1月9日(2句)
★七日かな鏡餅搗く寺の僧/土橋みよ
年神様を送り正月に区切りをつける日の寺の行事。供え直しと言うこともあると聞く。さりげなく、きよらかな寺の正月行事が詠まれている。(髙橋正子)
★陽の中へぎっしり生りて実南天/多田 有花
陽のなかにかがやいている真赤な実南天がイメージがしっかりとしている。ゆるぎないイメージの立ち上がりが力強い。(髙橋正子)
1月8日(2句)
★輸送機や七日の空の青深し/上島祥子(正子添削)
正月の七日となれば、正月に区切りをつける日で、また日常がもどるとき。定刻に通るのであろう輸送機が空の青さにくっきり見える。日常の深さがすがすがしい。(髙橋正子)
★四方の春特急ひだの到着す/多田 有花
「四方の春」の古風な言い方が、めでたさを象徴し、特急「ひだ」が旅情をかきたてている。(髙橋正子)
1月7日(1句)
★朝陽差す庭に山茶花の紅満ちる/上島祥子
「朝陽」に染められたかのような紅の山茶花。その山茶花が庭に咲き満ちて、生命感のある景色となっているのがいい。(髙橋正子)
1月6日(2句)
★丸餅の椀に溢るる雑煮かな/土橋みよ
「溢るる」は、量が多いというより、年の初めの気が満ちている感じで、精神の豊かさが椀から立ち上るようだ。丸餅も円満、無傷、完全さなどを言い、その丸さが椀に静かに息づいている。(髙橋正子)
★背負いたるリュックに刺せし破魔矢かな/廣田洋一
日常のリュックに伝統的、霊的な破魔矢が刺さっているという現代的な新年の一瞬を切り取った光景。(髙橋正子)
5日(1句)
★白梅の咲けば川辺の明かり初む/川名ますみ
白梅のきよらかさ、みずみずしさが引き立つ句。白梅が咲く、そのことひとつで、水の流れの聞こえる川辺が明るくなる。小さなことひとつで回りが明るくなるのはうれしいこと。(髙橋正子)
1月4日(1句)
★凍蝶の暖を取りたる日射しかな/廣田洋一
句の世界が澄んでいるのが、印象的。凍蝶への過度のやさしさでもなく、その存在をはっきり捉えているのがいい。冬の日差しの微細な温度感がいい。(髙橋正子)
1月3日(1句)
<飛騨高山>
★薄雪の町を照らして初明かり/多田有花(正子添削)
初明かり薄雪の町照らしけり(原句)
元の句は、ただ見たままの景色をそのまま詠んだ状態で終わっています。景色の咀嚼が必要です。自分の精神を通して句にする必要があります。(髙橋正子)
1月2日(1句)
★野兎の林道抜ける速さかな/小口泰與
林道にはからずもでてきた野兎のめずらしさと、野生のすばこしさに驚きがある。(髙橋正子)
1月1日(2句)
★注連縄の香り新たに古神棚/上島祥子
「注連縄」の香りがこの句を生き生きさせている。「古神棚」との新旧の対比が鮮やかで、句が立体的になったのはよい。(髙橋正子)
飛騨高山
★松すべて雪吊をしてお正月/多田有花
松すべて雪吊をして」という措辞が、飛騨高山の厳しい冬の風土を的確に伝えている。雪吊は、「お正月」の準備として整えられた感が高く、祝祭性が生まれている。正月の特別感が景色を新鮮にしている。(髙橋正子)
コメント
正子先生
「松すべて雪吊をしてお正月」を
1月1日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
高山は北アルプス連峰を挟んで長野県と境を接しています。
それだけ雪深いところなのだとこれらの雪吊を見て感じました。
小さな植木まですべて丁寧に藁縄で雪への備えがされていて
雪国の暮らしの知恵を思いました。
正子先生
「初明り薄雪の町照らしけり」を
「薄雪の町を照らして初明り」に添削いただき
1月3日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
観察するだけでなく、いったん自分の内側へ入れて
そこから句にしていくことを心がけます。
高橋正子先生
1月2日の投句「野兎」の句を秀句お取り上げ頂き有難う御座います。大変うれしです。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
1月4日の「凍蝶の暖を取りたる日射しかな」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
正子先生
1/1の秀句に「★注連縄の香り新たに古神棚」お選びくださり丁寧な句評をいただき有難うございます。
神棚に飾る新しいしめ縄を袋から取り出す時に、思いがけず藁のいい香りがしました。
お礼が遅くなり失礼しました。
高橋正子先生
1月6日の「背負いたるリュックに刺せし破魔矢かな」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には簡潔な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
正子先生
「丸餅の」の句に素晴らしい句評を頂き有難うございます。今年の正月、友人から聞いて、初めて、丸餅の入ったお雑煮を作りました。それは、餅だけでなく具材も味もこれまで食べたことのあるお雑煮とまったく違っておりました。そのお雑煮を食べたときの何とも言われない正月の嬉しい気持ちを俳句にしたいと思いました。俳句の中に全部は入れられなくて、言葉が見つからず、結局、丸餅とお椀と溢るるだけが残りました。先生の句評を読んで、深く追求していけば精神に辿り着くということを教えて頂きました。また、私自身が何を読みたかったのかを知ることができました。
正子先生
添削と句評を頂き有難うございました。「七日かな」の句につきましては、先生のご推察の通り、大中寺では七日が過ぎると、和尚様自らが大きな鏡餅を搗き直す習慣があるようです。その静謐な情景を俳句にしたいと思いました。「御神酒注ぐ」の句につきましては、添削して頂いて、原句の問題点に気づきました。推敲の段階で気づけるように努力したいと思います。
正子先生
「四方の春特急ひだの到着す」を
1月8日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
高山本線を走る特急ひだはHC85系、ディーゼルエンジンで
発電した電力と蓄電池を併用するハイブリッドカー方式を
採用した次世代特急車両です。
座席も新幹線よりもゆったりとしていました。
正子先生
「陽の中へぎっしり生りて実南天」を
1月9日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
菊がほぼ終わり、いま近隣で最も目立つのが南天の赤い実です。
寒の日差しの中へひしめきあうように生っています。