今日の秀句/11月21日~11月30日

11月24日(1句)
★蜜蜂の繁く通いぬ枇杷の花/多田 有花
枇杷の花のさくころは、花も多くはなく、蜜蜂には、恰好の花となる。繁く通って蜜を吸っているのだ。そのままの情景だた、リアリティがあって、季節感がよく表されている。(髙橋正子)

11月23日(2句)
★オルガンの音のゆかしき冬夕べ/小口泰與
オルガンの音色はあたたかく聞こえる。その音色をゆかしく思わせてくれるのは、よく知っている曲なのであろう。「オルガンの音」と「冬夕べ」がとてもよく合っている。(髙橋正子)

★由比ヶ浜沖燦として小六月/廣田洋一
鎌倉の由比ヶ浜は、沖へと広がって、小六月の陽を燦と反している。由比ヶ浜は、まさにこの通りで、実景がよく詠まれている。(髙橋正子)

11月22日(1句)
★今朝晴れて真冬の服を出しにけり/多田有花
「今朝晴れて」は、この時期の冷え込みの強さを思わせる表現だ。急にやってきた冬に、真冬の服を取り出したのだ。句に詠むには難しい日常に、詩を見つけているのが素晴らしい。(髙橋正子)

11月21日(2句)
★茶の花の大きな蕊を抱き咲けり/多田有花
茶の花は、花の大きさに対して蕊が大きく、全体をふくよかに見せている。花の白と黄色の蕊に気品があるように思う。
有花さんが書いておられる通り、そのように思っていました。(高橋正子)

★初霜の朝や狸の庭に来し/土橋みよ
初霜の降りた日は、山も寒かったであろう。人里に下りてきた狸は、みよさんの説明にもあるように、何をしにきたのかと。餌を求めて来たのかもしれないが、民話の狸のような親しみがもてる。
庭に狸来ると縁起のいい予兆とか。初めて知りました。(髙橋正子)


コメント

  1. 小口泰與
    2025年11月22日 14:50

    爺婆ややおら囲炉裏に火を入れて
    冬の灯や書物積み上げ星の空
    冬月の歪み出でたる山の端

  2. 多田 有花
    2025年11月23日 8:41

    正子先生
    「茶の花の大きな蕊を抱き咲けり」を
    11月21日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    茶の花を見るといつも「大きな蕊だなあ」と思っていました。
    花の大半を占めるほどの雄蕊。
    なにゆえこれほど大量の雄蕊がいるのか不思議でした。

  3. 多田 有花
    2025年11月24日 8:43

    正子先生
    「今朝晴れて真冬の服を出しにけり」を
    11月22日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    暖かい姫路でもそろそろ冬らしい気温になってきました。
    ダウンジャケットやマフラーなど真冬のものの準備を済ませました。
    暑い時期が長く、秋物はほとんど着る機会もないまま冬物になる印象です。

  4. 土橋みよ
    2025年11月24日 11:06

    正子先生
    「初霜の」の句を秀句に選んで頂き有難うございます。私の家は住宅街にあり狸の住むような山も周りにはないのですが、隣の家から狸が出たという知らせがありました。とても信じられなかったのですが、写真を見せられて納得しました。初霜が下りる寒い朝に何を求めて狸がやってきたのでしょうか。狸が庭に出るのは縁起の良いことが起きる前兆であると聞き、急に親しみが湧いて句にしてみました。