花冠367号(7月号)投句依頼


花冠367号は2022年7月10日発行の予定です。つきましては、同人各位の俳句をご投句ください。投句は下記の要領でよろしくお願いいたします。

投句締切:2022年5月15日(日)
投句数 :雑詠15句(ほぼ2021年12月(冬)から2022年5月(初夏)までの句)
場所  :このご案内の<コメント欄>

 2022年4月25日
 花冠代表 髙橋正子


コメント

  1. 小口泰與
    2022年4月26日 9:04

    花冠7月号投句
    1綿虫や赤城陰れば利根晴るる
    2麦の芽や我が産土は風の里
    3駈け寄りて胡坐にふわり春着の子
    4初浅間紫紺の雲をうみにける
    5枯桑や無人駅より小学生
    6手水舎の水の波紋や寒椿
    7寒梅や柾目はっきり長廊下
    8山風のいまだ冷たし蕗の薹
    9猫柳浅間は白きままなりし
    10湧水や至る所に蕗の薹
    11引鴨や上越の空慌ただし
    12残雪や芯を整うランプの灯
    13山葵田や魚はすいすい本流へ
    14綿菓子やふわっと膨れ花月夜
    15紫雲英田や背の順に行く通学児
    よろしくお願い申し上げます。

  2. 古田けいじ/転記
    2022年5月10日 22:57

    投句させていただきます。
    (古田けいじ)
    2022-05-10 20:41:44
    盆梅のこの上の無い白に咲く
    立春やいよいよ御嶽海大関に
    田作り八十路の口には堅すぎる
    梅一輪いちりんごとに妻元気
    リハビリや七草粥で起こされる
    山茶花や朝陽が当たれば鮮やかに
    山笑う昔の父も笑いけり
    戦闘機は見えずうれしき初燕
    啓蟄や我は巣ごもり外出出来ず
    四月尽早くわが病も終わらんか
    暖かやリハビリ散歩終えし後
    海老根蘭くれし人今年は頼りなし
    ショウジョウバカマ前山の曲がり角
    早く吹け反戦春の風ロシアにも
    初蛙築後百年の縁で聴く

  3. 祝恵子
    2022年5月12日 11:53

    花冠7月号投句
    手を借りて鉢苗植えるみどりの日
    春の種土もち上げて芽を伸ばす
    パンジーを抜いて野菜の鉢確保
    五地蔵の背後に散るよ寺桜
    土筆提げ今日の成果の指の灰汁
    花びらが追いかけっこしてる風の道
    散るさくら母は子を受け滑り台
    送りくる春の荷包む新聞紙
    ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く
    裸木の白壁に影立たせおり
    九十三義兄の自筆の賀状来る
    手を揺らし蝋梅の香を確かむる
    露草を撮って歩きの一歩とす    
    路地が好き郵便ポスト曲がれば冬  
    春浅し海を渡りて荷が届く

  4. 吉田晃
    2022年5月14日 13:59

    花冠七月号投句
    花野枯れ薄き匂いの風の野へ
    匂い立つ早や柊の蕾より
    寒木瓜の先ず一輪が濃き赤に
    芋粥を遺影の母へ供えけり
    終着の近き電車へ麦青む
    白壁にもたれつつゆく冬の蜂
    冬の陽の暖かさだけが子の部屋へ
    花八手水をもらいにゆく家に
    榾積まれ春待つ畦のうす緑
    風厳し春待つ鷺の立てる田に
    ちゃんちゃんこ脱ぐ日ミモザの花だより
    木が傾ぐ黄砂の色に吹く風に
    売れ残り茄子苗太り夏に入る
    葉桜や市電は堀を曲がりゆく
    蔓薔薇に古屋とられてしまいけり

  5. 柳原美知子
    2022年5月14日 18:30

    花冠7月号投句
    すっと開く小春の引き戸に猫の顔
    夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る
    鳶の翼朝日に透けて冬岬
    石鎚を子と仰ぎつつ初詣
    寒林に水音添いくる母の忌よ
    蜜柑色のジャム煮る匂い春立てり
    花菜畑分けゆく先の海の青
    ウクライナを退避す妻へチューリップ
    谷水の音へ辛夷のひらき初む
    夕つばめ河口より来て瀬音切り
    金色の瀬戸海はるか花の影
    葉桜の新葉つぎつぎ谷風に
    住み古りし家に別れ来夕牡丹
    採りたての空豆をのせ朝のピザ
    麦秋の野の色深む朝の雨

  6. 桑本栄太郎
    2022年5月14日 18:45

    花冠7月号投句
    ①谷あいの雪の白さや京の峰
    ②留守家の電話鳴り居り日脚伸ぶ
    ③紅梅の三分が良けれ梅ひらく
    ④いつまでも思影追いぬ春の夢
    ⑤吾が影の背ナの曲がりや寒戻る
    ⑥京なれや源平桃と云ふ咲ける
    <京西山の中腹>
    ⑦あの辺り金蔵寺とや花の雲
    <故郷の追憶>
    ⑧春潮の遥か遠くに隠岐の島
    ⑨木洩れ日の影を踏みゆく夏近し
    ⑩何処までも妻の遠出や野蒜摘む
    ⑪通学に慣れただろうか八重桜
    ⑫楓葉の影のかさなり五月来る
    ⑬塵出しの朝の静寂や月見草
    <保津川下りの舟を上流へ>
    ⑭トラックの空舟積みぬ風薫る
    ⑮みどりさす在所となりぬ大原野

  7. 藤田洋子
    2022年5月14日 19:05

    花冠7月号投句
    椿落つ明るさ残し庭昏るる
    白椿土に汚れず散り始む
    遺影笑む常の悲しみ胡蝶蘭
    夫のなきまた朝が来て春落葉
    春落葉木洩れ日薄く掃き集む
    洋蘭の白冷え冷えと春の逝く
    窓一つ染めて若葉の雨淋し
    豆飯の香も供えんと盛り付けし
    濯ぎもの干して風来る柿若葉
    柿の木の伐りし枝より若葉萌ゆ
    緑さす新居に赤子声の満つ
    眠る嬰深く抱きてみどりの夜
    万緑の空へ札所の鐘一つ
    十七回忌白き蜜柑の花香る
    花筒に注ぐ五月の水の音

  8. 川名ますみ
    2022年5月15日 2:19

    花冠7月号投句
    冬至の日猫より伸びる長き影
    花いっぱい編まれしショール軽々と
    冬ざれの夕日にミルクティーのいろ
    葉の陰の実もつややかに藪柑子
    初写真大きな富士を真ん中に
    隣家より鉢の菫と蒸かしいも
    紅梅の莟ふくらむほど淡き
    木瓜の花すっかり枝を隠しきり
    葉牡丹の茎立のさき軽き色
    葉牡丹の茎立風をつかまえる
    初花に静かや丘の動物園
    春ショールの端まさぐれば医師の声
    散るさくら地下駐車場まで染むる
    きゃべつの葉水に浸ければ飛花の浮く
    花びらを巻いて届きし春きゃべつ

  9. 多田有花
    2022年5月15日 15:55

    花冠7月号投句
    正月の凧いきいきと河川敷
    山眠るうえに蒼空あるばかり
    白菜を収穫している遠き畑
    白梅や風受け立てり野に一本
    春耕の田にスコップの刺さりしまま
    鮮やかな袴で揃い卒業生
    曇天を颯爽と切り初つばめ
    春の雲アンカレイジを見上げれば
    稜線の影やわらかき芽立時
    分葱の根洗われ白く珠なせり
    講演をする窓の外花吹雪
    しゃぼん玉つぎつぎ幼子の手を離れ
    永き日や書き味のよき万年筆
    八十八夜快晴が山の向こうまで
    飛行機雲ぐんぐん伸び行く五月空

  10. 友田修
    2022年5月15日 18:48

    花冠7月号投句
    淡々と雪に消えゆく景色かな
    冬満月低く畑を照らしおり
    赤芽垣つつつと隠くる雀の子
    春の月甍を黒く照らしおり
    雨音に春の夜明けと判じけり
    垣根越しほのかに覗く梅の花
    追分の辻に古木の桜かな
    満開に早や舞い落ちる桜かな
    葉桜に早や鬱蒼と蔦の巻く
    立春の川面膨らむ光かな
    石垣に紅白ピンクのツツジ咲く
    鎮国寺紅白ツツジと青き空
    久々に子のはしゃぐ声ちまき食む
    新緑にきらめき流る午後の川
    草笛や子供時代を懐かしむ

  11. 高橋秀之
    2022年5月15日 19:28

    花冠7月号投句
    夏の朝まずは大きく深呼吸
    新茶飲むほっと一息わが妻と
    夏蝶の行っては戻るプランター
    昼寝する部屋に吹き込むそよ風が
    おひさまの香りいっぱい夏布団
    店先に並ぶすべてがカーネーション
    こいのぼり今年も青き大空へ
    笑顔満つ苺祭りのレストラン
    春月や寝起き眼に目玉焼き
    客船に舞いこむ桜陽が照らす
    春日和巣立つわが子にスーツ買う
    妻と見る高層階から春空を
    木の先に新芽をふたつ見つけたり
    初仕事まずはメールのチェックから
    嵐山二人で眺める冬景色

  12. 西村友宏
    2022年5月16日 14:51

    花冠7月号投句
    数の子のはじける音や朝の風
    初雪や紅茶を淹れる昼下がり
    駅伝の観戦合間に餅を焼く
    冬の陽が射すまで待たんウォーキング
    寒の月暗記カードと砂時計
    お守りを内ポケットに大試験
    水温の春めく朝に声弾む
    トンネルを抜けて空には春の虹
    伊予柑を剥くか剥かぬか午後十時
    せせらぎのゆったり響く春の川
    春の宵ウィスキーと詰将棋
    新品の鉛筆光る新学期
    新しきジャージで夏めく空の下
    うたた寝より覚めてチャイムと岩燕
    紫陽花の色変わりたり旅帰り

  13. 髙橋句美子
    2022年5月16日 14:51

    花冠7月号投句
    球根を付けて水仙の花売られ
    新年の雪が都会の街を白く
    初詣石畳を白く夜の灯り
    桜餅薄い桃色一列に
    朧月いつもの道に淡い光
    雛あられ彩り鮮やか手の中に
    青空へ桜の蕾ふっくら伸び
    薄墨の空にぽつりと朧月
    麗日のパン屋の香り坂下る
    山菜の若芽の渦巻き足下に
    庭園に木瓜の花咲く赤と白
    手作りて桜餅を父母に
    母の日のミニ薔薇鉢を溢れ咲く
    新緑の日陰を渡り坂下る
    父母の家柏餅を一つ二つ

  14. 髙橋信之
    2022年5月16日 14:53

    花冠7月号投句
    ガラス戸を開けてたしかに雪が降る
    寺苑に花の色見せ木瓜の花蕾
    梅蕾谷半分が陽にあたる
    朝の日があかるく窓に梅に差し
    梅が咲きあかるい朝となっている
    桜咲く季節を待てば喜びも
    春の雲高しその下を鳥たちは
    春うららぽん菓子皿に軽くあり
    白れんの道を妻と帰りたり
    花祭り妻が居る日よ今日があり/髙橋信之
    窓開けて近くに見えてチューリップ
    さくら咲き寺の庭のひろびろと
    石楠花の大きな花を窓越しに
    石楠花の花を見せくれ安楽椅子
    誕生月五月朝日がよく差して

  15. 髙橋正子
    2022年5月16日 14:54

    花冠7月号投句
    凍星の光そろいし誕生日
    七草にふるさとの草混じりおり
    七センチ積たる雪の中にも灯
    音立てて天ぷら揚がる春立つ日 
    青空に枝きらきらと雪のあと  
    空を指す枝の幾千芽吹かんと 
    花蕾枝に散らばりはや眩し   
    戦争の報道昼夜咲くミモザ    
    戦下のバス母も子もみな着ぶくれて
    八重桜街ゆく人の衣を軽く
    花は葉にここより老いの正念場
    大空にたんぽぽ無心の黄の花を
    花嫁が混じりておりぬ夏電車
    谷戸口に樹齢いくばく栃の花
    ばら園は汽笛届きて消ゆる丘

  16. 髙橋秀之
    2022年5月16日 14:55

    花冠7月号散文
    俳句とともに
    髙橋秀之
     今年(二〇二二年)上半期は、わが家に大きな出来
    事がありました。小中学生の頃、花冠の「こどもの
    俳句」でお世話になっていた長男が、三月に大学を
    卒業、四月から東京の会社に就職し、家を出て独立
    しました。振り返ってみると、高橋信之先生、正子
    先生はじめ、会員の皆さんと初めてわが家の三兄弟
    がお会いしたのが「「花冠俳句フェスティバル二〇
    一一in大阪」の初日、十一月二十六日の長浜吟行の
    とき、当時は小六、小四、小三でした。俗に、十年
    ひと昔と言いますが、ちょうど十年と少し前。今や、
    彼らも社会人一年目、大学三年、高校三年となりま
    した。後に触れますが、『俳句の宙』刊行にあたり、
    過去の句を見返しましたが、自分の句を見ていると、
    彼らの成長の様子が思い起こされました。
     その『俳句の宙』ですが、光栄にもお声をかけて
    いただき、先日、発行の運びとなりました。みなさ
    ま方から、お祝いをいただきまして、この場を借り
    て改めてお礼申し上げます。
     刊行にあたり、一〇〇句を選句するのですが、高
    橋正子先生とも相談し、まずは二〇〇句を過去の句
    から選句しました。その過程で、初期の自分の句、
    五年後、十年後、十五年後と時系列を追って読み返
    すと、いろんなことを思い出しました。俳句の技巧
    的なことではなく、その時その時の感性というか、
    感覚の持ちようが、年齢を重ねているということも
    あるのでしょうが、変わってきているなと正直感じ
    ました。こういう機会でもないと、なかなか過去を
    振り返ることもないので、子供たちの成長と合わせ、
    いい機会となりました。
     ちょうど三十代から五十代、仕事も家庭も、もっ
    と言えば俳句以外の趣味も含めて忙しい(けれど充
    実している)時期ですが、この時代の思い出を、写
    真ではなく、ビデオではなく、俳句でたどる。これ
    も水煙・花冠の一員として、ここまで頑張ってこれ
    たからだと思います。これからも、この流れは続け
    ていきますので、みなさま、よろしくお願いいたし
    ます。

  17. 柳原美知子
    2022年5月17日 19:06

    清流へ
    清流へ
    柳原美知子
     私の最近の一番の楽しみは、月に一度の滑川(なめ
    がわ)渓谷での湧水汲み。自宅から車で二十分程の山
    あいで、苔むした石垣の中のパイプから湧水がジャー
    ジャー流れ出ており、誰でも無料で汲める。四季折々
    の峡の木々を吹き渡る風の中、清流の音と小鳥の声を
    聴きながら一時間程過ごすと、身も心も洗われる。
    ここを初めて訪れたのは、令和元年の勤労感謝の日。
    紅葉狩りには遅かったが、思い立って昼過ぎから家族
    で出かけた。半分程の谷の紅葉はまだ残っていて、薄
    日に透け美しかった。初めて手に掬って飲んだ湧水は
    、ひんやりとした山気を感じ、体中に沁みわたった。
    持って行ったペットボトルに湧水を満々と注ぎ、山道
    を十分程車で登ると、「滑川清流ハウス」に到着。Uタ
    ーンしてきて、地域を活性化したいと願う店主さんが
    、湧水で淹れてくれたコーヒーは、とてもおいしくて
    温まった。その山小屋風の喫茶店兼観光案内所は、「
    奥の滝」へと続き、水の秘境と呼ばれる滑川渓谷の入
    り口にあり、窓に映る紅葉や竹の緑をながめ、かつて
    の紅葉狩りの賑やかさをお聞きし、楽しいひとときを
    過ごした。それが家族揃っての最後の外出になろうと
    は、夢にも思わなかった。三十三日後、夫が急逝した。
    世界から取り残されたような喪失感で迎えた正月二
    日、「水を汲みに行こう。」と息子に促され、渓谷へ
    。湧水は滾々と溢れ出ており、対岸の清流へ伸びる枝
    先には、鮮烈な赤い椿が一輪冷気をまとって咲いてい
    た。夫に出会えた気がし、夫の生き様を思った。
     清流へ影も落とさず冬椿
    湧水を汲む前に先ず一口手で掬って飲むと、いつも
    元気が出る。冬苺、辛夷、山藤、しゃがの花、薊、
    若葉、青葉と季節は移り、谷は今卯の花の白い輝きと
    香に包まれ、植田を出入りする豊かな水音に満ちてい
    るだろう。