句だが、象徴化されて
「身一つ」は、観察が鋭い。(髙橋正子)
★冬菊の紐あたらしく括られぬ(正子添削)
もとの句は、下五が「畑の隅」であったが、この意味はあまりない。添削は、冬菊を括る紐に注目した。冬菊が生き生きとして感じられるようになったと思う。(髙橋正子)
12月1日(1句)
★ひび割れし苅田に糠の山一つ/土橋みよ
苅田もすっかり乾いて、ひび割れが見られる。精米した後の糠が一山あるが、この糠は田んぼの肥料となるものだろう。収穫のあとの静かな田んぼの姿に注目した句。丁寧に見届ける姿勢がいい。(髙橋正子)
コメント
高橋正子先生
12月2日の今日の秀句に「冬菊の紐あたらしく括られぬ」の」句をご添削の上
お選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます!!。
冬菊はどうしても小菊が多いいものの、この場合は黄色の小菊でありその明るさ
は、勇気づけられるようでした。
正子先生
「ひび割れし」の句に温かいコメントを頂戴し有難うございます。先日、無肥料米を頂き、栄養分はどこからきているのでしょうと思っていたところ、苅田に糠が大きく積まれているのを見て答え合わせができた気がして、写生してみました。
正子先生、いつもご懇切なお導きをありがとうございます。
「銀杏黄葉」の句に、添削ご指導とご講評を賜りまして、感謝申し上げます。
通院途中の車窓から、みごとな銀杏黄葉が、散り初めるのを見ました。葉が乾燥するからか、色が暖色に変わるからか、散る間際の銀杏の樹形は、いっぱいに膨らんで、弾けるように散り始めるように見えました。
膨らむの主語が曖昧になっていたこと、気づいておりませんでしたが、添削いただいた句を読み、情景がわかりやすく、リズムもよくなったことに気づきました。勉強になりました。ありがとうございました。
高橋正子先生
12月3日の投句「冬木の芽」の句を秀句にお取り上げ頂き、正子先生には素晴らしい句評を頂き有難う御座います。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。