3月21日(水)

★はつらつとまたかがやかにヒアシンス   正子
わが家の長男と次男は1月生まれですが、嘗てその頃二人とも、産まれる頃に合わせてヒアシンスの水耕栽培のものを購入し、玄関の日当たりの良い場所に置いて眺めていました。秋に芽が出、白い根が水の中に生える様子を眺めては、お腹の中の赤ちゃんの様子に重ねていました。花が咲く頃には、子供も生まれると想うと大変心が弾みました。そのように特別の想いのあるヒアシンスの花は、「はつらつ、かがやか」との表現がぴったりです。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
水底の透けて煌めき蘆の角/桑本栄太郎
湿地の水が日差しに澄んで、蘆の緑の角が伸び始めた。枯から再生する緑の新芽が力強く美しい。(高橋正子)

●雨のち雪、次第に霙に。冷える。
春分の日。おはぎを買った。一口サイズ。餡、黄な粉、ごま。ごまが好みかな。母は、黄な粉のおはぎだけだった。彼岸にはお寺に供えるために、重箱に入れて持って行かされた。お寺の奥さんがお返しに手作りのあられをくれた。砂糖を絡めたのと、塩味があった。あられを持って帰ると、お寺の奥さんのあられの炒り上手を祖母や母が誉めた。そのあられを「お釈迦さんの鼻くそ」と呼んでいたが、お釈迦さんの鼻くそを食べて、ましな人間になれと言う意味だったの。「爪の垢でも煎じて飲め」とはよく言うが、その類なのか。

○春分
★春分の日をやはらかくひとりかな/山田みづえ
★春分の日切株が野に光る/安養白翠
★春分の田の涯にある雪の寺/皆川盤水

 春分(しゅんぶん)は、二十四節気の第4。二月中(旧暦2月内)。現在広まっている定気法では、太陽が春分点を通過した瞬間、すなわち太陽黄経が0度となったときで、3月21日ごろになる。昨年は3月20日で、今年は3月21日。暦ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とする。
 春分の日(しゅんぶんのひ)は、春分が起こる日である。しばしば、「昼と夜の長さが同じになる。」といわれるが、実際は昼の方が長い。春分の日は、日本の国民の祝日の一つである。祝日法第2条では「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを趣旨としている。仏教各派ではこの日「春季彼岸会」が行われ、宗派問わず墓参りをする人も多い。

○ゆすら(桜桃)の花

[ゆすらの花/横浜日吉本町]

3月20日(火)

★流れ寄りまた離れゆき春の鴨   正子
河口近くのゆったりとした流れのなか、鴨たちが浮かんでいます。
あるときは寄り、あるときは離れる鴨の群れにすっかり明るくなった春の日差しが降り注ぎます。
穏やかな時間が流れるひとときです。(多田有花)

○今日の俳句
梅が香の真ん中にいて風を聞く/多田有花
梅の香の漂うところに立てば、風が吹いている。目に触れる梅の花、鼻に嗅ぐ梅の香り、耳に聞く風の音。それ頬には早春の風も触れてゆくことだろう。感覚の大いに働いた句である。(高橋正子)

雨。8度。
昨日、私に21句が掲載された「俳句界3月号」を友人に渡した。直ぐに家に持ち帰った読んだのだけれど、「漢字が読めない」との返事。はっと気づいた。俳句を長年作っているものにはなじみの木や花の名前も、俳句を作らない人は普段使ったり、読んだりしないのだと。子どもたちの伴侶も俳句を作らないので、送ったけれど読めていないだろう。それで、掲載句を5部コピーして、漢字すべてにふり仮名をつけた。いずれ手渡す。読んでもらなければ、ただ載ったということに終わる。わたしの句は言葉がやさしいから読みやすいのだという花冠同人の感想に安心していたのだが、迂闊だった。彼女の率直な感想に助けられた。これからは、心しよう。

○ミツバツツジ

[ミツバツツジ/横浜日吉本町]

3月19日(月)

★つばき落ちる音の一会に朝厨   正子
艶麗な花を咲かせる椿は花全体が音を立てて地面に落ちる。その長閑な音を朝餉の用意をしながら聞いている。素晴らしい朝ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
初蝶のゆったり超ゆる大伽藍/小口泰與
大伽藍と小さな初蝶の対比、初蝶のういういしさ、可憐さ、うららかさをよく表すことになった。(高橋正子)

●曇り。きのう靖国神社の桜の開花宣言。
桜咲く何かあやしく世が動き      正子
白れんのこの崖っぷちが崩れそう    正子

○桜開花

[桜開花/横浜日吉本町(2013年3月18日)]

3月18日(日)

★囀りの抜け来る空の半円球   正子
遮るものもない、丸く大きな青空から囀りが聞こえてくる。何処からだろうか。声だけで姿は見えない。まるで遥か高みから空を通り抜けてくるようだ。・・・静かで揺るぎない春のひと日を感じることが出来ます。(小西 宏)

○今日の俳句
ひとつずつ地に触れ消える春の雪/小西 宏
春の雪の降る行方を見ていると、雪片は一つずつ地に触れて消えてゆく。水分を多く含んだ春の雪の美しくも儚い様子。(高橋正子)

●気温が上がって、ベランダの花がよく咲きだした。だのに水切れの鉢も。萎れた花には特にたっぷりと水をやる。鉢の水切れは、つまらない忙しさが続いたため。
朝日の日曜俳句の選者に金子兜太が消えたまま。次の人がでてきたのがこれまでであったが、どうなってるのだろう。

○菫(すみれ)

[菫/横浜日吉本町]

3月17日(土)

★花すもも散るや夜道の片側に   正子
夜の静けさに、らんまんと咲いたすももの花の、雪のようにはらはらと散るさまが美しいかぎりです。夜道の片側にこぼれる、花すもものひそやかな情景に、春の夜の淡く柔らかな空気感も伝わってまいります。(藤田洋子)

○今日の俳句
桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)

●晴れ。ゆうべの風が運んだ埃で物干し竿もベランダの手すりも誇りまみれ。春埃とはよく言ったもの。
春埃の手すり歳月かく過ぎぬ  正子
更地なりラッパ水仙残さるる  正子

ネット短信No.345発信。
俳壇4月号の秀之さんの句をコピーし会員に郵送。

○辛夷(こぶし)

[辛夷/横浜都筑区緑道ふじやとの道]

3月16日(金)

★花すもも散るや夜道の片側に   正子
夜の静けさに、らんまんと咲いたすももの花の、雪のようにはらはらと散るさまが美しいかぎりです。夜道の片側にこぼれる、花すもものひそやかな情景に、春の夜の淡く柔らかな空気感も伝わってまいります。(藤田洋子)

○今日の俳句
桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)

●曇りのち雨。雨のあと急に寒さがもどる。
現代俳句協会神奈川県支部の事務局長、尾崎さんから電話。3月25日の総会に新会員として紹介していただけるとのこと。11時30分までに神奈川県民センターに。

○辛夷(こぶし)

[辛夷/横浜都筑区緑道ふじやとの道]

3月15日(木)

★花丈の揃い真白なシクラメン   正子
シクラメンと言えば紅やピンクと思っていましたが白はたいへん珍しく思います。その白いシクラメンがプランターにでも植えられているのでしょう。思い浮かべて清らかな気持ちになりました。(黒谷光子)

○今日の俳句
下萌えの足裏にやさし池巡る/黒谷光子
池の土手を巡りながら、足裏に柔らかさを感じる。土手はもう下萌えている。足裏より全身に伝わる柔らかさが春の訪れを実感させている。
(高橋 正子)

●きのうより一段と暖かい。もう春なのだ。午後から曇る。
子ども俳句の髙橋成哉くんが神戸大学に合格。お祝いに図書カードを送る。成哉くんは幼稚園のときからずっと作り続けている。髙橋3兄弟の長男。受験中も休まず、はっとするような句を作って書き込んでくれた。さすがです。大人俳句の仲間入りを期待。大学の知名度をいうわけではないが、花冠の子ども俳句からは、東大はじめ有名大学に進んだ子供たちが大勢いる。ものを見る目、継続し努力する力の一部を俳句が養ったことは間違いないと思う。

俳句界5月号の結社広告の原稿をメールする。担当が、家氏千里さんから、伊藤友紀恵さんに代わる。
俳壇4月号が届く。花冠の髙橋秀之さんの「鰤しゃぶ」5句が「卯月の作品」のページに掲載された。
句美子が「俳壇5月号」の掲載予定の俳句を5句送ったと連絡あり。

○山茱萸(さんしゅゆ)

[山茱萸/横浜・四季の森公園]

3月14日(水)

★真っすぐな日の差すところ蕗のとう   正子
寒さが残るころ、日の差す方に蕗の薹が見えている。蕗の薹を見つけて春がそこに来ていることを喜んでいる詠者です。(祝恵子)

○今日の俳句
初摘みの土筆を持ちて病室へ/祝恵子
入院していれば、季節のもの、戸外のものがうれしい。初摘みの土筆に春が来たことが共に喜べることであろう。(高橋正子)
●気温が20度を超える。この前までの寒さはどこに行ったか。

髙橋信之全句集を来年の5月28日の誕生日にあわせて出版する。編集長さんと自宅で打ち合わす。
体裁と価格が決まる。年末までに新原稿を入稿。

○オキザリス(カタバミ科カタバミ属)

[オキザリス/横浜日吉本町(2013年3月10日)]_[かたばみ/横浜日吉本町(2011年5月13日)]

★オキザリス雨の茶房に人在らず/中谷朔風
★オキザリス野生育ちの強きこと/豊岡重翁

★石垣の裾に朝日のオキザリス/高橋正子
★雨降りのオキザリスなりみな蕾/高橋正子
★掘り起こされ芋きらめかすオギザリス/高橋正子

 オキザリス(学名:Oxalis corymbosa(紫カタバミ)、Oxalis articulata(芋カタバミ))は、カタバミ科カタバミ属。世界中に800種類以上が分布する植物です。日本にもクローバーとよく間違われるカタバミ〔O.corniculata〕をはじめ、5種ほどが自生しています。花を咲かせて枯れてしまう一年草と、毎年花を咲かせる多年草があります。 球根を作るものや、低木になる種も知られています。世界中の色々な地域に分布しているだけに、地域によって様々な形態や性質をとり、開花期、草姿、花色、大きさなどは様々です。オキザリスだけで一年を途切れさせずに季節ごとに花を楽しむことができそうな気がします。花は筒状で、先端が数枚の花びらに分かれています。花は温度や光に敏感で、つぼみは日が射しているときは開きますが、天気の悪い日や夜は閉じています。また、日が当たっても温度の低いときは開きません。オキザリスの名前はギリシア語で「酸性」を意味するオクシス(oxys)に由来し、葉や茎にシュウ酸を含み酸っぱいところにちなみます。カタバミの葉っぱで10円玉をこすると黒ずみがとれてぴかぴかになるのは、このシュウ酸のせいです。園芸では地中に球根を作る種が主に栽培されており、球根植物として扱われることが多いです。特に南アフリカ原産種が多いです。栽培上は「春植え」と「夏・秋植え」に分けることもあります。
 よく見かけるのは「紫カタバミ」と「芋カタバミ」だが、両者区別しにくい。両者ともピンク色の花びらで、紫カタバミは、花びらの中央がうすいピンク、芋カタバミは、花びらの中央が濃いピンク。花言葉は「喜び、母親の優しさ」。似ている花は、現の証拠、酢漿草(かたばみ)。似ている葉は、白詰草(クローバー)。

◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

3月13日(火)

★春砂をゆきし足跡は浅し   正子
磯遊びなのか?或いは砂浜をお歩きになられたのか?後ろを振り返って見ると足跡の浅さに春の柔らかさを感じ取られたのでしょう。夏は沢山の人達の足跡が交差し賑やかさが有りますが、未だ人影も少なく、渚に打ち返す静かな波の音、さらさらとした美しい浅春の砂浜を想起致します。(佃 康水)

○今日の俳句
包み紙少し濡れいて蕗の薹/佃 康水
蕗の薹を包んでいる紙がうっすらと濡れている。朝早く採られた蕗の薹だろうか。蕗の薹の息吹であろうか。しっとりとした命の、春みずみずしさがある。(高橋正子)

●急に暖かくなる。近所の白木蓮が一斉に開花。
午前中そごうへ買い物。ワイングラスと珈琲スプーンを買う。ワイングラスは赤白両用の手ごろなボヘミアクリスタル。
脚がなくてひっくり返す危険がない。

○土佐水木(とさみずき)

[土佐水木/横浜日吉本町]

★土佐みづき山茱萸も咲きて黄をきそふ/水原秋桜子
★峡空の一角濡るる土佐みづき/上田五千石
★重い口開きたるかな土佐水木/遊歩
★大海の荒波見やる土佐水木/かるがも
★花揺らぎ潮の香りや土佐水木/かるがも
★料峭の空気の色に土佐水木/高橋正子

土佐水木(とさみずき、学名:Corylopsis spicata)は、マンサク科トサミズキ属。落葉低木。四国の山中に自生、また庭木とされている高さ2mほどである。高知(土佐)の蛇紋岩地に野生のものが多く見られるため、この名前がついている。また、葉の形がミズキ科の樹木と似てところからミズキといわれている。3-4月に葉に先立って短枝に明るい黄色の花を咲かせ、花穂は長く伸びて7輪前後の花をつける。レンギョウやマンサクと同様、江戸時代から庭木や盆栽、切り花として親しまれている。葉はまるっこい卵円形で、裏面は粉をふったように白っぽく毛がある。実は緑色で、熟すと中から黒い種子が出る。また海外へは19世紀、シーボルトにより紹介された。病害ではうどんこ病、虫害ではカイガラムシ類、テッポウムシなどによる被害がある。日向水木と比べて、一房の花の数が多くて花も大きい。土佐水木の仲間に支那水木がある。

◇生活する花たち「紅梅・赤花満作・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜・四季の森公園)

3月12日(月)

★片寄せに雪の残りて月おぼろ  正子
道路の除雪跡なのでしょうか。地面には片寄せされた雪が残っているけれど、夜空は、もう、おぼろながらも月があらわれ、幻想的な光景が感じられる夜となりました。(高橋秀之)

○今日の俳句
春暁の新しき水仏前に/高橋秀之
春の暁は、華やいだ感じはするが、空気がしんと冷えている。仏前に線香をあげ、汲みたての水をあげる。そこに充足した緊張感が生まれている。(高橋正子)

●美知子さんから松山銘菓六時屋のタルトが届く。久しぶりの六時屋タルト。六時屋は手作りで松山では六時屋が一番。オランダ人が伝えたもの。オランダ人が伝えたものは、餡ではもちろんなく、ジャムだったそうだ。ジャムのロールケーキ様のもの。

雪割一華(ゆきわりいちげ)

[雪割一華/東京白金台・自然教育園(2014年3月11日]

★春浅き一華うすうす紫に/高橋信之

雪割一華(ユキワリイチゲ)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草である。日本固有種である。本州の滋賀県から九州にかけて分布し、林の中や渓流沿いなどに生える。
 「雪割」は早春植物を意味し、「一華」は一茎に一輪の花を咲かせるという意味である。草丈は20から30センチくらいである。根際から生える葉は3小葉からなる。小葉は三角状の卵形でミツバの葉に似ていて、裏面は紫色を帯びる。茎につく葉は茎先に3枚が輪のようになって生える(輪生)。
 開花時期は3月から4月である。花の色は白く、淡い紫色を帯びている。花びらは8枚から12枚くらいである。ただし、花弁のように見えるのは萼片である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
 花言葉は「幸せになる」である。属名の Anemone はギリシャ語の「anemos(風)」からきている。種小名の keiskeana は明治初期の植物学者「伊藤圭介さんの」という意味である。圭介はオランダ商館のシーボルトのもとで植物学を学んだ。学名:Anemone keiskeana (「花図鑑・雪割一華/龍 2010年3月14日」より)

◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・猫柳」(東大・小石川植物園)