★紫陽花を剪るに真青き匂いたち 正子
色鮮やかな紫陽花を切った時思いがけづその青い香りに紫陽花の生命力を強く感じる句だと思いました。(上島祥子)
○今日の俳句
幾たびも雨に洗わる青芭蕉/上島祥子
芭蕉の巻き葉は梅雨のころになると、解けて大きな青い葉を広げ、ばっさりとしてくる。雨になんども洗われると、その度に、すがすがしさが増してくる。(高橋正子)
○全国俳誌協会総会
全国俳誌協会総会の本年度の第48回定期総会がおととい、6月25日(日)に、秋葉原の東京都中小企業振興公社会議室であった。総会終了後は、俳句大会、懇親会と続き、午前11時の受付開始に始まり、懇親会の終了は、午後7時を過ぎていた。
総会では、IT事業部長を兼務する常任幹事に選出された。IT事業部は今年度新設された部で、俳句は、高齢者、女性が多数を占めるので、パソコン、ネットなどIT関係は、大変な仕事となる。多くは信之先生にやっていただけるので、心強い。
懇親会では、信之先生のお隣に日銀OBの三上孝さんが居られ、終戦時の旧制中学時代を懐かしんで盛り上がっていた。当時お二人は、東北の青森と中国大陸の大連におられ、ともに陸軍幼年学校受験中の、文武両道の秀才であったらしい。文武両道が今頃の秀才と違うところで、それが自慢らしい。三上孝さんも協会の常任幹事のお一人で、協会役員に対しても気骨のある意見を述べられていた。80才になるという高齢者が健康でお元気なのも嬉しい。
午前10時過ぎに横浜の自宅を出て、帰宅は、午後8時半を過ぎていたので、少々草臥れた。
○神田川
全国俳誌協会総会は秋葉原であった。秋葉原駅から徒歩数分の、神田川河岸の東京都中小企業振興公社会議室である。
神田川は、東京都を流れる一級河川。荒川水系の支流。フォークグループかぐや姫の「神田川」で有名である。東京都三鷹市井の頭恩賜公園内にある井の頭池に源を発し東へ流れ、台東区、中央区と墨田区の境界にある両国橋脇で隅田川に合流する。都心を流れているにも拘らず全区間にわたり開渠である。かつては「神田上水」を取水し、江戸の水道として利用されていた。
この神田川、東京吟行のときは、たびたび出会っている。お茶の水駅に集合して、神田川に架かる聖橋を渡り、湯島聖堂へ行ったり、また戻って、ニコライ堂のある坂を下り、神保町へ出て、古本屋を覗きさらに歩いて九段下へ。九段下から皇居北の丸まで行って花見をしたこともある。
早稲田大学(新宿区)の近くにある関口芭蕉庵の吟行も何回もしたが、そのときも神田川に出会っている。芭蕉庵は神田川を越えてすぐにある。神田川を渡れば文京区。芭蕉庵は、芭蕉が神田川の改修工事の監督をしたために住んだのだから、当然の神田川近くにあるわけだが。6月12日に句友の堀川さんを案内したときには、神田川は清流といってよいほど澄んで鴨や白鷺がいた。東京都民の生活用水の川で、都内を吟行で歩けば出会う川である。神田を流れ出た神田川は、隅田川に合流する。対岸は両国である。この両国から深川芭蕉記念館あたりもわれわれの吟行俳句会でよく行ったところだ。
◇生活する花たち「石榴・蛍袋・ゼニアオイ」(横浜日吉本町)

★キャベツ剥ぐ水ころころと流しつつ 正子
キャベツは中から中から玉を作り太ってしっかりと巻いていきます。そのキャベツをボールの中で水を流しながらそしてキャベツをころころ回しながら一枚ずつ剥がしていらっしゃるのでしょう。「水ころころと流しつつ」の措辞で水を弾く様な新鮮なキャベツを連想し、また厨事を楽しんでいらっしゃる様子が窺え読み手の方も楽しく鑑賞させて頂きました。(佃 康水)
○今日の俳句
清らかや飛騨路に出合う朴の花/佃 康水
朴の花は、大ぶりな白い花でよい香りがする。山深い飛騨路に出合えば、「清らかさ」が印象的。(高橋正子)
◇生活する花たち「むらさき露草・ランタナ・カシワバアジサイ」(横浜日吉本町)

★梅雨空に星あることを見て眠る 正子
梅雨空にも目をこらすと星が一つ、二つと見えることがあります。充実したひと日をおえ、眠る前に空を見上げる心しずかなひととき。あるいは、心象風景として「星あること」を見てとられたのかもしれません。 (小川和子)
○今日の俳句
南国に来しこと然り花蘇鉄/小川和子
蘇鉄は、南国の植物だが、その「花」を見れば、なおさら、南国に居ることが、実感される。上五中七の措辞が明快で、「花蘇鉄」を印象づけている。(高橋正子)
◇生活する花たち「紫陽花・クチナシ・さつき」(横浜日吉本町)

★アスパラガス大地のみどりを一束に 正子
束にされるほどの、たくさんのアスパラガス。その一束を手に取れば、鮮やかな色彩に、生まれ育った土を想います。此処にはなくとも、確かな「大地」を映す、アスパラガスのみどりです。(川名ますみ)
○今日の俳句
空青く紫陽花はみな色を待つ/川名ますみ
晴れた空に、まだ色づかぬ紫陽花は、どの花もそれぞれが咲く色を待っている。水色に、青に、ピンクにと、そのときも間近。「色を待つ」は作者の期待でもある。(高橋正子)
◇生活する花たち「百合・キンシバイ・薔薇」(横浜日吉本町)

★風鈴に木々のみどりの集まりぬ 正子
緑に覆われる木々を吹き渡る風、その風に応える一個の風鈴が、強く響いて存在します。「木々のみどり」に鳴る風鈴の爽やかな音色が、ことさら涼を呼びます。(藤田洋子)
○今日の俳句
蛍飛ぶ後ろ大きな山の闇/藤田洋子
大きな山を後ろに闇を乱舞する蛍の火。山間の清流を舞う蛍火の見事さを「山の闇」で的確に表現した。(高橋正子)
◇生活する花たち「蛍袋・百合・エンジェルトランペット」(横浜日吉本町)

★水こぼす水車の音の菖蒲田へ 正子
○今日の俳句
夏雲雀見上ぐ帽子の鍔をあげ/黒谷光子
夏雲雀だから「帽子の鍔をあげ」が納得できる。空に揚がる雲雀を追って、帽子の鍔をあげれば、夏空が眩しくかがやく。鍔をあげて見る世界は明るくて広い。(高橋正子)
◇生活する花たち「紫陽花・百合・蛍袋」(横浜日吉本町)

★青蔦に夕日あまねき道を帰る 正子
蔦の青と夕日のオレンジ色が溶け合う夕刻の光景を捉え、美しく詠まれています。勢いのある蔦の輝き、あまねく照らす夕日、充ち足りた思いの帰路です。(後藤あゆみ)
○今日の俳句
ウィンドーの麻のジャケット海の色/後藤あゆみ
麻のジャケットは、もちろん夏の衣服。「海の色」をした麻のジャケットが一つあることで、きらきら光る夏の海や入道雲、ヨットなど明るい景色が心に広がる。(高橋正子)
◇生活する花たち「カシワバアジサイ・ランタナ・青葡萄」(横浜日吉本町)

★ほうたるの火が飛ぶ風が吹き起こり 正子
蛍が飛び交う頃の闇は又、夏の始めの夜風が良く吹く時季でもあります。真っ暗闇を明滅しながら、風に押されながら飛ぶ蛍の光景は、大変幻想的な一面と、遷り行く季節の現実を垣間見せて呉れます。そこのあたりの豊かな詩情を感じさせる素敵な御句ですね!。(桑本栄太郎)
○今日の俳句
ひまわりの早も大輪夕晴るる/桑本栄太郎
夕方の晴れは、実に気持ちのよいもの。ひまわりも早も大輪の花を咲かせて、快活な姿。それに魅かれる。(高橋正子)
◇生活する花たち「カンナ・紫式部・千日紅」(横浜日吉本町)

★てのひらに書を読む梅雨のすずしさに 正子
外は梅雨の雨がしとしと降っています。部屋の中で、てのひらに書物を広げ読み耽っておられました。いつしか心安らぎ、すずしさに包まれるひとときを過ごされました。(藤田裕子)
○今日の俳句
青梅雨や雨音軽く夜に入る/藤田裕子
青梅雨という言葉が美しい。それと微妙にずれた軽い雨音がして夜に入る。心に浸透するような詩情がある。(高橋正子)
◇生活する花たち「石楠花と揚羽・むらさきつゆ草・金糸梅」(横浜日吉本町)

★時計草ほんの少しの青があり 正子
不思議な花の魅力の時計草、細やかに観照されたのでしょう。「ほんの少しの青」がある時計草の、特異な花型や色鮮やかな花弁がありありと目に浮かびます。(藤田洋子)
○今日の俳句
ポケットに鍵のふくらみリラの風/藤田洋子
ポケットにいくつも鍵を入れて出かける主婦の普段の生活。そういう生活にも、リラの咲く風が吹くと、洒落た生活となる。「リラの風」が作者の姿をよく浮き上がらせている。(高橋正子)
○落語会/出演:慶応大学落語研究会
第2回「笑って健康いきいき落語」が6月18日の午後、横浜市港北区日吉本町の「いきいき会館」で開催されました。この企画は、「ASA日吉本町/朝日・日経の販売店」と慶応大学落語研究会とのユニークなコラボ企画によるもので、100%手作りの落語会でした。健康維持、増進によいとされる笑いを、「地域の方々と共有する!」、というキャッチフレーズで、日吉本町在住の方は入場無料でした。
当日の番組は、慶応大学落語研究会のメンバー5名によるもので、古今亭今古(こんこ)さんの「みそ豆」(文学部2年)、桂洒風(しゃんぷう)さんの「宮戸川」(文学部3年)、三遊亭夜遊(ばんゆう)さんの「老婆の休日」(経済学部3年)、三遊亭慶馬(けいば)さんの「掛け取り」(法学部2年)、柳家ゆふりさんの「初音の鼓」(文学部3年)でした。
落語会に出掛けた(自宅から100mほどの会館)信之先生のご感想は、出演者の演技が初々しいことと出演者とお客さんとの距離が近いということで、快い時間を過ごせた、と言っておられました。
▼慶応大学落語研究会
http://keioochiken.web.fc2.com/
○野菜スタンド
日吉本町地下鉄駅から、20メートルほどの道路沿いの農家が野菜スタンドで夏野菜を売り始めた。冬野菜と夏野菜の端境期には、スタンドはお休みとなる。無人ではなく、対面。いんげん、蕗、きゅうり、大根葉、玉ねぎ、じゃが芋、ズッキーニ、トマトなどがある。自分の家の前の畑で採れたものを夫婦二人で売ってくれる。家のすぐ前なのだが、軽四トラックの荷台に載せてきて、テントを張ってその下で売ってくれる。奥さんの「ありがとうございました」は、日本語を母語とするひとではないことがわかるのだが、愛想がよい。東南アジアからお嫁にきたようだ。いつも夫婦ふたりで農作業をしている。
◇生活する花たち「時計草・姫沙羅・卯の花」(横浜日吉本町)
