鶺鴒
高橋正子
芒の穂中洲にひらきみな若し
鴨泳ぐ速き流れに乗りつつも
秋の野の黄蝶白蝶こまごまと
秋風の鳥小屋インコの羽四色
治代さんから芋炊セット
水郷のごぼう里芋鍋に炊き
欅もみじはや夕暮れが来ておりぬ
十二夜の月にふらんす砂糖菓子
鶴見川・鳥山川
秋川の出会いの水ののびやかに
落ちそうで落ちず鶺鴒飛ぶときは
すすきより後れて葦の穂が真白
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横浜スタジアム
秋天に強靭なるものスタジアム
剥かれたる芋の白さを煮て保つ
残業の子にあたためて芋煮鍋
里芋の畑にとなり芋を売る
晩稲田の刈らるるまでをそよぎけり
晩稲田の祭りすぎたるさびしさよ
龍の口より落ちたる水の澄みていし
境内の秋澄み銀杏まだ青し
境内の崖をしばりて蔦紅葉
二丁目の丘に芒の穂の若し
酔芙蓉はれやかなるは八重であり
野ぼたんの紫あれば庭が澄み
湯上りの肌に星より来る寒さ
きょうからは色が見え出す菊蕾
ジンジャーの花の香に足る十三夜
おのこらが合唱して来る秋の坂
一鉢の小菊の色のたのしけれ
球根を植えて文化の日の晴天
秋天の青全きや指の傷
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