[12月16日~22日]
▼12/22
●佃 康水
強霜や畝に菜の葉を張り付かせ★★★
川満ちて白際やかや花八つ手★★
枯木道広島城の見え隠れ★★★
●下地 鉄
風にゆれ夕日に淋し枯れすすき★★
君が代に微笑む真央の師走かな★★
湯煙の流れる其処に石蕗の花★★★★
●桑本 栄太郎
朝空の淡き稜線山眠る★★★
青空をビルの切り取る十二月★★★
雲を刷きスカイブルーや冬の嶺★★★
●多田 有花
ノンアルコールビールで乾杯年忘れ★★
忘年会果て夜の雨の中へ★★★
実南天に雫残して雨あがる★★★
●小西 宏
枯枝の触れ交う空に青深し★★★★
青空に枯枝が交差している景色はきれいだが、この句は、さらに空をよく観察して「青深し」とした。そこに作者の「見よう」とする意思が働いて句に深みがでた。(高橋正子)
南面の辛夷冬芽の陽の温み★★★
過ぎしこと孫らのことよ冬至の夜★★★★
●迫田 和代
隔たった刈田の道のまっすぐさ★★★
冬の島何処まで空だか海かしら★★
一本の鉄路の通る枯野かな★★★★
●小口 泰與
三つ島の影も長きや冬落暉★★★
森深し水面にぎわふ冬桜★★★
寒暁や湖を割り行く鳥の列★★★
●川名ますみ
柚子風呂に葉を嗅いでみてほの甘き★★★
柚子の葉の甘さも冬至風呂の香に★★★
挿し木より白き根光る冬の土★★★
▼12/21
●藤田裕子
車窓にはつぎつぎ冬木武骨なる★★★
朝震わせ霰地面を跳ね返す★★★
雨上がり桜冬芽の赤微か★★★
●桑本 栄太郎
<神戸六甲アイランドへ>
冬潮へ乗り出し空へモノレール★★★
冬潮のゆらぎ眩しき朝日かな★★★
曳航の波の軌跡や冬の潮★★★
●小西 宏
山茶花の華やぎ広し山の陰★★★
水楢の落ち葉敷き積む社宅跡★★★
母を見舞う
リハビリの冬至の窓に歩を数う★★★
●多田 有花
頂に立ちて冬至の町を見る★★★★
「頂に立ちて」が効いた。「冬至」という日の作者の感慨が伝わってくる。一年で最も短い一日だ。(高橋信之)
跪き室咲きの花に近く寄る★★★
シクラメン並び冬至の生花店★★★
●河野 啓一
冬至湯のまるき柚の香に身を沈め★★★
冬至る森の樹冠の耀いて★★★
浮き寝鳥冬至の水に遊びおり★★
●小口 泰與
釣り筏冬満月を賜わりぬ★★★
見下ろすや伊勢湾光り小六月★★★
昇り来る朝日ひと筋牡蠣筏★★★
▼12/20
●桑本 栄太郎
嶺の端をほのと染め居り霜の朝★★★
極月の朝日眩しく日差しけり★★★
嶺と峰連ねる鉄塔山眠る★★★★
●小西 宏
白い雲ゆるりと浮かべ葱畑★★★★
師走の田園風景がいい。「ゆるりと」がいいのだ。「葱畑」に「白い雲」を見て、師走の心がゆたかだ。(高橋信之)
大根の葉のこんもりと根を隠す★★★
冬の陽に赤き葉残す花水木★★★
●河野 啓一
枯れ切って銀杏並木のさばさばと★★★
枯木立透かし見たれば鴨の池★★★
久しぶり子から便りの都鳥★★★
●多田 有花
枯枝の上に出ており昼の月★★★
池の水少なきに鴨散りばめて★★★
ぽつぽつと人来て冬の植物園★★★
●小口 泰與
茶の花や長き裾野の芙蓉峰★★★
伊勢湾の忽と艶めく冬の虹★★★
三つ島を浮かす光りや冬の月★★★
▼12/19
●小西 宏
やわらかな雲より広ぎ枯葉ふる★★★★
枯山に明かり残して暮れ行ける★★★
ビル遠く紅々と照り冬暮れる★★★
●桑本 栄太郎
書き込みめくりめくりて暦果つ★★
おにぎりとカラオケ妻の忘年会★★★
風呂タイル磨く戸外は虎落笛★★★
●小川 和子
治水橋
何処までも青空冴ゆる橋向こう★★★★
人は「橋」に特別な思いを寄せることが多い。橋の向こうは、知らない町へと続く。橋向こうの冴えた青空にその続きを思うこともある。(高橋正子)
選ることも楽し聖夜の贈物★★★
冬茜秩父の山脈際立たす★★★
●河野 啓一
冬耕の畦や水菜のみずみずし★★★
冬紅葉散りきって赤い輪に囲まれる★★★
芝青し枯れ葉を上に散り敷いて★★★
●多田 有花
稜線の空透けて来し冬半ば★★★★
稜線のちょうどその所の空は山際という。そう言わないで、稜線の空と言ったところに新しみがある。寒気が強まる冬半ばには、空が透けてくる。「透けて来し」に観察の深さが見える。(高橋正子)
石灯籠包むいっぱいの落葉★★★
時雨雲淡路四国を包みおり★★★
●佃 康水
市内愛友市場2句
生簀より掴みし河豚の眼澄み★★★
四斗樽の重石かたむく冬菜漬け★★★★
冬枯れや川に沿いたる薬草園★★
●迫田 和代
冬の空切るよう伸びる飛行雲(原句)
冬空を切るように飛行雲伸びる★★★★(信之添削)
南天の赤き実を付けすくと立つ★★★
冬薔薇の海風弾く強さ見る★★★
●小口 泰與
湖の波尖りて鴨の羽ばたきぬ★★★★
湖の波が尖るほど寒々として風がある。鴨が時折羽ばたいて羽音をさせる。広げた羽の色も、羽音も命の温みを感じさせながらも寒々としている。(高橋正子)
伸びやかな富士の裾野の枯野かな★★★
浜名湖も豪雨に打たれ枯葉かな★★★
▼12/18
●河野 啓一
冬空に伸びゆくバラ芽の茜色★★★★
「茜色」の色彩感がいい。明日への嬉しい「芽」の「茜色」だ。(高橋信之)
烏鷺囲む小春の窓辺鳥の声★★★
実南天剪りて花瓶の彩りに★★★
●川名ますみ
冬の日の強き斜めが窓に入る★★★★
冬の日が低くから斜めに窓に入ってくる。意外にも冬の日差しは強い。その実感をすっきりとよくまとめている。(高橋正子)
追われずに落葉へ潜る十円玉★★★
稜線の南北へのび冬夕焼★★★
●小西 宏
枯芝に土黒光りノックの音★★★★
枯芝のよく踏まれるところの芝か、傷んで土が見えている。枯芝と土の黒さが対比され底にノックの音が響くのがよい。(高橋正子)
雪積むかと思えば窓に霧の街★★★
色濡らす落葉の霧の石畳★★★
●桑本 栄太郎
子に分けて選ぶクリスマス抽選会★★★
捨てるもの先ずは決め居り年用意★★★
数へ日や役目の多き吾が休暇★★★
●多田 有花
葉牡丹を積みし車の後をゆく★★★★
いい句だ。その説明はいらないであろう。(高橋信之)
ベゴニアの温室出れば冬の雨★★★
北東の山越え時雨里へ来る★★★
●黒谷 光子
寄りし娘に持たす海老豆かぶら漬け★★★
忍び泣く俊寛冬の能舞台★★★
本復の知らせ嬉しき冬日和★★★
●佃 康水
歳末の広島・愛友市場(信之追加)
ふんだんに井戸水流し河豚捌く★★★★
「河豚捌く」の句は、珍しく、したがって、難しい句なので、読者にもっと親切であって欲しい。。「河豚捌く」ことの丁寧な前書が欲しいのである(高橋信之)
女子校の白山茶花や咲きこぼれ★★★
瑞枝さす梅の冬芽や未だ固し★★★
●小口 泰與
群馬・上毛三山(信之追加)
朝霜や三山の襞くっきりと★★★★
web<全国三山巡り>によると、全国の三山は、現在97例あるという。作者の在住地が解らなければ、この句の<三山>は、97例のどれだか解らない。作者が前橋在住であれば、この句の<三山>は、おそらく上毛三山であろうと思う。赤城山、榛名山、妙義山である。句の添削は困難。(高橋信之)
冬ばらの開くこと無き風の中★★★
明らかに映すや雪の逆さ富士★★★
▼12/17
●黒谷 光子
寄りし娘に持たす海老豆かぶら漬け★★★
忍び泣く俊寛冬の能舞台★★★
本復の知らせ嬉しき冬日和★★★
●桑本 栄太郎
やわらかに今朝の雨降る冬木かな★★★
残る葉の色極めけり朝しぐれ★★★
梢散り下枝の極む冬もみじ★★★
●多田 有花
冬三日月すでに隠れし帰り道(原句)
冬三日月すでに落ちいし帰りの刻★★★★(正子添削)
キャンドルに灯り点して待降節★★
「よいお年を」言いつつ別れ日短か★★★
●小口 泰與
冬薔薇の咲くほかはなし風の中★★★
くっきりと赤城の襞や空っ風★★★
寒菊や日差す縁側ゆったりと★★★
▼12/16
●小西 宏
枯芝に影踏み走る日曜日★★★★
枯芝に映った自分の影を踏んで走る日曜日。体を動かし走る快い小春日和の日曜日への賛歌。(高橋正子)
枯葦の狭間に光る鴨の波★★★
木枯らしに鴉の飛翔緩急す★★★
●川名ますみ
紅葉散る空に一片雲来たる★★★★
紅葉と青空の一片の雲の取り合わせがすっきりとして快い。「雲来る」がこの句を生かしている。(高橋正子)
裸木ののびやかに指す空青き★★★
動物園の柵に一枚冬紅葉★★★
●桑本 栄太郎
静寂と云えど冴え居る朝かな★★★
足もとを翔びて冬木へ群すずめ★★★
葉を落とし早も冬芽や青空に★★★
●多田 有花
雲晴れて明石海峡年の暮★★★
年の瀬や海の最も輝きぬ★★
冬空へ大きくクレーンの動きけり★★★★
●黒谷 光子
暮れ早し明るきうちに京を発ち★★
街の灯を映す車窓や日短し★★★
帰り来て仰げば細き冬の月★★★
●河野啓一
★冬野広し杖を頼りに地平見る(原句)
★冬野広し杖が頼りに地平見る★★★★(信之添削)
★枯れ葎八十路の旅はまだ一歩★★★
★電飾の点滅青き生誕祭★★
●小口泰與
★小春日の羽根いっぱいの孔雀かな(原句)
★小春日の日を羽根いっぱいに孔雀立つ★★★★(正子添削)
★寒薄夕映え集め光りけり★★★
★年古りて無益(むやく)となりし枯忍★★★
●藤田洋子
★極月の手帳に余白まだありぬ★★★★
極月も今日は半ば。手帳はまだ書き込む余白を残している。手帳の余白は大晦日までの残る日数。それを余白という白で表わした清潔感が好ましい。(高橋正子)
★柚子浮かせ湯船に満ちてくる香り★★★
★店々のポインセチアに街暮るる★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
私の拙い俳句に★印のご指導を頂き、大変に嬉しく感謝申し上げます。
また、正子先生には「小春日」の句を添削して頂き、句が見違えるようになりました。有難う御座います。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生、俳句の★印のご指導をありがとうございます。とても勉強になります。
正子先生、「極月」の句にこのような嬉しい句評をいただき感謝申し上げます。
お礼
高橋信之先生
高橋正子先生
お忙しい中、いつも★印によるご指導を下さり、たいへんありがとうございます。たいへん励みになります。
また、「枯芝に影踏み走る日曜日」に温かなお言葉を頂戴し、深く感謝申し上げます。久しぶりに暖かな日曜日でした。
お礼
信之先生、正子先生、★印とコメントのご指導を賜りましてありがとうございます。とても励みになります。自分はもちろん皆さまの御句も添削教室で見直すと、新たに気づくこと、もっと深く考えようと宿題にすること、がたくさんあります。しっかり勉強させて頂きます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/17の句に星印のご指導を頂き大変に参考になりました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生、
「冬三日月」をご指導、添削頂きありがとうございます。
こうすれば句が違ってくる、と勉強になります。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/18の三句に★印のご指導を賜り、大変に嬉しく感謝申し上げます。大変に勉強になります。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生
朝霜の句に素晴らしい句評を頂き有難うございました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生
「冬野広し」ほかの句に★印によるご指導と添削を賜り誠に有難うございました。今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。
お礼
お礼 高橋信之先生 正子先生
★印によるご指導を誠に有り難うございました。
「河豚捌く」を四つの星、大変嬉しく感謝申上げます。前書きの件有り難うございます。以後気を付けたいと思います。実は今朝、市内の「愛友市場」と言うところに年末風景を知りたいと思い出かけましたところ、さすが市場で威勢よく河豚、鰯を初め魚を捌くところを見る事ができました。(市場は魚丈でなく新鮮野菜など色々)余りにも水を使われるので聞きましたならこれは井戸から取って居ると言われ知りました。
広島市内愛友市場にて
ふんだんに井戸水流し河豚捌く
お礼
高橋信之先生
★印のご評価、たいへんありがとうございます。
高橋正子先生
「枯芝に土黒光りノックの音」への励ましのお言葉、とても嬉しく感じております。芝生も冬枯れの時期は再生力がなく、足でよく乱される所がはげかかって黒光りして見えます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/19の句に★印のご指導を賜わり、厚く御礼申し上げます。また、正子先生には「鴨」の句に素晴らしい句評を頂き重ねて感謝申し上げます。有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生
正子先生
(飛行雲)の句に★4ついただいて有り難うございました。未熟な私にはとてもよい勉強になりますが、先生のことを想いますと簡単には喜べない気持ちです。どうぞお体にはお気をつけくださり何時までも光る 道標 でいてください。
お礼
信之先生、正子先生、
ご指導を頂きありがとうございます。
「葉牡丹を積みし車の後をゆく」に信之先生の句評を頂き、句の情景を思い出しました。
信号で止まった前の軽トラックが大きな葉牡丹を積んでいました。年末だなあと思いました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
ご懇篤なご指導を頂きありがとうございます。大変勉強になり、また励みにもなります。
12/18の拙句に★印によるご指導と過分のコメントを賜り誠に有難く存じます。今後もご指導よろしくお願い申し上げます。
お礼
高橋信之先生 正子先生
信之先生には12/18の前書きを 歳末の広島・愛友市場 と丁寧に書いて頂き有り難うございました。
12/19の句「四斗樽の重石かたむく冬菜漬け」の句に四つ★大変嬉しく感謝申上げます。同じ愛友市場で見ました。市場の中で白菜が樽からはみ出す程で、重石3つが傾きかけていました。その他の句のご指導大変勉強させて頂いております。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/20の投句に★印のご指導を頂き有難うございました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生、お忙しい中と存じますのに、懇切なご指導を賜りまして、ありがとうございます。
「冬の日の強き斜めが窓に入る」の句へ頂戴しました正子先生のご講評、嬉しく拝読しました。自宅でも通院の車中でも、じっとしておりますので、晴れた日は、窓越しに斜めに入ってくる、冬の日差しの強さを実感いたします。
その折に感じたままの十七文字で、もっとわかりやすく言葉を変えた方が良かったか、などと迷っておりましたが、これ以上、下手にいじらなくてよかったかもしれない、と少し安堵しました。いつも迷いをお察し下さる、あたたかいお導きに感謝いたします。
お礼
信之先生、正子先生、
ご指導頂きありがとうございます。
「稜線の空透けて来し冬半ば」に正子先生の句評を頂戴しうれしく拝読いたしました。
稜線の木々が葉を落とし、枝ぶりがはっきり見えてるようになりました。
木も人も真冬の中へ向かうのだなあと思いました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/21の投句に★印のご指導を頂き有難うございました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生
19日の「何処までも青空冴ゆる橋向こう」の句に★印のご指導を有難うございます。正子先生には余韻のある、温かい句評を頂きましてお礼申し上げます。治水橋は荒川に架かる橋ですが、橋向こうは晴れた日は、さいたま副都心のビル群をはるかに車窓から望むことができます。帰りは、茜色に染まった空に秩父の山々がくっきりとうかび上がります。
お礼
信之先生、正子先生、ご指導ありがとうございます。
「頂に立ちて冬至の町を見る」に信之先生の句評を頂きお礼申し上げます。
昨日の冬至は夕方から雨になり、それだけにいっそう日中の時間を短く感じました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/22の投句に★印のご指導を頂き有難うございました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生、
12/21の投句に★印のご指導をいただきまして有難うございます。これからもご指導くださいますよう、お願い申し上げます。
お礼
高橋信之先生
高橋正子先生
お忙しい中を毎日休みなく、投句の評価、添削、句評等と私たちをご指導くださり、本当にありがとうございます。どうぞお疲れのないようにお気を付けください。
またこのたびは「枯れ枝の触れ交う空に青深し」へもお言葉を賜り、とてもありがたく思っております。木々は四季それぞれに美しい姿を見せてくれますが、冬木立は空とともにあり、その深さを一層引き立ててくれるように思います。
お礼
信之先生、正子先生、22日の投句に★印のご指導を頂戴しまして、ありがとうございます。お忙しい中、恐れ入ります。身につきますよう勉強いたします。
お礼
高橋信之先生
12/20「白い雲ゆるりと浮かべ葱畑」にご指導のお言葉をお付け下さり、たいへんありがとうございました。母が入院している病院の近くにある畑の風景です。