晴れ
乱雑というべく咲きぬ白き百合 正子
百合のしべ臙脂色もて汚すなよ 正子
焼き鮎に塩の白さの残りたる 正子
●『精選アンソロジー俳句の杜2021年』(本阿弥書店)が届く。句美子が参加。昨秋は、柳原美知子さんが参加。今回は16名がそれぞれ100句。参加者は句美子をのぞいて68歳が若く、70代、80代、90代。
●朝起きると、カサブランカがわんさか咲いていた。花粉で花びらがよごれないように、少し隅の方に寄せた。
●夜、なかなか寝つけなく夜明けを迎えることしばしばなので、一案を企てる。寝る前の「本を読むこと、音楽を聞くこと」、これを止める。寝つけないからやっていたことだが、これが眠れなくしていることに気づく。二晩実行したが、早起きができる。
●晴れのち曇り、夕方から雨。
●ベランダの花が咲く。カサブランカ、カモミール、ミニバラが、一斉に開いた。なんで一斉に、と思ったが。まさか、おととい液体肥料をやったので、そのせいかも。しかし、急にそんなことはあり得ない。
●病院のはしご。午前に、ハート内科、午後に整形外科。そのあと、バタバタと仕事へ。
●角川の花冠の広告を見て、「師系が臼田亜浪ということで、尋ねたいことがある」と電話があった。その方は、横浜市内に住んでおられて、お母さんが若い時に亜浪先生に添削など直接指導を受けたとのこと。亜浪先生の軸が4本あるが、そのうち一つの意味がわからないから教えてもらえないかと。お母さんは吉野義子さんと親しく、義子さんの句碑を岡山のご自分の母校に建てるのに尽力されたということ。義子さんと言えば、義子さんは大野林火の弟子。臥風先生のお宅の句会でご一緒した。お宅にも伺って、句会をしたことがある。ここで、義子さんの話を聞くとは思わなかった。
亜浪先生の句は
「茸の香を(お)毛へ婆玉梅思ひもす」
今では、ちょっと謎めいている。調べないとわからないので、後程電話しますと言って受話器を置いた。すぐネットで検索したが、まったく出てこない。
「薄田泣菫」の随筆に「茸の香」が青空文庫で見つかった。匂いについて書かれた名随筆とのこと。A4用紙一枚と少しの分量。香魚(あゆ)を食べるのは、香魚を食べるのではなく、淡水(まみず)を味わうのだ、とか。茸を食べるのは、「山の匂い」を味わうのだ、とかいう具合。なにか、このあたりにヒントがありそうな気がしてきた。亜浪が、泣菫のこの随筆を読んでいたのかどうかわからないが。
●電話で、その方に、「花冠の広告、高い広告料を出しているが、役に立ってるのか、立ってないのかと思うんですけどね。」というと、「そんなことはないです。師系亜浪を見つけて、藁にもすがる思いで電話をしました。とても役にたっています。」と。そういう役立ち方かと、広告のいくつもある意義を思った。
●こういう方が日本中におられるだろうから、「花冠」を続ける意味があるというものかも。大結社である必要も、立派な本である必要もない。ただ雑誌が存続することが大切なのだと。
●「あなたは生きている価値があるのか」という問に対して、「ただ存在していることに価値があるのです。」と言えそうな気がしてきた。それは、いま上に書いた理由による。
晴れ
●午前、花冠365号を会員に送る。午後、国会図書館、新聞社、俳句総合雑誌、それに会員以外の花冠にゆかりのある人たちに贈る。39通。ゆうメールより、定形外郵便のほうが安い。一通140円。ゆうメールなら180円。
曇り
●花冠365号にミスが二か所見つかる。訂正の紙を印刷して貼る。合同句集を出したときの書籍用紙の残りがあったので、それに印刷。貼ったところがそれほど目立たない。
●句美子に雑誌はどう?と聞くと、これでいいという。「年寄りのお母さんがワードで作ったのだから、上等だと思わない?」というと、「本当はびっくりした」、と言う。「そうでしょう」、と言っておいた。「本づくりのソフトがあるんじゃない?」と聞くから、「あると思うけど、高いかもしれない」と言っておいた。「次の号からは編集長お願いしますよ」と頼んでおいた。次は来年1月10日発行の予定。
●俳句にかかきりで、掃除と洗濯、台所の片づけをせねば、どうにもならなくなっている。全速力で自分の部屋を残して家じゅうの掃除、洗濯2回。冷蔵庫の整理。資源ごみの整理。2時半ごろにはなんとか、片付いた。それからまた、花冠の発送準備と、句美子が来るので、おかずをいくつか作る。
曇
朝顔の未明の空とおなじ白 正子
梅洗う梅ひとつぶずつに銀の水 正子
梅雨夕餉小さき皿の菜(さい)並べ 正子
●夕刻、ゆうパックで花冠365号、100冊届いた。入稿したのが6月21日、雑誌となって届いたのが今日6月26日夕刻。異例の速さ。郵便さんの姿を見たとき、早々とお中元かと思ったくらい。
製本も印刷もきれい。雑誌としては、基本の体裁なので、費用の問題もあるが、工夫の余地はたくさんある。けど、欲は出すまい。よそと比べまい。まずは、形となってよかった。信之先生にあまり相談せずに進めたので、あっという間にできて信じられない様子。
●朝顔が咲く。一昨日の夕方買って来た苗が白い花をつけた。どこに植えるか決めかねているというのに。「あさがお」が咲いたというと、信之先生も見に来た。
●昨夜『The Invisible Man』の3回目を読みながら、ドイツの「クラッシク・アインス」と言うインターネットラジオを聞いていた。リムスキー・コルサコフの「Die Sage von der Unsichtbaren Stadt Kitesch..」と読める曲がかかっていた。これは歌劇らしいが、結構いい曲。そして今朝の朝日の投書欄「目に見えないものを大切に」の記事。やたら、「目に見えない」が目に飛び込んでくる。
●花冠では、ネットで匿名、俳号を使わないようにしてもらっている。「存在のリアリティ」と「安全」が損なわれるから。匿名も、ある意味匿名をいう洋服を来た「目に見えない人」(透明人間)の感覚を帯びている。
信之先生が他の俳句結社に先駆けて「インターネット俳句センター」を1996年に立ち上げたとき、ネット上の匿名について議論した。さらに、どんな文で書くかということも議論した。匿名は使わない。俳号も使わない。ネットの向こうに実在することを確認したい。実名を使うことでこれまで、事件、事故が起きたことはない。むしろ、安全が保障されやすい傾向にある。
文(体)は、年齢層も広く、職業や経歴もさまざまな人たち、つまり、広く言えば全世界のいろんな人たちに向けての言葉。これをどんな日本語にするかは、試行錯誤。「ネット上では、文は短く、言葉は平易で丁寧に。良い点を強調し、欠点は強く言わない。」が以後のスタンスになった。ほぼこの状態が1996年の立ち上げから続いている。これは、ネットで俳句のコメントをするときの大前提。「欠点を強く言わない」は、批評の欠如にもなる。ここが悩ましいところ。明日は台風5号が小笠原諸島に近づく。
曇り
●「オリーブvol.3」を頂く。編集は木村晴美さん。印刷所は、KK三共美術印刷。
晴美さんの「薔薇の香水」18句から好きな句。
伊根湾の船蔵に灯や春のく
放水のダムがうがうと夏始
ひとり旅の小さきホテル髪洗ふ
伊根湾は天橋立から近いところで、独特の漁港の風景で知られているとのこと。ネットで見ると、家と家の間か海が見える。家の一階は、船のガレージ。海側から見ると、海へ向けて口が開いて船が出入りできるようになっている。二階は仕事をするための住まいで、本宅は海筋の反対側にあるらしい。
主宰の水谷由美子さんの句
「山羊の乳」18句から好きな句
踝を五月の波に濡らしたる
露涼し朝餉の前の山羊の乳
奥の間の鞄の上の夏帽子
くもり
●昨日過ぎ、井口文華堂へ花冠発送用の封筒を買いに行くが、クラフト封筒は置いてなかった。これまで100枚入りの角6号を買っていたが、店が移転してから事務用品といわれる品物がない。高級文具と外国たばこなどしか置いていない。目についた鳩居堂のシルクスクリーンのはがき5枚入り4種類を買う。文具店でいろんな和紙や文具を見て楽しんでいたが、そんな楽しみがなくなりつつある。紙の文化が失われつつあるのではという気がする。
●文華堂を出て、東急内の文具店に行くと角6は10枚308円と高い。ダイソーで角5号を見つけたので、ゆとりがありすぎるが買う。100円で11枚。
●午後発送用の封筒を印刷。宛名ラベルも作る。
晴れ
しろがねの朝の雲へと立葵 正子
老鶯を切っ先に止め避雷針 正子
若竹のほどけし緑朝日受け 正子
●花冠365号を校了。
●早朝、5丁目の丘へ。鴬が二羽いるらしい。今朝は、蓄電池装置の避雷針に止まって鳴いていた。この前は、枯れた立ち竹のてっぺんに。てっぺんが好きな鴬らしい。もう一羽は、500mくらい離れた谷間の木の茂りに。鴬の谷渡りの声を聞いたが、谷を渡ることもなく、止まったまま鳴いている。「谷渡りの声」を聞くと、谷を渡っている姿を想像できる。そういう風に思い込んでいた。
蓄電池装置の裾に桑の実によく似た赤い実がなっていた。そのなかに小鳥がいるようだったが姿が見えないので何の鳥かわからない。
晴れ
夏至の日や海風吹かばと思いけり 正子
夏至の午後はやばや酢飯作り置く 正子
西瓜切れば三角形の立ち並ぶ 正子
●印刷所からの連絡で、365号の原稿の余白は、大丈夫だということ。今朝、印刷を発注した。ページ組の確認があって、問題なければ印刷に入るとのこと。(夕べ寝ながら読んでいて、原稿に1か所誤字を見つけた。一か所でもファイルは書き換え。)
●365号の体裁は、A5、表紙は上質紙、本文は書籍紙、表紙の色は浅黄。無せん・右綴じ。表紙の裏にも印刷するので、表紙の色が制約される。浅黄は地味かも。やってみなければわからない。
●スピード冊子印刷から16時過ぎ、校正用電子ブックが届く。イメージ通り、きれいにできている。訂正箇所がないので今日、校了してよいが、念のため明日もう一度チェックして、校了のメールを送ることにする。
「スピード冊子印刷」の名前のとおり、仕事が速い。
●千日紅のかわいい色のを探していて、今日やっと近所の花屋で見つける。色違いを2株買う。息抜きに出かけたい気分。
晴れのちくもり
●朝から、編集。編集の休憩に食事の支度、洗濯。なぜか忙しい時に掃除をしたくなり、拭き掃除もする。今夜には印刷所にメールで原稿を送信して、余白が大丈夫か確かめてもらう。22日までに入稿すれば、希望した日に間に合うとのこと。
●夕方句美子が来たので、花冠365号をみてもらう。ページの入れ方、枠の作り方、Zip、Adobeのことを聞く。ほぼ分かっていたが、もっとサクサクできる方法を教えてもらう。1時間ばかりかかって、原稿の誤字、脱字、ずれなど校正をした。これでいよいよ原稿がととのったので、夜中、印刷所に原稿をメールで送った。思いついてちょうど1か月。4,5回は割り付けを変更し、原稿を取り換えた。が、やっとこぎつけた。われながら、ご苦労さんです。
●明日からは、「俳壇」の原稿にかからなくては。期限は7月8日。あと18日。4ページの原稿。「花冠ほぼ40周年史」なので誰かに頼めないし。頑張りましょう。
●『薫陶』へのお礼の手紙に、陶句郎さんから信之先生と私宛返信。書面の芸術的なインクの色、書体、工房らしい名前シール。楽しく拝読した。それに、私が好きな句たくさんを選んだので感激したと。15句でしたが。今回は自選句と重なる句が多かった。
●カモミールに蕾が付いた。苗を植えたのが3月7日。待ちに待った蕾。金魚草が急に良く咲く。父の日どころではない、一日。