●添削10月●

■□添削10月
※★印は、高橋信之先生が付け、コメントは、高橋正子先生が付けました。

●藤田裕子
トンネルを抜けて眩しき稲穂田へ★★★★(正子添削)
「稲穂波」は使い古されて、言葉としてフレッシュさに欠けますので、添削しました。トンネルと稲穂田の明暗の切り替わりが鮮やかで、稲穂田の眩しさが強く目に焼きつきます。(高橋正子)

瀬戸の海釣り舟浮かべ秋の晴れ★★★
銀杏黄葉向こう駅舎の赤レンガ★★★

●藤田洋子
考古館
秋の日の勾玉一つ蒼く透く★★★★
勾玉は、単なる装飾ではなく魔よけなどの意味もあったようだ。秋の日なれば、蒼く透明に透く勾玉に弥生時代の人たちの魂が感じられるようだ。(高橋正子)

澄む秋の土師器一片籾のあと★★★★
組み上げし幟はためき秋祭り★★★★
御神灯戸毎に吊るし秋澄める★★★
新米の湯気を吹き上げ夕支度★★★
登り来て野萩の風のひとしきり★★★
一枝の萩に触れつつ丘登る★★★
青空の山道続き萩の花★★★
雲切れて見上げしところ月一つ★★★
一六夜ほのかに雲の奥を染め★★★
一六夜月の出を告げ夫帰る★★★
考古館
秋思ふと出土の甕に指を添え★★

●迫田和代
白菊や静かな日々をふり返る★★★★
白菊のたたずまいに、静かに過ごした日々が思い起こされる。清々しく、気高く香る日々のことを。高橋正子)

潮を見て向こうの島の冬仕度★★★★
刈り入れも終わりし稲田に道一つ★★★★
遠く来て白いりんどう目の前に★★★★
喘ぎつつ登る峠に野菊咲く★★★
さっと吹く風の冷たさ冬支度★★★
山水を含みてながむ薄紅葉★★★
窓の外朝日挿しこみ菊日和★★★
遠山の赤い輝き秋の暮★★★
瀬戸内に散ばる島々冬仕度★★★
国引きの大山全山紅葉かな★★★
冬咲きの苗を見ながらにっこりと★★
陽を浴びてフラフラフラと秋の蝶★★
花入れの野菊末枯れて次の花★★
秋冷の朝日眩しい細い腕★★


コメント

  1. 藤田洋子
    2012年12月15日 23:17

    お礼
    信之先生、たくさんの俳句に★印のご指導をいただきありがとうございました。
    正子先生、「秋の日」の句に嬉しいコメントを寄せていただきありがとうございました。

  2. 藤田裕子
    2012年12月16日 13:35

    お礼
    信之先生、★印のご指導をいただきまして有難うございます。
    正子先生、「稲穂波」を「稲穂田へ」と添削していただき温かい句評をいただきまして有難うございます。その時の状景が鮮明になってまいりました。