7月18日(月)

★しがみつくかなぶん捨てて衣を畳む  正子
日常のひとこまを詠まれた可笑しみがあり、口元がゆるみます。取り込んだ洗濯ものにかなぶんがとまっている、あの足の先はまさに「しがみつく」で、つまんでもなかなか離れません。それをエイヤッと捨てて何ごともなかったように畳むのですね。私は虫が嫌いですが、かなぶんは憎めず触れますので、楽しませていただきました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
夜店に掬う赤き金魚を子が持てり/後藤あゆみ
夜店で掬う金魚は、たいてい赤か黒だが、敢えて「赤き金魚」と表現したので、涼しい赤い色が目に浮かぶ。「子が持てり」にば楽しさや可愛らしさが読みとれる。(高橋正子)

○おしろいばな
おしろいばなは、白粉花と書く。秋の季語。熱帯アメリカ原産であるということだが、古くに渡来したせいか、夕涼みのころの日本的情緒のある花と思ってきた。それも昭和の白い割烹着の母を思わすような花と。

白粉花咲けり昭和の母の花/正子

今日の緑陰ネット句会が終わって、暑さも収まる5時過ぎに日吉本町六丁目にある西量寺へ行った。目的は、白粉花の写真を撮るため。西量寺は、天台宗のこじんまりしたお寺で、石垣の上にある。近づけば、民家の屋根より少し大きいかなというぐらいの屋根がすぐ目に付く。

寺の屋根西は西日の色に照り/正子

お寺の石垣の裾を埋めて白粉花が咲いてほのかな香りが漂う。白粉花といえば、理科でならった遺伝の
法則を思いだすのだが、優性遺伝、劣性遺伝とあって、どちらかが遺伝する。普通は、赤い花と白い花を交配すると、白か赤かになる。ところが、白粉花は、ピンクになるというようなこと。西量寺の白粉花も長年同じ場所に種がこぼれて生えるのだろう、白に赤い斑があるものがたくさん見られた。純粋に白、純粋に赤というのが少ない。石垣の裾は夕方はちょうど日陰になって、日中の猛暑はどこへ去ったのかと思うほど、涼しい風が吹いていた。ほのかな香りがするのも、白粉花らしい。白粉花はまだ花が咲いているときから黒い種ができて、子どもがそれを割って中の白い粉を出し、白粉にして遊ぶ。子どもにも好まれる花と言えるのだろう。

白粉花妻が好みて子も好む/宮津昭彦

子ども時代の戦後を思い出すが、妻も子も慎ましさがあった。貧しいときであったが、個々のことを言わなければ、暗い時代ではなかった。扇風機さえも無い家が多かったから、夕方には縁台を出して、夕涼みをした。西瓜を食べたり、花火をしたり、星を見たり。垣根の根元には、白粉花が咲いていた。白粉花は、ちゃんとした場所ではなく、垣根の下や、ごみなどを焼く畑の隅に咲いた。種がこぼれて年々そこに花を咲かせるようになるのが多いからだろう。

白粉花も朝顔も秋の花なのだと、この猛暑に思う。ずっと秋口まで咲いてくれる。朝咲く花と夕咲く花を夏の花にしておくには、慎ましすぎる。

○全国俳誌協会のホームページ
私が、全国俳誌協会のIT事業部長の役目を引き受けて、IT事業部のブログを立ち上げました。信之先生を初めに、小西宏・藤田洋子・多田有花・高橋秀之・安藤智久・後藤あゆみの各氏にスタッフとして、快く協力していただけることになりました。現在のところ、信之先生が、「全国俳誌協会」のウェブサイトの骨格をを作ってくださり、内容を充実していく途中にあります。

全国俳誌協会は、昭和39年、見学玄氏を初代会長に設立されました。設立メンバーの一人、池田草舎氏は、「流派・傾向を越えた懇話会的な俳句サロン」を目指したと書き残しています。「協会(association)」の意味に添ったものと言えます。設立総会には、130誌が展示されたとあります。現在全国で出版されている俳誌は800誌を超えていますが、俳誌協会には今32誌が加盟しています。

現在全国俳誌協会のウェブサイトは、次のような特徴をもっています。
①電子書籍化された雑誌、句集が18冊あります。内訳は、機関紙「俳句展望」第150号、第151号の2冊。俳誌では、「銀杏」(242号5月刊)、花冠8月号(通巻332号)、「東京広軌」(平成二十二年度下院作品集3月刊)句集では、高橋信之句集「旅衣」を始め13冊。これらが、ネット上で電子書籍として読めるわけです。

②次に「Twitterの公式」ツイートボタンをつけました。花冠では、ツイッター句会を行っていますが、東日本大震災のとき、また最近では、ローマ法皇がツイッターでお説教をしたなど、多方面で活用されているものです。

③「談話室」と「コラム」には、加盟各誌からのピックアップしたエッセイ、ミニエッセイなどがあります。

俳誌協会のウェブサイトの項目の表面に現れているだけを印刷しても、A4用紙28枚になります。それらの内容のリンクをクリックしてすると、開設三週間足らずで、すでに膨大な量となっています。

これらの特徴は、全国俳誌協会の設立趣旨に添ったもので、ITの活用で趣旨に合う効果が発揮できるものと思います。現代俳句協会、俳人協会、伝統俳句協会にない特徴になっています。加盟各誌の相互交流、会員相互の交流のために、協会のウェブサイトが効を発すると思います。精々ご活用ください。

http://www.zenkoku-haishi.info/

◇生活する花たち「白粉花」(横浜日吉本町)

7月17日(日)

★夕焼けを海に分かちて平らな沖  正子
あれほど一日中暑かった陽射しも、夕焼けとなって海に落ちる今は少し和らぎ、少しほっと安堵の作者です。夕凪の海に傾く夏の太陽が眼の前のことのように想われ、素敵な一句です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
青無花果草の香りと交ざりけり/桑本栄太郎
無花果は、いまでは、見捨てられたような草地の畑の育っていることが多い。青無花果の匂いと、夏草の匂いは共に青い匂いながらも、確かに違って、交じって匂う。(高橋正子)

○アクセスランキング
・7月16日のアクセス数 閲覧数:422PV 訪問者数:179IP
 順位: 7,234位 / 1,608,808ブログ中

・2011.07.15(金) 769 PV 220 IP
 5149 位 / 1608496ブログ

◇生活する花たち「のうぜんかずら」(横浜日吉本町)

7月16日(土)

★ひまわりの黄色澄みしを供花にもす  正子
活き活きと色良く咲いた草花は、誰しも供花として仏前、神前にも飾りたくなります。そうした人の気持ちが自然に詠まれている句かと思います。 (河野啓一)

○今日の俳句
青葡萄白磁の皿の静かさに/河野啓一
静物画のような静謐な雰囲気がある。マスカットのような青い葡萄と白い皿を思う。(高橋正子)

◇生活する花たち「カンナ」(横浜日吉本町)

7月15日(金)

★梅雨月の光り増し来て萱の上   正子
今頃の月はまだ明るさの残った空に、思いがけなくレモン色に大きく浮かび、見とれてしまいます。萱は月光を受けて仄明るく、夜風にそよぎます。昼の暑さを忘れて風に吹かれ、月の光を浴びられている詠者を思います。(津本けい)

○今日の俳句
冷麦の一本紅き涼しさよ/津本けい
白い冷麦だけでも冷たく、涼しそうなのであるが、その中に一本紅い冷麦が混じると、涼味満点。(高橋正子)

○節電
原子力発電所の事故で、東電が節電を呼びかけている。我が家も協力している。主にしていることは、エアコンは使用しない、テレビはつけない、使っていない部屋の電灯は、すぐに消す、を実行している。今日電気の検針があり、去年の同時期の電気料金を比べると、300円少ない。この時期は、エアコンは使わない時期だから、節電してもわずかであろう。検針のときに東電が「節電のお願い」というパンフレットを置いていった。それを見ると、家庭での取り組みとして、使用電力削減の目安が書いてある。エアコンに関しては、エアコンを消して扇風機を使うと50%、すだれやよしずをすると10。そのほか、テレビを省エネモードにすると2%、照明を日中消し、夜間できるだけ使わないと5%などとある。これらを合計すると、我が家は、67%は軽く削減している。ただ、暑さをしのぐ工夫がいる。夜寝るとき、保冷剤を凍らせてタオルに巻いて水枕代わりにする。涼しい服を着る。汗をかいたらシャワー。ベランダの草花にたっぷりと水をやる。効く効かないは別として、料理は涼しそうなものを一品、野菜ジュースを飲むなど。冷房を使わないのが、一番の節電のようだ。

○全国俳誌協会IT事業部
私が、全国俳誌協会のIT事業部長の役目を引き受けて、IT事業部のブログを立ち上げました。信之先生を初めに、小西宏・藤田洋子・多田有花・高橋秀之・安藤智久・後藤あゆみの各氏にスタッフとして、快く協力していただけることになりました。現在のところ、信之先生が、「全国俳誌協会」のウェブサイトの骨格をを作ってくださり、内容を充実していく途中にあります。

全国俳誌協会は、昭和三十九年、見学玄氏を初代会長に設立されました。設立メンバーの一人、池田草舎氏は、「流派・傾向を越えた懇話会的な俳句サロン」を目指したと書き残しています。「協会(association)」の意味に添ったものと言えます。設立総会には、百三十誌が展示されたとあります。現在全国で出版されている俳誌は八百誌を超えていますが、俳誌協会には今三十二誌が加盟しています。

現在全国俳誌協会のウェブサイトは、次のような特徴をもっています。
①電子書籍化された雑誌、句集が十八冊あります。内訳は、機関紙「俳句展望」第150号、第151号の2冊。俳誌では、「銀杏」(242号5月刊)、花冠8月号(通巻332号)、「東京広軌」(平成二十二年度下院作品集3月刊)句集では、高橋信之句集「旅衣」を始め13冊。これらが、ネット上で電子書籍として読めるわけです。

②次に「Twitter公式」のツイートボタンをつけました。花冠では、ツイッター句会を行っていますが、東日本大震災のとき、また最近では、ローマ法皇がツイッターでお説教をしたなど、多方面で活用されているものです。

③「談話室」と「コラム」には、加盟各誌からのピックアップしたエッセイ、ミニエッセイなどがあります。

俳誌協会のウェブサイトの項目の表面に現れているだけを印刷しても、A4用紙28枚になります。それらの内容のリンクをクリックしてすると、開設三週間足らずで、すでに膨大な量となっています。

これらの特徴は、全国俳誌協会の設立趣旨に添ったもので、ITの活用で趣旨に合う効果が発揮できるものと思います。現代俳句協会、俳人協会、伝統俳句協会にない特徴になっています。加盟各誌の相互交流、会員相互の交流のために、協会のウェブサイトが効を発すると思います。精々ご活用ください。

◇生活する花たち「ヒメヒオウギスイセン・紫式部の花・百日草」(横浜・四季の森公園)

7月14日(木)

★花芭蕉掌にはつつめぬほどの花  正子
大きくて奇怪な形の花です。両手を伸ばし触れようとしたのでしょうか。むろん手に包めないだけでなく、高すぎて届きもしないのです。自然に対する作者の好奇心、驚きの表情が伝わってきます。(小西 宏)

○今日の俳句
舟虫の巌走れば光る海/小西 宏
舟虫は、まるで一族であるかのように群れて行動する。巌をちりぢりに走る様は、夏の磯らしい。光る海には日差しの強さがある。(高橋正子)

◇生活する花たち「野萓草・藪萓草・藪萓草」(横浜・四季の森公園)

7月13日(水)

★射干を活ける鋏が濡れてあり  正子
花色鮮やかな射干の傍らに、濡れて置かれる花鋏。暑さの中にあって、ひとときの涼気に接する思いがいたします。野趣あふれる季節の花を活けられ、心豊かな時間が流れます。(藤田洋子)

○今日の俳句
山の雨上り茅の輪の列に入る/藤田洋子
山の雨が、一句の雰囲気を作り出し、夏越し祭の茅の輪の緑が生き生きしている。茅の輪をくぐる順番の列に入って、無事に夏を越せることを祈る。(高橋正子)

◇生活する花たち「槿」(横浜日吉本町)

7月12日(火)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
昼顔は再生力の強い一種の雑草ですが、花の風情はたおやかです。一日花でその日のうちに咲いて萎んでしまうところは、はかない花でもあります。(多田有花)

○今日の俳句
緑陰に昼の草刈機が休む/多田有花
朝涼しいうちに使われた草刈機は、昼の暑い時間は、緑陰で休む。草刈機も人のようだ。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・花石榴・紫つゆ草」(横浜日吉本町)

7月11日(月)

★蕗の灰汁つきたる指のきしみがち  正子
蕗のすじを剥くと灰汁に染まりますが、そこを一歩踏み込んで指先が捉えた感覚を「きしみがち」と詠まれたところが観察の鋭さでしょうか。季節の食材を楽しまれ、その生活の中から生まれた句は素敵ですね。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
ひたすらに編む独り居の涼しさよ/後藤あゆみ
平明な句に、生活の中の「涼しさ」が快く詠まれている。独り居の静かでたのしい時間を「ひたすら」好きな編み物で過ごす時間は至福の時。その心が「涼しさよ」となった。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・しもつけ草・青ぶどう」(横浜日吉本町)

7月10日(日)

 鎌倉街道
★竹林に夏の真青な水打たれ  正子
往時を偲びながら行く街道の道すがら、夏に生長した竹は、一際目を引く青さです。水が打たれ、なお生き生きと輝く竹林に、より一層の清々しい涼気を感じます。(藤田洋子)

○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)

○アクセスランキング入り
2011.07.09(土) 650 PV 231 IP 8622 位 / 1606001ブログ
2011.07.08(金) 762 PV 219 IP 6014 位 / 1605691ブログ
IPが、200以上あるのは、大変嬉しいです。文学系で200以上になるのは、むずかしいと聞いた。ご覧いただき、ありがとうございます。

◇生活する花たち「百日紅・蓮①・蓮②」(横浜日吉本町金蔵寺)

7月9日(土)

 愛媛・久万中学校
★教室の窓に夏嶺の高々と  正子
四国の軽井沢と呼ばれる愛媛県久万高原町は、標高800mの自然溢れる住みよい町。久万中学校は、暑い蒸れ返るような都会とは違い、涼しく澄んだ空気の中で、伸び伸びと学び遊んで成長してゆきます。窓辺には蒼嶺が聳え生徒達を見守るかのようです。(津本けい)

○今日の俳句
星涼し日暮れて青き山並みに/津本けい
日暮れて青い山並みに出た星を涼しく感じる感性がよい。 (高橋正子)

◇生活する花たち「ヒメヒオウギスイセン・半夏生・梔子」(横浜日吉本町)