11月30日(水)

★薪ストーブ静けき熱をわれらに放ち  正子
暖炉と同じように、薪ストーブも今では贅沢品になってしまっているのかもしれません。薪の炎の静かなゆらめき、ゆったりと伝わってくる温み。「われらに」とあるように、集まる人の救済と連帯を感じさせてもくれます。(小西 宏)

○今日の俳句
★冬薔薇の白きに仰ぐ観覧車/小西 宏
手前に白薔薇を描き、その向うに大円の観覧車を描いたグラフィックアートのような印象だ。新しくて、どこかにノスタルジーを感じさせるポスターのような印象でもある。

○花冠俳句フェスティバル2011in大阪
26・27日の花冠フェスが終了しました。会計などの整理は今朝終了した。
http://blog.goo.ne.jp/haiku_festival

○第6回フェイスブック日曜句会
午後3時から第6回句会の投句受け付け開始。花冠発行所の日常の活動が再び始まった。
http://blog.goo.ne.jp/kakan106/

○大阪でのフェスは、新幹線の禁煙車両の指定席がとれなかったので、しまったと思うところから始まったが、無事終了した。遠方からもご参加いただいたり、地元関西のみなさんともお会いできたりした。司会の小西宏さんが、「実際に顔を合わせて句会をすることが大事なんですよ」と言われて驚いた。こういう感想をお持ちになったので、われわれ花冠のネットは成功したといえる。

○大阪でのフェスは、琵琶湖長浜吟行から始まったが、琵琶湖と、宿舎の和食が印象に残っている。琵琶湖は岸辺が海とは確かに違っているし、遊ぶ鳥も違う。そう遠くない山にに雪があった。
宿舎の夕食は、メニューは定食となっていたが、懐石風の夕食で、久しぶりに関西料理を食べた。たぶん、関西料理は、出汁がきちんと取ってあるのだろうという印象をもった。出汁とかブイヨンがよければ、料理はおいしい。よい昆布や鰹節、よい牛肉であれば、よい出汁がでる。
今回は、一緒に来た句美子が、気をつけてフェスの行事やわれわれの面倒をよく見てくれた。

◇生活する花たち「残菊」(横浜日吉本町)

11月29日(火)

★鴨の池映れるものはみな映り  正子
池の辺の木々、草、空、まわりの全てを映す鴨の池。穏やかなうららかな好天を感じさせてくれる明るく澄んだ冬の水面です。温和な日和に伸び伸びと泳ぐ鴨も目に浮かびます。 (藤田洋子)

○今日の俳句
短日の街を灯して書店混む/藤田洋子
短日の街の様子が書店を通してよく見える。短日の人で混む書店に充実感が見える。

◇生活する花たち「石蕗の花・菊・山茶花」(横浜日吉本町)

11月28日(月)

★芹育て橋を潜れる速き水  正子
まるで水そのものが意志を持って芹を育み橋を潜っているかのような印象を持ちます。すべての母なるものである水を新鮮な視点で詠まれています。 (多田有花)

○今日の俳句
一樹立つおのが落葉に囲まれて/多田有花
樹は動かないから、自分の落した落葉に囲まれることになる。その落葉のあたたかさの中にすっく立つのも本来の樹の姿に違いない。

◇生活する花たち「茶の花」(横浜下田町・松の川緑道)

11月27日(日)

芽麦まで遠き夕陽の差しいたり  正子

○今日の俳句
麦の芽の畝くねりつつ交わらず/黒谷光子
麦の芽が黒い土に芽生えると、色彩的にもうつくしい。整然とした畑ではなく、畝もくねっているが、決して交わらない。真を得ている。

○花冠俳句フェスティバル2011in大阪第2日目
俳句フェスの2日目。午前は、大阪城吟行、午後は、大阪府警本部裏のホテル「プリムローズ大阪」会議室での大会で、今年度の花冠各賞授賞式と記念句会などを行う。
http://www.primrose-osaka.com/

○生活する花たち「花八つ手・山茶花・さくら落葉」(横浜日吉本町)

11月26日(土)

★ストーブの出されしばかりが炎の清し  正子

○今日の俳句
茶の花や老婆の軽ろき鍬の音/桑本栄太郎
畑の周りに茶の垣根を巡らしているのだろうか。茶の花が咲くうららかな日、老婆は鍬音も軽く、楽しみながらの畑仕事である。京都では、畑やそこに働く農民を庭園の一部として鑑賞した地位の人もいたというから、そういった風雅がしのべる。

○花冠俳句フェスティバル2011in大阪
26日と27日の土日は、北近江長浜、大阪での俳句フェス。私たちの俳句雑誌「花冠」の同人たちが集まる。26日は、北近江長浜での吟行で、東は、横浜からの、西は、広島からの同人たちが集まる。
http://blog.goo.ne.jp/haiku_festival

◇生活する花たち「石蕗の花・水仙・南天」(横浜日吉本町)

11月25日(金)

★山茶花の高垣なればよく匂う  正子
初冬の明るい彩りと香気を楽しませてくれる山茶花です。高垣となれば尚更のこと、その鮮やかな生垣の芳しさに、季節の喜びを感じさせていただきました。(藤田洋子)

○今日の俳句
★丘登る落葉いろいろ踏み鳴らし/藤田洋子
落葉を踏んで丘を登る晴れ晴れとした楽しさがよく表現されている。「落葉いろいろ」に、落葉の様々な色、また音はもちろん、落葉を落としたいろんな木が想像できて楽しい。
◇生活する花たち「菊・花八つ手と山茶花・千両」(横浜日吉本町)

11月24日(木)

 鎌倉報国寺
★冬の水ひたすら澄みて金魚飼う  正子

○今日の俳句
欅立つ落葉きらめく陽の中に/小西 宏
情景がよく整理されている。陽を受けてきらめきながら散る落葉。その中心に黄葉した大きな欅の存在が示されている。(高橋正子)

○小菊
日本の秋の花の代表として菊がある。菊花展なども開かれて、大輪や懸崖など仕立てられる菊があるが、こちらは、全く好きになれない。せいぜい嵯峨菊くらいである。冬も近くなり、また冬になって冷たい露や霜を置いて葉が紅葉するころの、小さな花を咲かせる菊は、あたたかく、優しげで、身辺に飾りたくなる。庭先の草の中に倒れたりして、可憐な花を咲かせるのがよい。色は、白、桃色、臙脂、黄色、それぞれの中間の色があって、結構多彩だ。花の表情がゆたかであると言おうか。人工的でないといおうか。そんな理由で小菊を愛するのである。

◇生活する花たち「石蕗の花・菊・山茶花」(横浜日吉本町)

11月23日(水)

★枯草を踏みおり人に離れおり  正子

○今日の俳句
脱稿をこの日と決めし一葉忌/川名ますみ
「一葉忌」に託す思いが知れる。ここを踏ん張って脱稿にこぎつけようという意思の強さが、一葉に通じるようだ。

◇生活する花たち「菊・山茶花・とくさ」(横浜日吉本町)

11月22日(火)

★冬泉手にやわらかに旅半ば  正子

○今日の俳句
大根の白さを今日もまな板に/祝恵子
冬の間の食材として欠かせない大根の白が、目にみずみずしい。また今日の新しい白となって刻まれる。日々の新しさがさわやか。

○鬼柚子
暦の上で冬に入って、あたりも冬らしい景色に出会うようになった。山茶花が本格的に咲き始めたし、柚子が熟れはじめたし、という具合に。いつもの散歩コース日吉本町5丁目の鯛ヶ崎も初冬の景色になった。5丁目の丘の上には、植木を育てているところがあって、植木に混じって「鬼柚子」がある。数年前初めて見たときは、「仏手柑」かと思った。仏手柑は、臥風先生のお宅で見た記憶がある。仏の手が何かをつかんでいるような格好だ、というイメージがある。「鬼柚子」も多少は、そんな感じで、直径20センチほどある。
この前の散歩のときは、1個落ちていた。少し向こうの植木のなかで、発動機の音がするので、持ち主の方が作業をされているなと思い、近づいて、ちらっと横目に見て通り過ぎた。剪定した枝を細かく刻んで、堆肥にしやすくしているようであった。その日まで、「鬼柚子」の実物を見たことがなかったので、引き返して、作業をしている方に例の大きな柑橘について聞いてみた。ところが、発動機の音が大きくて、私の声が聞き取れない。わざわざエンジンを止めてくれて、大きな柑橘の名前を「鬼柚子」と教えてくれた。「獅子柚子」ともいうらしい。ところが、エンジンをかけなおして仕事を始めようとされたが、すぐにエンジンがかからない。すごく恐縮したが、大きな柑橘の名前を聞くのに、またとないチャンスだったので、やむをえなかったと、自分を慰めた。

◇生活する花たち「花八つ手・山茶花・鬼柚子」(横浜日吉本町)

11月21日(月)

★咳こぼし青年ふたり歩み去る  正子
結核が青年の病であったのは昔。この青年たちは風邪でしょうか。ケータイを手にした優しげなふたりの姿を連想します。 (多田有花)

○今日の俳句
一片の雲なき空よ波郷の忌/多田有花
波郷の忌日は、十一月二十一日。肺結核を病んだ波郷に、一片の雲もない空と空気が、何よりの手向けと感じられる。(高橋正子)

◇生活する花たち「白椿・千両①・千両②」(横浜下田町・松の川緑道)