font size=”3″>★みずひきの朱が試験期の図書館に 正子
みずひき草は、俳句を作るようになって、自然に知った花だと思う。上のみずひきの句は、大学生のときの句だが、図書館にさりげなく活けてあった。大学構内のどこかにあるのを司書の方が摘んできたのかもしれない。砥部の家の庭にも植えたのか、自然に生えたのかわからない形で、初秋のころから赤い糸を引くように咲いた。みずひき草が咲くと、やはり活けたくなって、切り取って玄関に活けた。みずひき草は、「澄んだ空気」とよく似合う。だから、空気と似合うように活けて自己満足する。
みずひき草には赤だけでなく、白い「銀みずひき」というのもある。蕾のときは、白さがよくわからないが、先日は、買い物の途中で、あの細いみずひきが満開になっているのを見た。それだけで済ますにはもったいないので、家に帰りカメラを持って出掛けた。小さな泡の粒粒が空気に浮かんでいるように見えたが、これもきれいだ。(自句自解)
○今日の俳句
★水滴に秋の日かがやきミント摘む/高橋句美子
ミントの葉に如露の水か、水滴が付いて、それを静かな秋の日が輝かせている。そのきれいな水滴の付いたミントの葉を摘むゆっくりとそして爽やかな時間が若々しく詠まれている。(高橋正子)
●晴れ。台風25号の影響で、真夏日。しかし、風は爽やか。
帚木の紅に染まれり台風後 正子
秋灯にメロン熟らして今日三日 正子
安売りの茗荷紅色うすきかな 正子
生家
爪先も指も濡れたり茗荷摘む 正子
秋灯の畳に本を積み重ね 正子
○桜蓼(さくらたで)

[さくらたで/東京・向島百花園]
★食べてゐる牛の口より蓼の花/高野素十
★一枚の洗ひ障子や蓼の中/瀧春一
★寺門出てそこが畦道蓼の花/稲畑汀子
桜蓼(さくらたで、学名:Polygonum conspicuum)は、タデ科タデ属の多年草。
北海道~九州の水辺に生える。根茎は地中で長くのび、枝を分けてふえる。茎は直立し、高さは50~100cmになる。葉は披針形で長さ7~13cm、短い葉柄がある。両端はとがり、両面に短い毛がある。鞘状の托葉は短い筒形で、ふちに長く堅い毛がある。秋に、うすピンク色のきれいな小花が咲く。花序は1~3本に分枝し、花穂は細長く、やや密に花をつけ、上部は垂れ下がる。花被は深く5裂し、長さ5~6mmで淡紅色を帯びる。花は直径約8mm。花には長花柱花と短花柱花との2型がある。雄しべは通常8個、雌しべは1個で柱頭は3岐する。果実はそう果で、長さ3~3.5mmの3稜形、黒色で光沢がない。 花期は8~10月。
よく似た「白花桜蓼(しろばなさくらたで)」もある。花色が白く、花被が長さ3~4mmと小さい。蓼の花には、犬蓼・桜蓼・御蓼・岩蓼・穂蓼がある。
◇生活する花たち「いぬたで・金木犀・やぶまめの花」(四季の森公園)

★いっせいに月を待つべく曼珠沙華 正子
○今日の俳句
早朝の山懐の霧深し/井上治代
大洲盆地らしい私の好きな風景だ。早朝でなくても、松山から峠を越えるあたりから、道は流れるような霧に包まれることもあった。(高橋正子)
●曇り。今日から駒林神社の祭り。今朝は、肌寒い。祭りと言えば、昼間は神輿について回れば汗ばむほどだが、夜神楽を見るときは箪笥から毛糸のベストを出して着た記憶がある。
みずほ銀行のATM今日から3連休。
○藪豆(やぶまめ)
[やぶまめの花/横浜・四季の森公園]
★藪豆の花と実を見る快活に/高橋信之
★秋の茂りやぶまめの花絡みつき/高橋正子
ヤブマメは、マメ科ヤブマメ属のツル性一年生草本で、学名は、Amphicarpaea edgeworthii var japonica。北海道から九州、朝鮮から中国に見られ、林縁や草原などに生育する。夏から秋にかけて花を咲かせ、実をつけるが、地中にも閉鎖花を付ける。茎の一部から地中に枝が伸び、土の中で果実を稔らせる。この果実の中には種子は1つしかなく、地上部に形成される種子よりも大きい。地上部の種子は有性生殖であるので多様な性質を持っており、新たな場所へと散布されることを期待している。地下に形成した種子は、単為生殖であるので自らと同じ遺伝子を持っており、まずは来年への存続を確保するという戦略である。このような戦略は、来年もヤブマメが生育可能な立地条件であることがかなりの確度で予想される場合に成り立つ。ヤブマメの生育地は、そのような、来年も一年性のツル植物が生育可能な立地である。 茎は細く,下向きの細い毛がある。葉は3小葉に分かれた複葉で,基部に托葉がある。頂小葉は広卵形または卵形で,長さ3~6cm。2型花をつける。開花する花は8~10月に葉腋(ようえき)から出る短い総状花序に2~8個がつき,紫色の蝶形花で,長さ15~20mm。閉鎖花は花弁がなく,葉腋に1個だけつく。果実は多くは閉鎖花から熟し,地上と地中とにできる。
北海道では山菜として食され、栽培化も試みられた比較的身近な植物になっている。特にアイヌの人たち好まれ、味は”甘栗”のようで炊き込みご飯や煮物にした『アイヌ民族博物館だより』。栄養成分分析によるとカリウムが多く含まれ、ついでリン、マグネシウムほかとなっている『伝承有用植物』。アイヌの人たちがいつ頃から食用にしていたのか分からないが、万葉集(4252)では別れがたい防人の想いをノイバラに絡みつくマメの姿に重ねて歌っており、このマメはヤブマメとされ、昔からその存在は知られていたようだ。
◇生活する花たち「ノダケ・シロバナサクラタデ・ユウガギク」(東京白金台・国立自然教育園)

★秋の潮満ち来る波の触れあいて 正子
穏やかな秋の日に、潮波の触れ合う音が聞こえてくるようです。(祝恵子)
○今日の俳句
寄りし娘に持たす枝豆ゆでたてを/祝恵子
ゆでたてのほっくりした枝豆に母のさりげない愛情が読み取れる。立ち寄る娘のさりげなさも、自然体で美しい。(高橋正子)
●小雨。大型台風25号が沖縄から、西日本、日本海を湾曲して北日本へ。三連休も台風に。
電話あり。声ですぐ圭泉さんとわかる。圭泉さんは退会されてはいるけれど花冠のファン。「俳句四季10月号」を送る。
」
幾たびも台風受けて秋桜 正子
コスモスの苗が花屋に育ちけり 正子
秋冷の青き葡萄の見舞い籠 正子
秋冷の駅の灯りを山頂より 正子
箒草今朝紅らみて割れ鉢に 正子
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「現の証拠・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★十五夜の箱根山道踏みおりぬ 正子
ドライブウエィーでなく細い山道かと思います。十五夜の頃であれば道の両側には薄も穂を出し月光に耀いていたことでしょう。それにしましても又とない体験をされたものと思います。 (黒谷光子)
○今日の俳句
十五夜の光り差し込む青畳/黒谷光子
藺草の匂いもすがすがしい青畳に十五夜の月の光が差しむと、畳の上はきよらかな月光の世界。畳に踏む月光のすがすがしさと美しさを簡潔な句にまとめた。(高橋正子)
●曇り。台風25号沖縄に近づく。
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
★十月のげんのしょうこは可愛ゆしと/高橋正子
げんのしょうこは、ドクダミ、センブリなどの日本の3大民間薬として用いられる。戦後の四国に居たときのことだが、げんのしょうこを近くの空地などで採取、乾燥し、煎じて飲んだ。下痢の症状に効果があって、これも60年以上も昔の懐かしい思い出なのだが、その美しい花を見た記憶がない。げんのしょうこを「可愛ゆし」と見た率直な実感がいい。(高橋信之)
げんのしょうこは、季語では夏。昨日10月5日、四季の森公園へ信之先生と行った。野外に出かけるときの服装は、家を出るとき少し薄着をして、涼しいくらい、寒いくらいで出かけるのが私の常。それに調整のきく服や手袋、マフラー、スカーフなどを持つ。それに山行きの服装を好んでいる。それ向きに繊維も新素材を使っているせいか、何年たっても痛みも少なく重宝している。
四季の森には、いろいろ珍しいものも、そうでないものも咲いていた。げんのしょうこを林縁の落葉が積む中で見つけた。草丈10センチほどで、花も8ミリほど。小さかった。もう終わりなのだ。関東には白花が多いときくが、昨日も白花であった。民間薬として下痢止めに飲まれているそうだが、私は飲んだことはない。紅色にしろ、白色にしろ、可愛い花だ。
昨日の四季の森公園は秋の花がいろいろと。吾亦紅、山とりかぶと、ノダケ、ヤブマメ、イヌショウマ、釣船草、黄釣船草、溝そば、水引草、ヒヨドリ草、彼岸花、白彼岸花、野菊(おもにはヨメナ)、葦の花、薄コスモス、キツネノマゴ(なぜマゴなのでしょう?)、アメリカセンダングサ、サンシュの実、それに林縁の縁の日陰にはきのこ類など。
マユタテアカネという緋色のしっぽの赤とんぼ、馬追いが、ロープに止まって、カメラを近づけても飛び立たない。キリギリスがよく鳴き、つくつく法師が遠くから聞こえた。野鳥、これがなにかわかないが森に2,3種鳴くのが聞こえた。幸い昨日は、四季の森のスタッフのかたにし草の名前をいろいろ聞くことができた。山とりかぶとはこの山にたくさんあるとのこと。紫式部は見つけることができなかった。カワセミの飛翔も見た。
★かわせみ飛ぶ青の速さというべくに/高橋正子
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「野菊・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★秋の潮満ち来る波の触れあいて 正子
穏やかな秋の日に、潮波の触れ合う音が聞こえてくるようです。(祝恵子)
○今日の俳句
寄りし娘に持たす枝豆ゆでたてを/祝恵子
ゆでたてのほっくりした枝豆に母のさりげない愛情が読み取れる。立ち寄る娘のさりげなさも、自然体で美しい。(高橋正子)
●曇り。
『朝吹秀和句集』恵送のお礼を投函。
【句集感想】
第一句集の『青いサーベル』の印象が今でもとても強く残っておりますが、
その時は、朝吹さんが磯貝碧諦館氏の弟子であることをあまりに重く考えな
いで、拝読したように思います。今回の句集に収められました「論考・草田
男の詩精神継承を目指して」を拝読し、朝吹さんの句は、草田男ー碧諦館と
繋がる師系のなかで生まれたのであろうと思うと、俳句の構造に随分納得し
て鑑賞できました。高みのある御句にいつもながら姿勢を正される思いです。
二十年ぐらい前になりますけれども、上野で「ケルト美術展」が日本で初
めて開催されて、それを偶々見ました。そのケルトの印象が未だに強く自分
の内に残っていて、何かそういった印象のものに出会うと、それを思い出し
ます。勝手な読みですが、朝吹さんの俳句の何句かに、そのケルト的なもの
を感じました。
『夏の鏃』以後の句から好きな句を選ばせていただきます。
末枯やゴッホの燃やす日の沈む
「末枯」と「日の沈む」のもつイメージにゴッホの色やうねるような筆遣
いが様々思い浮かびました。
枯野より眠れるチェロを抱き起こす
こんな感じで始まるチェロの弦の響きが耳の底から聞こえて来るようです。
蕭条とした中の温かみのある音色。読み手に音楽を聞かせてくれて、いつも
ながら、さすがと思います。
角材の切り口香る年の暮
年の暮に木材の切り口が、よく香るのに出合った経験はしばしばあります。
冬の空気に匂う木材のかぐわしさに、新鮮さと明るさを感じます。
酢海鼠や死者と一献交わしける
一献交わすとき死者はそこに来ているのでしょう。斎藤 史の「ひつそり
と死者の來てゐる雪の夜熱い紅茶をいれましようね」を思い出しておりまし
た。
追悼 磯貝碧諦館
握る手の永遠の温もり花月夜
かたく握った手の温もりはそこに静止し、永遠に続く。最期の時は永遠の時であって、
それにふさわしい美しい花月夜です。
海鳴りの彼方の母やかき氷
「かき氷」とあるから、少年の日ころの母を思い出されたのでしょうか。「海鳴りの彼
方」の切なさが、なんともいいと思います。
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「野菊・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★刈り進む稲田の真っ赤なコンバイン 正子
今、当に稲刈りの真っ最中です。黄金に熟れた豊かな稲田を真っ赤なコンバインが爽やかな音を響かせて刈り進んでいる。コンストラストが鮮明でコンバインの勢いと刈り進んでゆく人の収穫の歓びも合わせ見えて参ります。(佃 康水)
○今日の俳句
満月や瀬戸の潮騒高まりぬ/佃 康水
月に左右される潮の干満。満月が昇ると、おだやかな瀬戸もざわざわと潮騒が高まる。潮騒の高まりに、ますます輝く満月となって、臨場感のある句となった。(高橋正子)
●爽やかな秋晴れ。
ネット短信No.355を発信。
https://blog.goo.ne.jp/kakan107
「俳句四季10月号・花冠創立35周年」の同人各位の感想をまとめ、「ブログ版俳句雑誌花冠」に載せる。
https://blog.goo.ne.jp/kakan12
昨日、『朝吹秀和句集』(現代俳句文庫84-ふらんす堂/2018.9.25発行)が贈られた。初めて写真を拝見。読みたい本があったが、それは後回しに。
第一句集『青きサーベル』第二句集『光の槍』は贈っていただいた。第三句集『夏の鏃』は読んでいない気がする。句集の中の感銘句はあとで挙げるとして、朝吹さんは、磯貝碧諦館の「握手」の編集長を終刊までされていて、草田男ー碧諦館と連なる師系におられる。このことは、句集の中のエッセイ「論考・草田男精神の継承を目指して」でより明らかにされている。
そのことで、はたと思った。朝吹さんの句を師系に置かないで読んだ場合と、師系列の中で読むのでは、まるで、理解が違う、ということを思った。「師系おそるべし」。朝吹さんの句は、草田男から碧諦館を経て詠まれているのだと気づいた。
自分の句に関しても、複雑だが、師系列のなかで理解してほしいと願うし、それに嵌めないでとも願う。
○貴船菊
[貴船菊/横浜日吉本町] [貴船菊/イギリス・コッツウォルズ]
★観音の影のさまなる貴船菊/阿部みどり女
コッズウォルズ
★小さき村貴舟菊をどの家も/高橋正子
秀明菊は貴船菊ともいう。俳句では貴船菊が多い。多く観られる京都洛北の貴船に由来する。ピンクの花弁は実は額片で中央の黄色は雄蕊、地下茎で増える。
シュウメイギク(秋明菊、学名:Anemone hupehensis var. japonica)とは、キンポウゲ科の植物の一種。別名、キブネギク(貴船菊)。名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である。中国から古い時代に入ってきた帰化植物である。文献上では「花壇綱目」に「秋明菊」の名前で記載が成れていて、日本に定着していたことが窺える。中国では明代末の「本草綱目」には記載はなく「三才図会」に「秋牡丹」の名前で記載されるようになる。「秋牡丹」の呼称は貝原益軒も「大和本草」で使用している。以後日本の園芸書には「秋明菊」「秋牡丹」で紹介されることが多くなり、「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれることになった。花色は赤紫色であるが、近年、他種との交配品種が市販されるようになり、弁数が少ない品種や白色の品種が多く栽培されて名称の混乱が見られる。多年草で開花期は秋、高く伸びた花茎の上に大柄な花をつける。花は多数の赤紫色の花弁状の萼片が目立ち、本物の花弁はない。
◇生活する花たち「ノダケ・シロバナサクラタデ・ユウガギク」(東京白金台・国立自然教育園)

font size=”3″>★藤袴スカイツリーのいや真直ぐ 正子
古来より親しまれた秋の七草と、時代の最先端のタワーとの対照的な存在感ながら、秋空のもと美しく爽やかな景観です。淡紫色の小花の藤袴と空へ真っ直ぐ伸びる巨大なスカイツリーが新鮮に目に映り、風景の広がりを感じさせてくれます。(藤田洋子)
○今日の俳句
幾重にも石積みの畑秋高し/藤田洋子
段々畑は、石を積み上げて猫の額ほどの畑を山頂へと幾段も作った。作物にやる水も下から桶で運びあげねばならず、日本の零細農業の象徴のような存在だが、その景観は美しい。秋空を背にして山頂までの石垣がまぶしい。(高橋正子)
●台風一過、青空が広がる。今朝、ベランダに朝顔と、ラベンダーの鉢が倒れていた。玄関は、外からは5メートルほどあるのに水が溜まっている。雨が吹き込んだ模様。台風の残した空気のせいで、今日は30C°になる。
○現の証拠(げんのしょうこ)

[げんのしょうこ/横浜・四季の森公園] [げんのしょうこ/東京・向島百花園]
★うちかヾみげんのしょうこの花を見る/高浜虚子
★山の日がげんのしょうこの花に倦む/長谷川素逝
★手にしたるげんのしょうこを萎れしめ/加藤楸邨
★草掻き分けてげんのしょうこの花がある/高橋信之
★十月のげんのしょうこは可愛ゆしと/高橋正子
げんのしょうこは、ドクダミ、センブリなどの日本の3大民間薬として用いられる。戦後の四国に居たときのことだが、げんのしょうこを近くの空地などで採取、乾燥し、煎じて飲んだ。下痢の症状に効果があって、これも60年以上も昔の懐かしい思い出なのだが、その美しい花を見た記憶がない。げんのしょうこを「可愛ゆし」と見た率直な実感がいい。(高橋信之)
ゲンノショウコ(現の証拠 Geranium thunbergii)は、フウロソウ科の多年草。日本では北海道の草地や本州~九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生する。生薬のひとつであり、植物名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいう。茎は約30-40cmに伸び、葉は掌状に分かれる。紅紫色または白紫色の花は夏に開花し、花弁は5枚(紅紫花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる)。秋に種子を飛散させた後で果柄を立てた様が神輿のように見える事から、ミコシグサとも呼ばれる。近い仲間にアメリカフウロ、老鶴草などがある。
ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格である。江戸時代から民間薬として用いられるようになり、『本草綱目啓蒙』(1803年)にも取り上げられた。現代の日本薬局方にも「ゲンノショウコ」として見える。但し、伝統的な漢方方剤(漢方薬)では用いない。有効成分はタンニン。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることからイシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ。
生活する花たち「野菊・藤袴・萩」(東京・向島百花園)

★藤袴スカイツリーのいや真直ぐ 正子
スカイツリーは真っ直ぐすぎ、高すぎ、姿からすると東京タワーの方が人気があるとききました。藤袴との取り合わせが新鮮です。 (多田有花)
○今日の俳句
さわやかに心を決めていることも/多田有花
この句は、心にきめていることがあって、それはさわやかなものだ、というのみである。体内をさわやかに風が吹く感じだ。(高橋正子)
●台風24号が和歌山の田辺市に上陸し、夜11時ごろ関東を通る。部屋にいると窓を打つ普通の雨の音。
11時ごろになって、急に風が強くなり、アルミサッシの窓が鳴っている。窓から様子を見ると、自動車の屋根に当たった雨が煙のようになって斜めに走っている。窓を少し開けると、湿気を含んだむっとした空気。
○白曼珠沙華
[白曼珠沙華/横浜日吉本町] [白曼珠沙華/横浜・四季の森公園]
★白曼珠沙華群れて池への斜面に立つ/高橋信之
★旅すれば棚田棚田の曼珠沙華/高橋正子
日本に自生している彼岸花類では、白い彼岸花 白花ヒガンバナ(アルビフロラ)、黄色い彼岸花 ショウキラン、赤い彼岸花 曼珠沙華、橙色の彼岸花 キツネノカミソリやオオキツネノカミソリ、などがよく知られています。
白花ヒガンバナあるいは白花まんじゅしゃげといわれるものには、花色、花形、葉色の異なるタイプがいくつかあります。花色は純な白というわけではではなく、クリームがかった白、うすいピンクがかった白、濃い目のピンク(アルビピンク、チェリーピンク)などいくつかの変異が見られます。花形は、花弁がやや幅広くてフリルの入るものや、細弁のものなどがあり、いずれも強く反転します。葉色にも濃淡の差があります。
白花ヒガンバナの中で、花弁が幅広くてフリルの入るタイプを「アルビフロラ」、細弁のタイプを「エルジアエ」と言うんだよ、と教えてくれた人があります。一般には、広弁のタイプも細弁のタイプも含めて、白花ヒガンバナ(アルビフロラ)で流通しているようです。「フォーン」は、アルビフロラに似ていますが、クリーム色の広い花弁が波を打ち、力強くてりっぱな花姿です。開花はアルビフロラとほぼ同じで、9月半ばごろになります。
白花ヒガンバナは、黄色のショウキランと彼岸花の雑種といわれています。そうなると、ショウキランの相方はよく実の着く中国産の彼岸花だったのでしょうか。それともショウキランが日本の彼岸花とたまたま巡り会って、白花ヒガンバナが生まれたのでしょうか。いろんなタイプの白花ヒガンバナがあるということは、いくつかの巡り会わせがあったのかもしれません。色彩の世界では、赤と黄色を混ぜ合わせたら、オレンジないしは柿色などを想像しますが、ショウキランの黄と彼岸花の赤とがかけ合わされた結果、白色の花ができるというのも、なんだか不思議な感じがします。
生活する花たち「野菊・藤袴・萩」(東京・向島百花園)
