★独活放つガラスボールが水の玉 正子
綺麗に洗った独活をガラスのボールに放たれた。そのボールも水の玉で内外が輝いているようです。(祝 恵子)
○今日の俳句
カットする鏡に淡きチューリップ/祝 恵子
髪をカットする様子が鏡に映っているが、その鏡に淡い色の、おそらく淡いピンクのチューリップが映っているのだろう。「淡い」と言ってチューリップの色や形を読者にゆだねたところに春らしさが出た。鏡の中に明るくやさしい春がある。(高橋正子)
○いちはつ(一初、鳶尾、一八、逸初)

[いちはつ/横浜日吉本町(左:2013年4月18日)・右:2013年4月13日)]
★いちはつの一輪白し春の暮/正岡子規
★一八の屋根並びたる小村かな/正岡子規
★一八の家根をまはれば清水かな/夏目漱石
★いちはつや馬籠は旧き坂の宿/小松崎爽青
★いちはつの花も剣葉も海霧の中/句写美
★いちはつの花の豊かに学問す/高橋正子
イチハツ(一初、学名:Iris tectorum )はアヤメ科アヤメ属の多年草。帰化植物。地下に黄色の根茎がある。葉は幅2.5-3.5cm、長さ30-60cmの剣形で中脈が隆起しなく、縁は全縁。花期は5月で、高さ30-50cmの花茎が立ち、分枝して2-3の花をつける。花は径10cmほどになり、藤紫色で、外花被片は倒卵形で先が丸く、内花被片は小型でともに平開する。外花被片に濃紫色の斑点が散らばり、基部から中央にかけて白色のとさか状の突起がある。
中国原産の植物で、古く室町時代に渡来し、観賞用として栽培されてきた。昔は農家の茅葺屋根の棟の上に植える風習があったが、最近は少なくなった。逸出し野生化しているものもある。種小名の tectorum は、「屋根の」という意味。アヤメの類で一番先に咲くので、「一初(イチハツ)」の名がある。
◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

★学び舎にチャイムの鳴りてチューリップ 正子
休憩時間が終わって、校庭で遊んでいた子どもたちが校舎に戻っていく。校庭の花壇のチューリップが、新学年の子供たちを見守るように咲き誇っている様子が見えてきます。(高橋秀之)
○今日の俳句
大空へ初蝶くるくる舞い上がる/高橋秀之
「くるくる舞い上がる」と見た目は、童心そのもの。大空へ舞い上がる初蝶に元気があってかわいい。(高橋正子)
○牡丹

[牡丹/横浜日吉本町・金蔵寺(2013年4月15日)]_[牡丹/鎌倉・鶴岡八幡宮(2012年4月28日)]
★牡丹散ってうちかさなりぬ二三片/与謝蕪村
★寝床から見ゆる小庭の牡丹かな/正岡子規
★風止んで牡丹のかたち整いぬ/高橋正子
★古き家に牡丹の咲いてぼたん色/高橋正子
ボタン(牡丹、学名:Paeonia suffruticosa)は、ボタン科ボタン属の落葉小低木。 または、ボタン属(Paeonia)の総称。 別名は「富貴草」「富貴花」「百花王」「花王」「花神」「花中の王」「百花の王」「天香国色」 「名取草」「深見草」「二十日草(廿日草)」「忘れ草」「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」など多数。 以前はキンポウゲ科に分類されていたが、おしべ・花床の形状の違いからクロンキスト体系ではシャクヤクとともにビワモドキ目に編入され、独立のボタン科とされた。 (ウィキペディア)
▼鎌倉八幡宮の牡丹(2012年4月29日の日記より)
鎌倉の鶴岡八幡宮へ、昨日、信之先生は、一人吟行に出かけ、境内のぼたん園で牡丹の写真を撮って帰った。自宅から百メートル程西の日吉本町駅で横浜市営地下鉄グリーンラインに乗る。そこから四つ目の駅、センター北でブルーラインに乗り換え、新横浜駅、横浜駅等を過ぎ、戸塚駅で下車。戸塚駅からは、JR横須賀線で三つ目の駅、鎌倉駅まで。鎌倉駅から八幡宮までは徒歩、二の鳥居から三の鳥居へと、そこそこの道程があるが人波の絶えることがない。
鶴岡八幡宮(つるがおか はちまんぐう)は、神奈川県鎌倉市にある神社。武家源氏、鎌倉武士の守護神。鎌倉八幡宮とも呼ばれる。境内は国の史跡に指定されている。宇佐神宮、石清水八幡宮とともに日本三大八幡宮のひとつに数えられることもある。参道は若宮大路と呼ばれる。由比ヶ浜から八幡宮まで鎌倉の中心をほぼ南北に貫いており、京の朱雀大路を模して源頼朝が自らも加わり築いた。二の鳥居からは段葛(だんかずら)と呼ばれる車道より一段高い歩道がある。そこを抜けると三の鳥居があり、境内へと到る。境内へと入れば、すぐ右に、神苑ぼたん庭園の入口がある。源平池の池畔に造られた回遊式庭園の、ぼたん園である。源平池のほとりに内外の牡丹の名花、約1千株を集める。源平池の旗上弁天社では、藤の花が見頃を迎え、見事な白藤の盛りであった。
◇生活する花たち「藤①・藤②・石楠花」(横浜箕輪町・大聖院)

★濃きお茶に春の灯しを入れて飲む 正子
濃いお茶は深い味わいとやわらかな渋みを含んでいます。ほっと一息ついた夕べ、濃きお茶とご家庭の暖かな春灯を感じながら喉を潤せば一日の疲労を優しく癒してくれる事でしょう。(佃 康水)
○今日の俳句
良き音を手元に鳴らし蕨摘む/佃 康水
蕨を折り取るときの、「ぽきっ」というみずみずしくて軽い音。それが「良き音」。次々にその音が鳴れば、うれしさもそれだけ増してくる。蕨採り、野山に遊ぶ嬉しさがさわやかに詠まれている。(高橋正子)
○幸田 延(こうだ のぶ)
今日の早朝、NHKラジオの深夜便で紹介される
幸田 延(こうだ のぶ、明治3年3月19日(1870年4月19日) – 1946年6月14日)は、ピアニスト、ヴァイオリニスト、音楽教育家、作曲家。
東京の幸田家に幸田露伴の妹として生まれる。兄に海軍軍人の郡司成忠、弟に幸田成友、妹に安藤幸がいる。音楽取調掛伝習生を経て、1889年からアメリカ、ドイツ、オーストリアに留学。1895年、帰国し、東京音楽学校教授として山田耕筰、久野久らを育てた。1895年に作曲したヴァイオリンソナタ変ホ長調(3楽章、未完)と1897年のヴァイオリンソナタニ短調(1楽章のみ)は、日本人による初のクラシック音楽作品である(現在、全音楽譜出版社から2曲とも出版されている)。1915年には大正天皇御即位を祝した混声4部合唱付交響曲「大礼奉祝曲」を作曲している。
1906年従五位。1909年教授を辞したが、この際学校側で勝手に解雇し、出勤してそれを伝えられた延は憤然として帰宅し、同情と怒りの声があがったという。以後欧米を視察し、1912年審声会を創立、後進の指導に当たる。東宮職御用掛となり皇族に音楽を教授、1937年帝国芸術院設立とともに会員となる。
1916年作曲の神奈川県立高等女学校(現・神奈川県立横浜平沼高等学校)校歌は、幸田の作った唯一の歌曲である(作詞は佐佐木信綱)。(ウィキペディアより)
○西洋おだまき

[西洋おだまき//横浜日吉本町(左:2012年6月15日・右:2013年4月18日)]
★をだまきや乾きてしろき吉野紙/水原秋桜子
★をだまきやどの子も誰も子を負ひて/橋本多佳子
★をだまきの花に風吹く陵の道/石原八束
★おだまきの花の造形こまやかに/高橋正子
★玄関の水栓隠す花おだまき/高橋正子
★西洋おだまき深山おだまき植え揃え/高橋正子
西洋おだまきは、キンポウゲ科オダマキ属の耐寒性宿根草。花期4月ー6月。現在の日本で西洋オダマキと呼ばれているものは、ヨーロッパ原産のアクイレギア・ブルガリス(Aquilegia valgaris)と北米産の大輪の花を咲かせる数種との交配種をさすようになっています。オダマキの仲間はもともと雑種をつくりやすいこともあって、きわめて多数の園芸品種がありますが、多くの場合、国内では個々の品種名を明記せずに色別や混合種子の形で流通しています。いずれも丈夫な宿根草で、高さ30〜50cmになり、株の中心からまっすぐ伸びた茎に赤、黄、青紫、白、桃色などの4〜5cmの花を多数咲かせます。葉は根元にまとまってつきます。
本来セイヨウオダマキの和名をもつアクイレギア・ブルガリスの変種に八重咲きのフローレ・プレノ(A. vulgaris var. flore-pleno)があり、変種のステラータ(A. vulgaris var. stellata)は同じ八重咲きでも、距(花の後ろに突き出した部分)のないタイプで八重咲きのクレマチスのような形の花を咲かせます。
◇生活する花たち「木苺の花・藤の花・姫林檎の花」(横浜日吉本町)

★春ほのぼの棚にあげたる書の紙も 正子
冬には冷え冷えとした白さを覚える書の紙も、春ともなると、明るい柔らかさを醸しだしてくれるようです。棚に置かれた書の紙が、まるで出番を待っているかのように「春ほのぼの」としたあたたかさを感じさせてくれます。(藤田洋子)
○今日の俳句
柳青みて水に照り水に垂る/藤田洋子
「柳青みて」の上七に力強さがある。以下「水に照り水に垂る」の五・五と続く五音のリズムも力強い。柳はしなやかなものとして詠まれることが多いが、この句は柳を力強く詠んで成功した。
○苧環(おだまき)

[おだまき/横浜日吉本町]
★おだまきや旅愁はや湧く旅のまへ/水原秋桜子
オダマキ属(オダマキぞく)は、キンポウゲ科の属の一つ。ラテン名のアキレギアやアクイレギア(Aquilegia)ということもある。本属の植物の総称がオダマキ(苧環)である。苧環は元来は機織りの際に麻糸をまいたもののことで、花の形からの連想である。日本、アジア、ヨーロッパに約70種くらい自生し、日本のものは山野草として愛好される一方、外国産のものには品種改良が行われ、園芸植物として広く市場に出回っているものがある。日本にはヤマオダマキ、ミヤマオダマキの2種が山地から高山にかけて分布する。ミヤマオダマキはむしろ山野草として栽培される。
花の外側の花弁のようなものは、じつは花弁ではなく萼である。花弁はその内側にあって、ややまとまって筒状になる。花弁の基部からは角状の距が伸び、萼の間から突き出る。根出葉は普通2回三出複葉で細かく分かれ、先端には丸っこい小葉がつく。茎が高く伸びるものでは、やや小型の茎葉が出る。全草が有毒。
◇生活する花たち「花水木・いちはつ・藤)」(横浜日吉本町)

★雉啼くや子二人育てつつ暮らす 正子
お子さんがまだ小さいころの御句でしょう。ふと鳴いた雉の声に耳をとめられました。
子育てに日々あわただしく過ごされている中にも、季節が巡り行くさまに感慨を覚えられた
ことと思います。(多田有花)
○今日の俳句
花びらの舞い散る中を山に入る/多田有花
花の舞い散る山は、花が終わりかけ、新緑に変わろうとする山で、季節の変わりざまが目に、体に感じ取れる。山には、いち早く季節がめぐって来ているようでもある。(高橋正子)
○昨日、4月16日に四季の森公園に出かけた。午前11時ごろ。梅干しおにぎりと、卵焼き、スナップえんどう。コーヒーとお茶をもってゆく。仲間や駅で、東京新聞と明治チョコレート、じゃがりこをファミリーマートで買った。
四季の森公園の管理事務所前の掲示で見ごろの植物を確かめるが、場所などが詳しくなく、探すのがむずかしい。辛夷や染井吉野は葉桜に。八重桜が満開。辛夷は、散り残った花がちらちら葉の中に残る。探し当てたもの。クマガイソウ、クサイチゴ、ヘビイチゴ、ツボスミレ、タチツボスミレ、ヤブレガサの新芽、石菖、木五倍子、セリバヒエンソウ、イロハモミジの花、キランソウ、カキドウシ、ムラサキゴケ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、シャガ、トウゴクミツバツツジ、ハナミズキなど。プロムナード沿いの民家で十二単衣の青とピンク。帰宅は、3時過ぎ。
6時半ごろ、句美子の家に夕飯のおかずを持ってゆき、テーブルに置いてすぐ帰る。
石菖に沢水つねに流れ来る 正子
行く春の十二単衣の薄紅に 正子
○十二単衣(じゅうにひとえ)

[十二単衣/横浜・四季の森公園(2014年4月16日撮影)]
★汝にやる十二単衣といふ草を/高浜虚子
★日を浴びて十二単衣の草の丈/岡本まち子
★行く春の十二単衣の薄紅に/高橋正子
「ジュウニヒトエ(十二単)」は、シソ科キランソウ属の多年草で日本固有種です。学名:Ajuga nipponensis。開花時期:4月から5月。本州や四国に分布し、農道や山際などのやや湿った場所に生えます。草丈は15~20cmほどで、晩春に咲く唇形の花は茎の先に何段も輪生し、下から咲き上がってきます。
ジュウニヒトエ(十二単衣)の和名は、花が重なり合って咲く姿を宮中の礼装として着用した十二単衣に見立てて付けられたものです。
◇生活する花たち「もっこう薔薇・草苺・葱坊主」(横浜日吉本町)

★岩に滾る水にかがやく猫柳 正子
猫柳は早春に咲く。川べりに多く、その花は銀色でやわらかである。。岩の間から滾る春の水に映って、その銀色がますます美しい。早春の川べりの情景が浮かんでくる。(古田敬二)
○今日の俳句
どの木々も根元まっすぐ春の影/古田敬二
「根元まっすぐ」がすっきりしていてよい。冬の間に寒風に晒され、雨雪に耐えた木々である。余分なものを落としての「根元まっすぐ」だ。その影が春の影として柔らかなのがいい。(高橋正子)
○クレマチス(鉄線花)

[鉄線花/横浜日吉本町]
★鉄線を活けて有馬の筆作り/大坪景章
★クレマチス咲く中年は美しき/永井潮
★鉄線花みな平らかに空を向く/高橋正子
クレマチスはつる性植物の女王といわれるに相応しく、美しい大輪の花を咲かせる。しかも蔓は枯れることなく、毎年新しい枝を伸ばしては、その先に花を咲かせ続け、数年たつうちには、たくましく成長して大きな株になり、夥しい花を咲かせる。
クレマチスというと外来の花のようにも思われるが、今我々が普通に眼にしてい るものは、日本に自生していたものをベースにしている。日本人はそれを鉄線といって長い間愛でてきた。今日でもクレマチスの総称として、鉄線という言葉を使う人は多い。
詳しく言うと、日本のクレマチスには、鉄線と風車とがあった。鉄線は花びらが6枚で、風車のほうは8枚だから、容易区別できる。もっとも花弁に見えるものは、萼が発達したもので、本来の花弁は退化して存在しない。
風車の名は、その形状から来ている。八方に広がった羽のような花びらの形があたかも風車を思わせるのだ。一方鉄線は丈夫な蔓が鉄線のようだからだろう。こちらは中国伝来のものである。
クレマチスは北半球に広く分布している。欧米のものは花が小さい。そこで日本のように鉢仕立ては余り行われず、修景用に用いられることが多い。最近は日本のものとヨーロッパのものを掛け合わせて、多彩なクレマチスが作られている。
花言葉は美しさや高潔に関連したものが多い。花の持つ優雅さの現われだろう。
◇生活する花たち「藤①・藤②・石楠花」(横浜箕輪町・大聖院)

★欅若葉空をうずめて浅みどり 正子
山地や人家の庭に20メートルにも達する大木が新鮮でみずみずしい若葉で空一面をふさぐように萌え出る景はとっても素晴らしいですね。(小口泰與)
○今日の俳句
山風のこよなき匂い四月かな/小口泰與
春の山は萌え出る木の芽や落葉の匂いが混じって、「春の山の匂い」を特別に感じさせる。山風にのって運ばれる「こよなき匂い」は、四月こその匂い。(高橋正子)
○豌豆の花

[豌豆の花/横浜日吉本町] [豌豆の花/横浜都筑区川和町]
★花豌豆大学生の下宿せり/高浜虚子
★花豌豆定年までの右顧左眄/品川鈴子
★豌豆の花の白さを見つつゆく/阿部ひろし
★豌豆の白花ばかりなりしなり/堀志皋
★花豌豆渚に潮の満つる音/成智いづみ
エンドウ(豌豆、学名:Pisum sativum L.)は、マメ科の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、エンドウマメとも。別名にノラマメ、グリンピース(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、サヤエンドウ(莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)。日本での栽培種には、ウスイエンドウ、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウ、がある。
古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆で、原種は近東地方に今日でも野生している P. humile Boiss. et Noö. と推察されている。もともとは麦類の間で雑草として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、根粒菌による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、カラスノエンドウもエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では雑草とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、中国に伝わったのは5世紀、日本へは9-10世紀には伝わった。 また、メンデルが実験材料としたことでも知られている。
さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ) P. s. ssp. arvense Poir. と軟莢種(なんきょうしゅ)P. s. ssp.hortense Asch. がある。硬莢種はその名のとおり莢(さや)が固く、主として完熟して乾燥した豆を収穫して利用する。花は紅色である。軟莢種は莢が柔らかく、未熟な莢をサヤエンドウとして利用したり、成長を終えて乾燥前の生の豆をグリーンピースとして利用する。花は白いものが多い。スナップエンドウは軟莢種の中でも豆が大きく成長しても莢が柔らかく、豆と莢の両方を野菜として利用できる品種である。
原産地が冬に雨が多い地中海性気候の近東地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する。連作に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる。また、原産地が土壌にカルシウムなどが多い乾燥地帯であることから想像できるように、酸性土壌にも弱い。
◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

★チューリップ剪り集めれば虹の色 正子
チューリップは、花々の中でも色の種類や模様を最も多く楽しむことができるものの一つではないでしょうか。そんなチューリップを切り花にしていっぱいに活けてみれば、まるでそこに虹が生まれたように明るさが広がるのでしょう。(小西 宏)
○今日の俳句
子ら池に足入れ遊び花楓/小西 宏
楓の花は、新緑の季節に先駆けて、暗紅色の花を開きかけた葉の先につける。遠目には、小さな丸い暗紅色の点に見え、かわいらしい。子どもたちは、子どもたちで、ようやく暖かくなったと思うと、はやも水を喜び、浅い池に入って、ザリガニや小さい魚など追いかけて遊ぶ。花楓も子どもたちの遊びも、季節を先駆けた新鮮さがある。(高橋正子)
○藤
[藤/横浜日吉本町(2013年4月13日)]_[芹の花/横浜・四季の森公園(2010年5月1日)]
★草臥て宿かる比や藤の花 芭蕉
★月に遠くおぼゆる藤の色香哉 蕪村
★春の日の入所なり藤の花 一茶
★藤の花長うして雨ふらんとす/正岡子規
★天心にゆらぎのぼりの藤の花 沢木欣一
★藤房に山羊は白しと旅すぎゆく/金子兜太
★遠つ世へゆきたし睡し藤の昼/中村苑子
★勤めの途中藤の真下の虚空抜ける/堀 葦男
★藤房の中に門灯点りけり/深見けん二
★肩触れて肩かゆくなる藤の花/能村登四郎
★いちにちにゆふべのありて藤の花/鷹羽狩行
★杉あらば杉の高さに藤の花/朝妻力
★縄電車停車す藤の花かげに/増田富子
フジ(藤、学名: Wisteria floribunda)は、マメ科フジ属のつる性落葉木本。ノダフジ(野田藤)ともいう。ノダフジ(野田藤)の名は、この種が植物学者の牧野富太郎により命名されるきっかけとなった、フジの名所であった大阪市福島区野田にちなんでいる(同区玉川の春日神社には、野田の藤跡碑が建立されている)。
開花時期は、 4/15 ~ 5/ 5頃。花序は長くしだれて、20cmから80cmに達する。花は紫色。蔓(つる)は他の木などに右巻き(上から見て中心から外側へ時計回りに見える巻き方)に巻きつき、かなり太くなる。2mぐらいの長さの蔓になることもある。蔓はとても強く、古墳時代の巨大な石棺も、木ぞりに載せて、この藤縄で運んだらしい。夏になると新しい枝先からまた少し花が咲くことがある。これに似ている山藤(やまふじ)は左巻きに巻きつく。
日本原産、日本固有種。本州・四国・九州の温帯から暖帯に分布する。一才藤(いっさいふぢ)として園芸用に流通する鉢がある。樹高50cmくらいの、鉢植えや盆栽にして愉しむための一才物のフジ。花枝はしだれるが、支柱などは不要。
◇生活する花たち「藤・しゃが・菜の花」(横浜市緑区・四季の森公園)

★はこべらの花を撮りつつバスを待つ 正子
春の七草のひとつ、はこべらも花の季節を迎えました。小さくて鄙びた白花は、知らなければ雑草の花ほどにしか思わないところ、やはり俳人正子先生の感性は、バス待ちのひと時も惜しまれるようですね。春の野草を愛でるひと時が大変嬉しい、好きな句です。(桑本栄太郎)
○今日の俳句
揚ひばり田ごとに天のありにけり/桑本栄太郎
雲雀は田よりまっすぐに揚がって天に囀る。こちらの田の上にもあちらの田の上にも雲雀が鳴き、田ごとに天がある。実にうまく詠んでいる。(高橋正子)
○梨の花

[梨の花/横浜市緑区北八朔(左:2013年4月12日・右:2012年4月19日)]
○梨の花
★両岸の梨花にラインの渡し船/高濱虚子
★能登けふは海の濁りの梨の花/細見綾子
★梨棚の白とも言えぬ花咲けり/高橋正子
正子の日記/2012年4月20日より
昨日の午後、信之先生と2人で吟行兼写真撮影。横浜緑区北八朔町の果樹園の梨の花を目的とした。自宅がある港北区から都筑区川和町までを地下鉄に乗った。電車を降りたときは、田園のいい香りがした。菜の花の匂いに、なにか花の匂いが混じっている。歩くところ、歩くところ、花が噴きだしたように一斉に咲いているためであろう。
川和町を鶴見川に沿って東側の土手を川上に向かって歩いた。鶴見川の土手は、すぎな、いたどりが群生し、菜の花が方々に咲いている。すいばは、穂を伸ばしかけ、桜は葉桜となりながらもまだ花が咲いている。豌豆の花、蚕豆の花、苺の花、ほうれん草の花、葱坊主、桃の花、林檎の花、木蓮、いちはつ、山吹、石楠花、シャクヤクの花蕾、土手の斜面にはすかんぽやいたどり等も。のどかな田園地帯で、八十を越えたかのような老人が農作業にいそしんでいた。
1時間半ばかり歩いたところの天神橋は、都筑区川和町と横浜緑区北八朔町と青葉区下谷本町との3町の境となる。天神橋を通って鶴見川の西側へ渡る。そこが緑区北八朔町の梨の果樹園で花盛りであった。梨は、初秋には「はまなし」として売られる。梨の花は、白い。採果しやすいように枝は横に這うように伸ばせた樹形となっているが、枝には意外にも大きな花がびっしりとついている。随分摘果しなければならないだろうと思った。
梨の花を撮り、天神橋を渡って都筑区川和町へ戻る。少し歩くと青葉区市ヶ尾町になる。市ヶ尾駅からあざみ野駅までを田園都市線で、そこから横浜市営地下鉄に乗り、日吉本町駅で下車、帰宅は、午後3時過ぎ。帰るや川土手で取ってきたいたどり二本を水道水で洗って、藻塩をつけて少々食べる。ぽきっと折れて瑞々しかったが、残念ながら、二本とも埃臭い味。山の沢などのいたどりは、こんな味ではない。鑑賞用にコップに挿した。
梨の花弁は通常白色、5枚の離弁が基本であるが、色や花弁数には変異がある。また、おしべは約20本、花柱は5本である。梨は本来虫媒花であるが、自家不和合性(同じ品種間では結実しない性質)が強く、栽培される場合には経済的な理由から他品種の花粉によって人工受粉が行われる。めしべの柱頭に付着した花粉は発芽し、花粉管を伸長して胚珠に到達、重複受精を行う。果実の育成は植物ホルモンの影響を受ける為、人工的にこれを添加する事も行われる。また、結実数が多すぎる(着果過多)場合には、商品となる果実の大きさを維持する為に摘果が行われる。
◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

★木苺の花が咲くなり森といい 正子
木苺には私も愛着があります。よく熟れた実は種のつぶつぶといい、甘ずっぱい味がして忘れられないのです。そのような木苺が今はよく管理された森の一角に白い花をつけている。木苺の花をみつけた喜びが伝わります。(小川和子)
○今日の俳句
高々と花満つ校舎の外窓へ/小川和子
校舎の高い窓に触れて桜が咲き満ちている。窓の内から見れば窓は桜に埋め尽くされている。今年は早い桜であるが、卒業や入学に重なる桜の花は、生徒たちの胸にいろんな思い出を残すことだろう。
○著莪(しゃが)

[著莪/横浜日吉本町(2013年4月4日)][著莪/東京・関口芭蕉庵(2010年5月9日)]
★紫の斑の仏めく著莪の花/高浜虚子
★著莪の花白きにわきて雲絶えず/加藤楸邨
★姫著莪の花に墨する朝かな/杉田久女
★著莪叢のとどく木洩れ日濡れてをり/稲畑汀子
★譲ることのみ多き日々著莪の花/塙 義子
シャガ(射干、著莪、胡蝶花、学名:Iris japonica)は、アヤメ科アヤメ属の多年草である。人家近くの森林周辺の木陰などの、やや湿ったところに群生する。開花期は4 – 5月ごろで、白っぽい紫のアヤメに似た花をつける。花弁に濃い紫と黄色の模様がある。根茎は短く横に這い、群落を形成する。草丈は高さは50 – 60 センチ・メートル程度までになり、葉はつやのある緑色、左右から扁平になっている。いわゆる単面葉であるが、この種の場合、株の根本から左右どちらかに傾いて伸びて、葉の片面だけを上に向け、その面が表面のような様子になり、二次的に裏表が生じている。
学名の種小名はjaponica(「日本の」という意味)ではあるが、シャガは中国原産で、かなり古くに日本に入ってきた帰化植物である[1]。三倍体のため種子が発生しない。このことから日本に存在する全てのシャガは同一の遺伝子を持ち、またその分布の広がりは人為的に行われたと考えることができる。したがって、人為的影響の少ない自然林内にはあまり自生しない。スギ植林の林下に見られる場所などは、かつては人間が住んでいた場所である可能性が高い。そういう場所には、チャノキなども見られることが多い。中国には二倍体の個体があり花色、花径などに多様な変異があるという。東京都でレッドリストの準絶滅危惧種に指定されている。
◇生活する花たち「やまるりそう・すみれ・楓の花」(東京白金台・自然教育園)
