★錦木の葉と実の少し違う赤/高橋正子
紅葉の錦木とそれに続く実の赤と、二つながらの美しさの持つそれぞれに触れる鋭敏な感性に近寄りがたい量感を感じます。感覚を研ぎ澄ませ、少しでもその境地に近づけたらと思います。(小西 宏)
○今日の俳句
セーターを脱いで湯気立つ遊びの子/小西 宏
遊んでいる子が暑くなってセーターを脱ぐと、体から湯気が立っている。子供の活動量はすざましい。(高橋正子)
○藤黄葉(ふじもみじ)
[藤黄葉(12月1日)/横浜日吉本町] [藤の花(4月13日)//横浜日吉本町]
紅葉と黄葉、息のむ競演 佐世保市の藤山神社 [長崎県]
佐世保市小舟町の藤山神社でフジとモミジの葉が黄や赤に色づき、訪れた参拝者を楽しませている。見頃は今週末ごろまで。
境内には樹齢約650年の大フジや蛇フジなど5種類約40本のフジと、20年ほど前から植え始めた約30本のモミジがある。前田邦彦宮司(71)は「秋に訪れる参拝者にも喜んでもらおうと思い育てている。紅葉と黄葉の競演を楽しんでほしい」と話している。=2013/12/04付 西日本新聞朝刊=
◇生活する花たち「茶の花・茶の実・欅黄葉」(川崎市宮前区野川・影向寺)

★跳躍の真紅の花のシクラメン 正子
心の高揚があったのでしょうか。シクラメンの真紅を見つめた日の静か場所で。(祝恵子)
○今日の俳句
炬燵には兄妹と居る嬉しさよ/祝恵子
炬燵を囲み、暖かさにくつろいで兄妹といるうれしさ。いつまでも兄の下の妹でいる幸せがある。(高橋正子)
○さんしゅゆの実
[さんしゅゆの実(12月6日)/横浜・四季の森公園]_[さんしゅゆの花(3月22日)/横浜・四季の森公園]
★山茱萸にけぶるや雨も黄となんぬ/水原秋桜子
★山茱萸の黄や街古く人親し/大野林火
★さんしゅゆの花のこまかさ相ふれず/長谷川素逝
★赤といふ禁断の色山茱萸の実/桐一葉
★枝揺らし山茱萸の実の手から手に/芝滋
★山茱萸の小さき実数多青空へ/高橋信之
サンシュユ(山茱萸)は、朝鮮半島原産の小高木で、日本には江戸時代中期に薬用植物として渡来しました。早春に新葉に先立ち樹木一面に鮮かで黄色い小花を咲かせる姿も美しいですが、晩秋に鮮かに紅色に熟する実もまた愛らしくて美しいものです。楕円形をしたサクランボウのような感じがします。実は甘くておいしそうに見えますが、実は渋くて生食には向かないそうです。残念。サンシュユの果実は、滋養・強壮、止血、解熱作用の薬効があるといわれ漢方薬にもなっているそうですよ。サンシュユの春の情景を「春黄金花(ハルコガネバナ)」と呼び、秋の情景を「秋珊瑚(アキサンゴ)」と呼びますが、その別名がよく似合います。心も身体も癒してくれる、私たちにとって大事な植物なんですね。感謝(大阪市立長居植物園ブログより)
◇生活する花たち「茶の花・花八つ手・木瓜」(横浜下田町・松の川緑道)

琵琶湖
★栴檀の実の散らばりに湖晴るる 正子
日毎に寒さがつのりますと、良く晴れた日は空が真っ青に抜けて行くようです。遠景に琵琶湖が望まれ、近くには栴檀の実のなる雑木林があれば、気分も晴れやかになること請け合いです。爽やかな冬晴れが想われます。 (桑本栄太郎)
○今日の俳句
落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
落葉と言えど枯れ色の葉ばかりではない。紅も、黄色も、またさみどりもあって、色鮮やかである。今落ちたばかりの葉も混じって、冬に入れば冬の明るさがある。(高橋正子)
○檀(まゆみ)の実

[檀(まゆみ)の実/横浜日吉本町]
★檀の実こぼさじと折る力ゆるめ/加倉井秋を
★檀の実朝は真近に穂高澄み/望月たかし
★泣きべそのままの笑顔よ檀の実/浜田正把
★また風を呼ぶたわわなる檀の実/山元重男
マユミ(檀、真弓、檀弓、学名:Euonymus hamiltonianus)とは、ニシキギ科ニシキギ属の木本。別名ヤマニシキギとも呼ばれる。日本と中国の林に自生する。秋に果実と種子、紅葉を楽しむ庭木として親しまれ、盆栽に仕立てられることもある。秋の果実の色は品種により白、薄紅、濃紅と異なるが、どれも熟すと果皮が4つに割れ、鮮烈な赤い種子が4つ現れる。
2012年10月14日 天気 曇のち小雨
今日、ネットのお友達のブログに、みごとな真紅の檀の実の写真が載っていた。ご自宅の庭の木だという。彼女は静岡県の西部にお住まいなので、この前の台風の風害がひどくて、庭の木々の葉っぱや檀の実など、かなり落ちてしまう被害に遭ったそうだ。実は、上の檀の実の写真は、台風前の先月20日にいつもの都立公園で撮ったもの。元々まだ丈の低い木だが、今年は猛暑のせいか木の元気がなく、実が少なくて寂しかった。で、昨日はそろそろ実が弾けるころかな、と思い寄ってみたら・・なんと、2本ある木の1本が実を付けたまま丸ごと枯れていた。(ブログ「KUMIの句日記」より)
◇生活する花たち「椿・野葡萄・くこ」(横浜市都筑区東山田)


★青空の光りを弾き辛夷花芽/高橋正子
○今日の俳句
農道を真直ぐ辿る冬はじめ/小川和子
農道は、田や畑の中を抜ける農業用の道路。まっすぐな農道の脇は、刈田であったり、冬菜が育っていたり、冬のはじめの景色が楽しめる。それがいい。(高橋正子)
○蝋梅(ろうばい)

[蝋梅/横浜・四季の森公園]
★風往き来しては蝋梅のつやを消す/長谷川双魚
★蝋梅の咲くゆゑ淡海(アワミ)いくたびも/森 澄雄
★蝋梅や樅(モミ)をはなるる風の音/古館曹人
★文机に蝋梅一朶誕生日/品川鈴子
★蝋梅や磨きたりない床柱/堂本ヒロ子
★蝋梅咲いて森の正午の空の青/高橋信之
★蝋梅のはじめの一花空に透け/高橋正子
ロウバイ(蝋梅、蠟梅、臘梅、唐梅、Chimonanthus praecox)は、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木。1月から2月にかけて黄色い花を付ける落葉広葉低木である。
十二月六日、四季の森公園に出かけた。この季節は冬紅葉や山茶花や木の実が目につく。そのほかの花には、なかなか出会えない。ところが、四季の森公園の季節の見どころ情報では、紅葉のほかに、蝋梅が咲いたとある。蝋梅は愛媛に住んでいたとき、砥部の庭のアプローチの日当たりが一番いいところに植えていた。正月にやっと蕾が黄色い色を見せ始め、霜が降りる朝に、透き通った花びらを開くのがいつもだった。十二月に蝋梅が開いたという情報に、多少戸惑った。少し早いのではと思いつつも出かけた。紅葉谷の紅葉を楽しいだあと、作ってきたおにぎりの弁当を食べた。蝋梅は「春の草原」の傍にあるという。ああ、三椏の花が咲く小川のほとりかと、すぐに見当がついた。そこに蝋梅があったことには、気づいていなかった。弁当を広げたところから、小川の小さな橋を渡ってすぐのところにある。黄葉してかさかさした葉がまたたくさん付いていたので、すぐ蝋梅と分かった。蕾がたくさん付いている。花を探すけれど、この木も、次の木も、その次の木も蕾だけ。最後の木にようやく見つけたのは、開こうとしている蕾。その直ぐにもっとひらいた蕾、その近くに、見上げた青空にくっきり開いた花。花と言えるのは、この三花。澄み透った森の青空の中に開いた蝋梅であった。
◇生活する花たち「茶の花・花八つ手・木瓜」(横浜下田町・松の川緑道)

★臥風忌の今日にわが句の刷り上がる 正子
○今日の俳句
冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
冬紅葉の向こうに見えるものが「大きな空」である。「大きな」がこの句の内容の良さで、読み手にもその空を実感させてくれる。(高橋正子)
○辛夷の花芽

[辛夷の花芽(11月)/横浜日吉本町] [辛夷の蕾(3月)/横浜日吉本町]
★かたくなに白を守りて辛夷咲く/能村登四郎
★黄昏の色濃き空に辛夷浮く/笠原美雪
★辛夷の芽ふくらみ見する夕日どき/宮津昭彦
★辛夷の芽をちこち水の韻きけり/石本百合子
★光背のうしろの辛夷冬芽立つ/山本耀子
★花芽数多付けて辛夷の大きな木/高橋信之
コブシ(辛夷)の花芽(広島市植物公園 2月14日)/ブログ「山野草、植物めぐり」より
辛夷の花芽が柔らかくひかっていた。開花期は地域の気候に左右され3~5月と幅がある。自分の住む広島県西部の山に自生しているのは、「コブシ(辛夷)」ではなく「タムシバ(匂辛夷)」だから、これは植栽されたものである。両者にほとんど違いはないが、辛夷は花の付け根に小さな葉が一つついているのに対し、タムシバの場合は葉がつかない。この地方では4月上旬に開花することが多い。いっせいに咲いて咲き終わり、また山に紛れてしまう。小野興二郎という歌人の若いころの歌に次の作品がある。2首をセットで読めばさらに味わい深い。
梢(うれ)たかく辛夷の花芽ひかり放ちまだ見ぬ乳房われは恋ふるも
妻となる日を待つ汝(なれ)かぬるみゆく水を言ふとき髪のひかりぬ
コブシ(辛夷、学名:Magnolia kobus)はモクレン科モクレン属の落葉広葉樹の高木。早春に他の木々に先駆けて白い花を梢いっぱいに咲かせる。別名「田打ち桜」。果実は集合果であり、にぎりこぶし状のデコボコがある。この果実の形状がコブシの名前の由来である。高さは18m、幹の直径は概ね60cmに達する。3月から5月にかけて、枝先に直径6-10cmの花を咲かせる。花は純白で、基部は桃色を帯びる。花弁は6枚。花芽は、6月頃に付き、11月半ばに膨らみ始める。枝は太いが折れやすい。枝を折ると、 芳香が湧出する。九州、本州、北海道および済州島に分布。「コブシ」がそのまま英名・学名になっている。 日本では「辛夷」という漢字を当てて「コブシ」と読むが、中国ではこの言葉は木蓮を指す。
◇生活する花たち「柊・茶の花・錦木紅葉」(横浜日吉本町)
★冬鵙の囃すは水照る向こう岸 正子
○今日の俳句
冬晴れて視線を高く天守へと/藤田洋子
大阪城の吟行での作。大阪城は、巨大な石垣とそびえる天守に目が注がれる。足元よりも、視線は冬晴れの空へ、天守へと自然に向けられる。いわゆる切れのない「一句一章」の句のよさがあって、すっきりと、素直な感覚でよくまとめられている。(高橋正子)
○藤黄葉(ふじもみじ)
[藤黄葉(12月1日)/横浜日吉本町] [藤の花(4月13日)//横浜日吉本町]
亀戸天神「藤の黄葉」
亀戸天神で藤の黄葉が始まっています。今年は例年に比べて遅いかなぁと思ったのですが、一昨年は12月4日に撮影していました。黄葉が終わると、歳末・年始の準備が始まります。(やっぱり亀戸が好き!:http://ootake-shoji.tea-nifty.com/)
◇生活する花たち「アッサムチヤ・グランサム椿・からたちの実」(東京・小石川植物園)
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新幹線
★トンネルを抜けて手帖に差す冬日 正子
冬の日は日脚が日一日と短くなり、日差しも鈍く弱いですが、トンネルを抜けて差し込む日差しは暖かく手帳を包んでほのぼのとさせてくれます。素晴らしい句ですね。(小口泰與)
○今日の俳句
火の山の噴煙起つや大根干す/小口泰與
大根を干すころは、風も寒くなり、温かさが恋しくなる。火の山の噴煙も目に温かさを運ぶ。そういう意味で取り合わせが成功している。(高橋正子)
○寒木瓜(かんぼけ)・冬木瓜(ふゆぼけ)
[寒木瓜/横浜日吉本町] [寒木瓜の実と花/横浜日吉本町]
★近江路や茶店茶店の木瓜の花/正岡子規
★木瓜咲くや漱石拙を守るべく/夏目漱石
★木瓜の花こぼれし如く低う咲く/大谷句仏
★寒木瓜の蕊のぞきたる花一つ/阿部ひろし
★寒木瓜の刺の鋭き女坂/増田栄子
★寒木瓜を見つけし後の足軽し/819maker(ブログ俳句の風景)
★丘晴れていて寒木瓜の赤の濃し/高橋信之
★今青空に冬木瓜の実の確とあり/高橋信之
木瓜と書いて「もっこう」と読む場合もあるが、普通「ぼけ」と読む。この音を聞いてほとんどの人は「あほ、ぼけ」の「ぼけ」を想像するだろう。それがこの花のおもしろいところで、木瓜は春の花であるが、花の少ない冬、暖かい陽だまりなどに咲き始める。棘があって、花は梅のように枝について咲く。葉は花の後から出るのであるが、この朴訥な枝と少ない花を生かして春の先駆けを思わせて生花にも使われる。雪が降ったりすると、雪を冠った花がうれしそうに見える。実は花梨のように大きな黄色い実がつくのも、「ぼけな」感じだ。
寒木瓜は、木瓜と同じ品種だが、ふつうは3月から4月に咲くのに対して、11月から12月ごろに咲き出すものをいう。
ボケ(木瓜)は、バラ科の落葉低木。学名Chaenomeles speciosa(シノニムC. lagenaria)実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したも言われる。帰化植物(平安時代)。学名のspeciosa は 美しい、華やか 、Chaenomelesは 「chaino(開ける)+ melon(リンゴ)」が語源。花言葉は「先駆者」「指導者」「妖精の輝き」「平凡」。原産地:中国大陸。日本に自生するボケはクサボケといわれる同属の植物。
樹高:1~2m。枝:若枝は褐色の毛があり、古くなると灰黒色。幹:樹皮は縦に浅く裂け、小枝は刺となっている。葉:長楕円形・楕円形。長さ 5~9cmで鋭頭でまれに鈍頭。基部はくさび形で細鋭鋸歯縁。花:3~4月に葉よりも先に開く。短枝の脇に数個つき径2.5~3.5cm。色は基本的に淡紅、緋紅。白と紅の斑、白などがある。
好陽性で土壌を選ばず、移植は容易だが大気汚染・潮害にはさほど強くない。日本では本州から四国、九州にかけて植栽、または自生。温暖地でよく育ち北海道南部では種類が限定される。
庭園樹としてよく利用され、添景樹として花を観賞する目的で植栽される。盆栽にも用いられる。実を果実酒などにすることもある。
同属の植物にクサボケ(草木瓜、Chaenomeles japonica 英名Japanese quince)がある。50cmほど。実や枝も小振り。本州や四国の日当たりの良い斜面などに分布。シドミ、ジナシとも呼ばれる。花は朱赤色だが、白い花のものを白花草ボケと呼ぶ場合もある。果実はボケやカリン同様に良い香りを放ち、果実酒の材料として人気がある。減少傾向にある。
[木瓜と草木瓜のちがい] 木瓜は:背が高い。枝のトゲはあまり目立たない。実は草木瓜の実よりも大きくて、色は黄色。縦に「彫り」が入っている。草木瓜は:背は木瓜より低い。枝にトゲがいっぱいある。実はボケよりは小さく、色は黄色。縦に「彫り」は入っておらず、表面はつるつる。
◇生活する花たち「十両(やぶこうじ)・万両・白文字(しろもじ)」(東京白金台・国立自然教育園)

★純白の苺の花も十二月 正子
○今日の俳句
枯蓮と青空たたえ水平ら/多田有花
平らな水に青空が映り、枯蓮が立っている。水のよく溜まった枯蓮田は「青空たたえ」となって、枯れの美しさを見せている。(高橋正子)
○柊(ひいらぎ)

[柊/横浜日吉本町]
★屋根ふいて柊の花に住みにけり 鬼城
★柊の花と思へど夕まぐれ 風生
★柊の花にかぶせて茶巾干す みどり女
★柊の花一本の香かな 素十
★柊の花多ければ喜びぬ 草田男
★心ひまあれば柊花こぼす 虚子
★柊の花や掃かれし土の匂ひ 林火
★柊の花のともしき深みどり たかし
★柊の指さされたる香かな 波郷
★柊の香やあをあをと夜の冨士 悌二郎
★柊の花に触れずに眺めいし/高橋信之
★ひいらぎの花の清らと香の清ら/高橋正子
ヒイラギ(柊・疼木・柊木、学名:Osmanthus heterophyllus)は、モクセイ科モクセイ属の常緑小高木。和名の由来は、葉の縁の刺に触るとヒリヒリ痛む(古語:疼(ひひら)く・疼(ひいら)ぐ)ことから。季語としては、「柊の花」 は冬。東アジア原産で、日本では本州(関東地方以西)、四国、九州、琉球の山地に分布しているほか、外国では台湾でも見られる。樹高は4-8m。葉は対生し楕円形から卵状長楕円形、革質で光沢あり、縁には先が鋭い刺となった鋭鋸歯がある。また、老樹になると葉の刺は次第に少なくなり、葉は丸くなってしまう。花期は11-12月。葉腋に白色の小花を密生させる。雌雄異株で雄株の花は2本の雄蕊が発達し、雌株の花は花柱が長く発達して結実する。花は同じモクセイ属のキンモクセイに似た芳香がある。花冠は4深裂して、径5mmになる。果実は長さ12-15mmになる核果で、翌年6-7月に暗紫色に熟す。果実は鳥に食べられて種子が散布される。
低木で常緑広葉樹であるため、盆栽などとしても作られている。幹は堅く、なおかつしなやかであることから、衝撃などに対し強靱な耐久性を持っている。この為、玄翁(げんのう)と呼ばれる重さ3kgにも達する大金槌の柄にも使用されている。特に熟練した石工はヒイラギの幹を多く保有し、自宅の庭先に植えている者もいる。他にも、細工物、器具、印材などに利用される。葉に棘があるため、防犯目的で生け垣に利用することも多い。古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられ、庭木に使われてきた。家の庭には表鬼門(北東)にヒイラギ、裏鬼門(南西)に南天の木を植えると良いとされている(鬼門除け)。また、節分の夜、ヒイラギの枝と大豆の枝に鰯(いわし)の頭を門戸に飾ると悪鬼を払うという(柊鰯)。
◇生活する花たち「林檎の帰り花・ゲンノショウコ・桂黄葉」(横横浜・四季の森公園)

大阪城天守より望む
★冬がすみ生駒の山の青透かし 正子
○今日の俳句
散紅葉少女ばかりが追うており/川名ますみ
紅葉が散るのを少女ばかりが喜んで追っている。子どもは散る紅葉をも遊びにしてしまう。散る紅葉に少女たちが混じった風景はよいものだ。(高橋正子)
○初嵐(椿)

[初嵐/横浜日吉本町]
★慎ましき白き椿の初あらし/高橋信之
★庭の樹の間に咲けり初あらし/高橋正子
今日は比較的穏やかで過ごしやすい一日で、庭仕事で少し動くと汗ばむような日和でした。庭仕事をしていると、白い物が目に止まりましたので、見てみると初嵐がこちらを向いて咲いておりました。色々調べてみますと、「初嵐」は、すでに1847年の「剪花翁伝」には記載されているという古い品種だそうで、白い色で、一重で筒咲き、もしくはラッパ咲きで蕾は尖っております。中輪で10月から3月にかけてが開花期といわれておりますが、我家の初嵐は、毎年炉開きの頃咲き始めます。ところが、今年は太神楽を使ったので忘れておりました。「初嵐」という風雅な名にふさわしく、清楚で優しい雰囲気の花です。(ブログ「tyakoの茶の湯往来」より)
俳句日記/高橋正子 1999年12月17日(金)
雨が降りそうな気配。砥部のわが家をのぞく。ほぼ一年ぶりだが、思ったより雑草が生えてなく、それでも冬らしい庭になっている。ひいらぎは、花が終っていても、かすかな香り。山茶花は、今が盛りだけれど、花数は少なく、椿は、はつあらし。玄関の椿がいつもより早く、白い蕾をふくらませている。早春の黄色い花、さんしゅは、固い蕾を枝先につけている。万両もほうぼうに生えて、赤い実を光らせて、都わすれもだいじょうぶ。客間の机は、さすが、一年のほこりをかぶり、忘却のかなたから、やって来たように鎮座している。はなれに括って置いた本も、傾いてすでに、記憶の残照のようである。こういう光景は、仮の世にまちがいない。
◇生活する花たち「柊・茶の花・錦木紅葉」(横浜日吉本町)
★鈍行のことこと芽麦を渡りいる 正子
鈍行列車が芽吹きだした麦畑を走りだした。ことことと。麦畑を見たことがない現在、絵を見ているような、幼かった田舎の風景が蘇ります。 (祝恵子)
○今日の俳句
わさわさと大きな蕪の一輪車/祝恵子
一輪車をはみ出して「わさわさと」運ばれる蕪の葉がまことに生き生きしている。(高橋正子)
○冬珊瑚(玉珊瑚)
[冬珊瑚/東京白金台・自然教育園]
★冬珊瑚東海に日は燃えいでぬ/豊長みのる
★冬さんご熟し四十路の悔ばかり/竹内定子
★掌にすくふ水のつめたさたまさんご/久松かつ子
★階段を上るも愉し冬珊瑚/819maker
★御稲荷さん入口の冬珊瑚かな/819maker
茄子(なす)科。学名:Solanum pseudo-capsicum。ブラジル原産。明治中期に渡来。夏から冬にかけて鮮やかな色の丸い実をいっぱいつけるので、その姿を珊瑚に見立て、時期と合わせて「冬珊瑚」という名前になったとのこと。
実の色の遷移がおもしろく、花を咲かせたあとで緑色の実になり、それが「緑 → 黄 → 橙」の順で色づく。いろんな段階の色の実が同居して緑色の実、黄色の実、橙色の実がほぼ同時に楽しめる。実はきれいだが毒があるらしく、食用にはならない。寒さに強い。
別名「ビッグボーイ」「クリスマスチェリー」「玉珊瑚(たまさんご)」。いずれも、実の形からの命名のようだ。12月10日(世界人権デー・三億円事件の日・ノーベル賞授賞式・アロエヨーグルトの日)の誕生花
◇生活する花たち「山茶花・柊・桜黄葉」(横浜日吉本町)
