12月8日(2句)
★風なくも木々は落葉を急ぎけり/多田有花
落葉は風によって落ちるのではなく、落葉が自ら葉を落としている。自然の必然のように落葉する樹に、厳しい冬に向かう意思が見えるようだ。(髙橋正子)
★菰巻かる一本松の影の濃し/土橋みよ
菰が巻かれ、越冬に準備が整えられている。一本松の孤高の姿が、「影の濃し」と、力強く詠まれている。(髙橋正子)
12月7日(1句)
★初霜の薄く家並を覆いけり/多田有花
初霜の置く家並みの緊張感ときよらかさが、まっすぐな気持ちで詠まれているのがいい。(髙橋正子)
12月6日(1句)
★冬いちご分け合う数の軽さかな/小口泰與
冬いちごは貴重なもの。旬の時期のようにたくさん食べるわけではない。少しずつ、みんなと分けて食べる。「数の軽さ」は、数が少ないことを言っているが、みんなと、貴重なものをわけあったときの、心持の軽さ表現している。(髙橋正子)
12月5日(2句)
★鴨増えて橋の上より弾む声/廣田洋一
川に日毎に、鴨が増えているのだろう。橋の上から、それを眺め、弾んだ声で、鴨が増えたことを話している。鴨を迎えて、人々の生活に彩りが出ている。(髙橋正子)
★あおぞらの高きに舞いぬ木の葉かな/桑本栄太郎
あおぞらと木の葉のみ。昨日の句、
★裸木のすっくと立ちぬ青き空/桑本栄太郎
と似た心境に受け取れる。(髙橋正子)
12月4日(1句)
★裸木のすっくと立ちぬ青き空/桑本栄太郎
裸木と青空のみが詠まれ、無駄なものがない。読後、爽快な気持ちになる。対象に直接、まっすぐに向き合っているのがいい。(髙橋正子)
12月3日(1句)
★日を受けてしゃんと伸びたる冬木の芽/小口泰與
「しゃんと伸びたる」の「しゃんと」は口語だが、それが冬木にたいする親しみとなっているのがいい。日を受けて、「しゃんと」伸びた冬木の芽は、健康的で輝いて、親しみがもてる。(髙橋正子)
12月2日(3句)
★銀杏黄葉樹の膨らみて弾け散る/川名ますみ(正子添削)
もとの句は、膨らむの主語が曖昧になっていたので、「樹」を入れた。銀杏が葉を散らすぎりぎりまで黄葉を保ち、それから弾けるように散り急ぐ様が捉えられている。銀杏黄葉の樹の膨らみに注目したのは、あたらしい。(髙橋正子)
★かくれんぼ落葉の中に身一つ/上島祥子(正子添削)
もとの句は、「落葉に」としたったが、「に」だけでは弱いので、「中に」とした。「落葉」は冬の季語なので、もとの句にある「冬の」は削った。子どものかくれんぼを詠んだ句だが、象徴化されて
「身一つ」は、観察が鋭い。(髙橋正子)
★冬菊の紐あたらしく括られぬ(正子添削)
もとの句は、下五が「畑の隅」であったが、この意味はあまりない。添削は、冬菊を括る紐に注目した。冬菊が生き生きとして感じられるようになったと思う。(髙橋正子)
12月1日(1句)
★ひび割れし苅田に糠の山一つ/土橋みよ
苅田もすっかり乾いて、ひび割れが見られる。精米した後の糠が一山あるが、この糠は田んぼの肥料となるものだろう。収穫のあとの静かな田んぼの姿に注目した句。丁寧に見届ける姿勢がいい。(髙橋正子)
コメント
高橋正子先生
12月2日の今日の秀句に「冬菊の紐あたらしく括られぬ」の」句をご添削の上
お選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます!!。
冬菊はどうしても小菊が多いいものの、この場合は黄色の小菊でありその明るさ
は、勇気づけられるようでした。
正子先生
「ひび割れし」の句に温かいコメントを頂戴し有難うございます。先日、無肥料米を頂き、栄養分はどこからきているのでしょうと思っていたところ、苅田に糠が大きく積まれているのを見て答え合わせができた気がして、写生してみました。
正子先生、いつもご懇切なお導きをありがとうございます。
「銀杏黄葉」の句に、添削ご指導とご講評を賜りまして、感謝申し上げます。
通院途中の車窓から、みごとな銀杏黄葉が、散り初めるのを見ました。葉が乾燥するからか、色が暖色に変わるからか、散る間際の銀杏の樹形は、いっぱいに膨らんで、弾けるように散り始めるように見えました。
膨らむの主語が曖昧になっていたこと、気づいておりませんでしたが、添削いただいた句を読み、情景がわかりやすく、リズムもよくなったことに気づきました。勉強になりました。ありがとうございました。
高橋正子先生
12月3日の投句「冬木の芽」の句を秀句にお取り上げ頂き、正子先生には素晴らしい句評を頂き有難う御座います。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
高橋正子先生
12月4日の今日の秀句に「裸木のすっくと立ちぬ青き空」の句をお選び頂き
過分なるご句評も頂戴島して大変有難うございます!!。
いつも散歩ウオーキングに出掛ける時、幼稚園脇の公園を通り銀杏の木を
眺めて居ります。つい先日まで大変見事であった銀杏黄葉も、今ではすっかり
葉を落とし、冬芽ばかりの目だつ裸木となりました。
先日は青空に、お雄々しいばかりにすっくと立つ銀杏の裸木を眺め感激しました。
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
12月5日の「鴨増えて橋の上より弾む声」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
高橋正子先生
12月5日の今日の秀句に「あおぞらの高きに舞いぬ木の葉かな」の句を
お選び頂き、嬉しいご句評も頂戴島して大変有難うございます!!。
この日は朝から風がとても強く、団地の庭の空高くまで木の葉が舞い上がって
居りました。窓越しに見上げて居りました。
正子先生
「初霜の薄く家並を覆いけり」を
12月7日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
先日、凩が吹きそれがやんだ後の夜は急激に冷え込みました。
翌朝、周りの家の屋根が霜に白く覆われていました。
いよいよ本格的な冬になった、と感じました。
「菰巻かる」の句に温かいコメントを頂戴し有難うございます。冬支度の整った公園に立つ松の影が夏の影のように色濃く立派に見えたので、俳句にしたいと思いました。また、12月4日の俳句にも励ましのコメントを頂き有難うございます。改作を自由な投句箱に投句したいと思います。
正子先生
「風なくも木々は落葉を急ぎけり」を
12月8日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
11月中は冬とはいえ紅葉が鮮やかでした。
それが、12月に入ると急速に落葉が進みました。
凩も確かに吹きましたが、大半は穏やかな晴れの日です。