11月7日(日)立冬

●今日は立冬。変哲もない毎日に、「立冬」というけじめが突然来た。少し寒いかなと思うとき、電気ストーブを一本つけている。その程度の寒さ。
●昨日3時近くから、センター北のユザワヤへシンブルを見に出かけた。母たちが使っていた指ぬきは別の場所で売っている。西洋指ぬきとでもいおうか、それはシンブル(thimble)と呼ばれて、革あり、金属あり、シリコンあり。1個千円ぐらい。指に帽子のようにかぶせるのを買いたかったので、買わないで帰る。
達磨レース糸40番が一巻き1950円で売られていた。こんなにしたのかなあ。学生時代、レース編みに夢中になって、ドイリーを何枚も、テーブルセンターも、母にレースのカーディガンも編んだ。遠い昔の話だ。そのころもっと繊細な糸が欲しいと思っていた。今日見ると30番がある。これこれ。初めて30番のレース糸に出会った。買おうと手を伸ばしたが、この年ではレース編みは無理かもしれないと思いとどまった。
それから、ちいさな刺繍のキット。小さい割に高い。手芸品のコーナーをしばらく見ていたら、遠い昔にタイムスリップした感じになった。
●モザイクモールのBook1stへ。この前買った青い鳥文庫の『赤毛のアン』。小学生向きにわかりやすくしているせいか、なにか平板、優等生的な文章。優等生的文章は、人の頭を悪くするのではと言う思いがよぎる。それで、岩波の少年文庫をいろいろ見る。いまも訳が改定されているものもある。
Book1stを出ると外は暗い。五時過ぎの電車で帰る。夕飯は味噌汁とレンチンとトマト。

11月6日(土)

晴れ
●毎年たのしみにしていた「つがるのりんごジュース」。飲み口がさわやか。今年は1本買っただけで売り仕舞いに。数日前「希望の雫」と言う林檎ジュースがあったので、今日店に行くと、取り扱い中止。仕方なくほかのストレートジュースを買ってみる。くず林檎をしぽったのではないかという感じだった。それでもストレートはストレート。飲み慣れれば、まあ、いいか。
ラ・フランスのストレートジュースがあったので買った。ジュースというより、スムージー。これなら、そのままラ・フランスを食べたほうがいい。今年はどうして、りんごジュースがないのか。コロナのせいとは聞いていない。

11月5日(金)

晴れ
●お昼前、ヤマダ電機へプリンターを見に。6000円台のがあった。プリントとコピーができればじゅうぶんなので、これを注文。ところが、これは売り物ではないとのこと。売り物は今一台しかなく、いつ入荷するかわからないという。コロナのせいで、半導体が手に入らなくて、プリンターの生産ができないらしい。プリンターのどこに半導体を使ってるのよ、と言いたいが、プリンターは商売道具。「一台でもあって幸運」と思いそれを買う。3万円を超えた。ああ、6000円のでいいのに。7キロのプリンターを下げて、腕力を試すべく電車で帰ったが、買うだけで疲れた。設定は後日。
●電車のなかで、何を節約すればプリンター代が出るんだろうと、考える。例えば、花苗ではなく、種から蒔く、水や電気の無駄遣いに気を付ける。山寺のような生活しかないなあと。ひとりで暮らしているのではないので、節約はできそうもないが。

11月3日(水)

快晴
秋の陽に当てし布団のすがしさよ  正子
秋の夜のふっと清しき布団の香   正子
新あずき重さほどよき袋詰め    正子
●文化の日の晴れの確率は高いらしいが、今日も快晴。実際は3年ぶりの晴れらとのこと。
●昨日夕方から、何かの拍子にプリンターの調子が悪くなった。昨日は原稿の印刷も途中で放り出した。パソコンを再起動したりしてみるが、相変わらずダメ。
●新あずきを注文していたのが届く。

11月2日(火)

●日曜日に句美子が頼んでくれた久留米絣の半纏が届いた。スマホの写真では柄がよく見えなかったが、「横絣」という模様。肩からすっぽり覆われる。私のではなく信之先生用。今まで着ていたのは、文人模様。どちらも小さい柄だけれど、少し雰囲気が違う。
●コロナの新規感染者が神奈川や東京でも一ケタになる。コロナで死ぬ目にあわなかったので言えることだが、テレワーク、行動の自粛などで起こった変化で社会が新しくなった感じだ。しがらみが少なくなっていると思う。

11月1日(月)

晴れ
●花冠No.366の投句依頼。投句欄を発行所ブログに設ける。締め切り11月15日15句。
●「自由な投句箱11月」(秋の句・冬の句)欄を作る。
●衆議院の選挙結果。甘利幹事長が小選挙区では落選。海老名あたりが選挙区。大物議員の落選かなりあり。政党より人を見る選挙、世代交代の選挙だったらしい。
●アップルパイを今朝も焼いた。紅玉2個残っているのを使い切るため。レモン汁を入れなくても大丈夫。思ったより酸っぱい林檎だった。
●『赤毛のアン』の巻頭はブラウニングの『エヴリン・ホープ』の一節
The good stars met in your horoscope
Made you og spirit and fire and dew.
(あなたは良き星のもとに生まれ/精と火と露により創られた)が置かれている。
※「精と火と露」とは、精神の豊かさ、炎のような情熱と活気、そして嬉しいときも憤るときも涙をこぼし、しかし後くされなくさわやかなアンの性格を見事に表わしている。「モンゴメリ著『赤毛のアン』(松本侑子訳、集英社文庫、2000年)より」
  • ―EVELYN HOPE―   I.
    Beautiful Evelyn Hope is dead!
    Sit and watch by her side an hour.
    That is her book-shelf, this her bed;
    She plucked that piece of geranium-flower,
    Beginning to die too, in the glass;
    Little has yet been changed, I think:
    The shutters are shut, no light may pass
    Save two long rays thro' the hinge's chink.
    II.
    Sixteen years old, when she died!
    Perhaps she had scarcely heard my name;
    It was not her time to love; beside,
    Her life had many a hope and aim,
    Duties enough and little cares,
    And now was quiet, now astir,
    Till God's hand beckoned unawares,—
    And the sweet white brow is all of her.
    III.
    Is it too late then, Evelyn Hope?
    What, your soul was pure and true,
    The good stars met in your horoscope,
    Made you of spirit, fire and dew—
    And, just because I was thrice as old
    And our paths in the world diverged so wide,
    Each was nought to each, must I be told?
    We were fellow mortals, nought beside?
    IV.
    No, indeed! for God above
    Is great to grant, as mighty to make,
    And creates the love to reward the love:
    I claim you still, for my own love's sake!
    Delayed it may be for more lives yet,
    Through worlds I shall traverse, not a few:
    Much is to learn, much to forget
    Ere the time be come for taking you.
    V.
    But the time will come,—at last it will,
    When, Evelyn Hope, what meant (I shall say)
    In the lower earth, in the years long still,
    That body and soul so pure and gay?
    Why your hair was amber, I shall divine,
    And your mouth of your own geranium's red—
    And what you would do with me, in fine,
    In the new life come in the old one's stead.
    VI.
    I have lived (I shall say) so much since then,
    Given up myself so many times,
    Gained me the gains of various men,
    Ransacked the ages, spoiled the climes;
    Yet one thing, one, in my soul's full scope,
    Either I missed or itself missed me:
    And I want and find you, Evelyn Hope!
    What is the issue? let us see!
    VII.
    I loved you, Evelyn, all the while.
    My heart seemed full as it could hold?
    There was place and to spare for the frank young smile,
    And the red young mouth, and the hair's young gold.
    So, hush,—I will give you this leaf to keep:
    See, I shut it inside the sweet cold hand!
    There, that is our secret: go to sleep!
    You will wake, and remember, and understand.
  • by Robert Browning

     ―エヴリン・ホープ―
                     ロバート・ブラウニング作


  •  美しきエヴリン・ホープは逝(ルビ/い)ってしまった!
      しばしたたずむ、彼女の枕辺に
     あれは彼女の書棚、これは彼女の寝床
      彼女がつんだこのジェラニウムの花は
     早やくも枯れ始めている、ガラスのコップにさしたまま。でも
      彼女は少しも変わらない
     部屋の扉は閉ざされ、光も射さない
      ただ蝶番(ルビ/ちょうつがい)のすきまから、二すじの陽ざしがながくのびるだけ

     彼女は逝ってしまった、わずか十六の若さで!
      彼女は私の名を聞いたこともないだろう
     まだ恋を知らない年ごろ。そして
      希望と抱負に満ちた乙女の人生
     若い娘としてすることは多々あり、しかし憂いはまだなく
      静かにくつろぎ、また活発に楽しんでいたのに
     神の手に召されてしまった、誰も知らない間に
      今や可憐な白い死顔がのこるのみ
    3 
    ああ、エヴリン・ホープ、私が恋心を告げるのが遅すぎたのか?
      君の魂はなんと清らかで美しいだろう
     あなたは良き星のもとに生まれ
      精と火と露から創られた
     しかし私は君より三倍も年老いた男で
      二人の人生の筋道は大きく離れていた
     私たちには何の関わりもなかった、そう言うべきであろうか?
      われらは死に引き裂かれる運命で、縁もゆかりもない他人だったのか?

     いや、そんなことはない。天にまします神は
      恵み深く、全能である
     愛に報いる愛を創りたもうであろう
      だから君亡き今でも言わせてもらおう、君は私のものだと!
    これからいくつもの命を生まれ変わり
    少なからぬ幾世をこえて
     多くを覚え、多くを忘れ
      いつかまた君を私のものにするときが来るだろう

     そのときが来たら、ついに来たなら
      エヴリン・ホープよ、私は君に言うだろう
     かつて下界にいたころ、はるか遠い昔に
      君は、身も心も美しくほがらかだったと
     君の髪は琥珀色(ルビ/こはくいろ)だったね、と私は言い当てるだろう
    君の唇は、このジェラニウムの花のように紅かったと
     そして君は、この私と何をするのだろう
      過去から新しく生まれ変わった人生で

    私は君に話すだろう。あれから私がどんな風に生きてきたか
      何度も自分を見放し、あきらめてきたことを
     世の人の富を手に入れ
      君をさがそうと時代をかき回し、世間を台なしにして
     私の心は君への思慕で一杯なのに、それでもただ一つのものがないと気づいていた
      私はそのただ一つを恋い求めていたのか、それとも見つけられない喪失感が私を恋い求めていたのか
     エヴリン・ホープ、君がほしい、君を見つけたい!
      まためぐりあったなら、どんなに素晴らしいだろう!

     エヴリン、君を愛している、いつもいつまでも
      君への想いでいっぱいの私の心にも
     君のうららかな若い笑顔
      紅く可愛い唇、金色のつややかな髪を覚えておく場所はある
     だからああ、この詩をかきつけた紙を持っていてくれ
      さあ、君の小さく冷たい手に持たせるよ!
     これは二人の秘密だ、さあ、やすらかに眠れ!
    いつか生まれ変わった君は、すべてを思い出し、知るだろう
    (松本侑子訳)
●「赤毛のアン」の終わり
生きていく道には、いつも曲がり角があるものなのです。「神は天にあり、世はすべてよし。」(村岡花子訳)
And there was always the the bend in the road!
' "God's in His Heaven, all's right with the world" ',whispered Anne softly.
"there was" と過去形にちょっと考える。
God's in his heabven, all's right with the world
は、詩的で、モンゴメリーもすごいなと思っていたら、これは、ロバート・ブラウニングの詩劇「ピッパが通る」の一節とのこと。
上田敏の訳詩集『海潮音』(1905年)の中で愛誦される詩の一つに、ブラウニング「春の朝」(はるのあした)のその最後にある。
時は春、
日は朝(あした)、
朝は七時(ななとき)、
片岡に露みちて、
揚雲雀(あげひばり)なのりいで、
蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。