7月11日(月)

★蕗の灰汁つきたる指のきしみがち  正子
蕗のすじを剥くと灰汁に染まりますが、そこを一歩踏み込んで指先が捉えた感覚を「きしみがち」と詠まれたところが観察の鋭さでしょうか。季節の食材を楽しまれ、その生活の中から生まれた句は素敵ですね。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
ひたすらに編む独り居の涼しさよ/後藤あゆみ
平明な句に、生活の中の「涼しさ」が快く詠まれている。独り居の静かでたのしい時間を「ひたすら」好きな編み物で過ごす時間は至福の時。その心が「涼しさよ」となった。(高橋正子)

◇生活する花たち「百合・しもつけ草・青ぶどう」(横浜日吉本町)

7月10日(日)

 鎌倉街道
★竹林に夏の真青な水打たれ  正子
往時を偲びながら行く街道の道すがら、夏に生長した竹は、一際目を引く青さです。水が打たれ、なお生き生きと輝く竹林に、より一層の清々しい涼気を感じます。(藤田洋子)

○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)

○アクセスランキング入り
2011.07.09(土) 650 PV 231 IP 8622 位 / 1606001ブログ
2011.07.08(金) 762 PV 219 IP 6014 位 / 1605691ブログ
IPが、200以上あるのは、大変嬉しいです。文学系で200以上になるのは、むずかしいと聞いた。ご覧いただき、ありがとうございます。

◇生活する花たち「百日紅・蓮①・蓮②」(横浜日吉本町金蔵寺)

7月9日(土)

 愛媛・久万中学校
★教室の窓に夏嶺の高々と  正子
四国の軽井沢と呼ばれる愛媛県久万高原町は、標高800mの自然溢れる住みよい町。久万中学校は、暑い蒸れ返るような都会とは違い、涼しく澄んだ空気の中で、伸び伸びと学び遊んで成長してゆきます。窓辺には蒼嶺が聳え生徒達を見守るかのようです。(津本けい)

○今日の俳句
星涼し日暮れて青き山並みに/津本けい
日暮れて青い山並みに出た星を涼しく感じる感性がよい。 (高橋正子)

◇生活する花たち「ヒメヒオウギスイセン・半夏生・梔子」(横浜日吉本町)

7月8日(金)

★子が去りしことも静かや夏の歯朶  正子

○今日の俳句
若きらと歩く街かど氷菓食ぶ/黒谷光子
若い人たちと街を歩くのは少々疲れることもあるけれど、アイスクリームなど街角で食べる楽しさに気持ちが若返る。老若あい和して愉し。(高橋正子)

○今日の俳句
松生うる浜辺に立てば夏の霧/河野啓一
浜辺に生える松を夏の霧が幻想的に浮かばせて、夏の浜辺の涼しさが心地よい。(高橋正子)

○全国俳誌協会
6月25日の定期総会で、新設のIT事業部長に選出された。早速、IT事業部のブログを立ち上げ、6人のスタッフを花冠同人にお願いした。
▼全国俳誌協会IT事業部ブログ:
http://blog.goo.ne.jp/zhk2011

IT事業部の当座の仕事は、協会のホームページ作製となる。その骨格が出来上がった。全国規模の俳句協会は、いくつかあるが、それとは違った特徴を持たせた。俳誌相互の交流、会員相互の交流といったことで、俳誌の電子書籍作製、会員交流のツイッターなどである。
▼全国俳誌協会ウェブサイト:
http://internet-haiku.info/zenkokuhaishi/

○水無月(みなづき・旧暦6月・京都の和菓子)
昨日の七月七日は、新暦の七夕。朝から風がよく吹く。特に信之先生の部屋は簾越しに入る涼風でまるで避暑地。朝九時過ぎから、日吉本町二丁目あたりを写真を撮りながら信之先生と散策。朝顔を咲かせている家はないかと思うが、小学校の校庭にたった一つ咲いていた。金蔵寺の半夏生を見に行く。半夏生は、終わりかけている。花盛りのときは、なにやら恐ろしい。蓮の花はまだ。金蔵寺を出て駒林神社に行こうとして、途中、槿の垣根に出会う。「道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉」を思い出だす。江戸時代なら、ここを馬が通りかかるのだろう。その道の突き当たりは、神社の崖下で、藪カンゾウが緑の中にひときわ目立っている。神社の境内に入るが。森閑として梔子の花だけが咲いている。お賽銭をあげる。水筒の冷茶を飲んで石段に座ってしばし休憩。石段から境内の端のお稲荷さんを眺めるが、狐もコンと応えそうにもない。

神社を出て二丁目の奥の方へ。のうぜんかずらが咲いている家があり、草原のどくだみを踏んで近寄って写真を撮る。どくだみの匂いが芬々と立つ。ところが、早速草に負けたらしく、腕がかゆい。空は曇っていて、風は良く吹く。何か作ろうとして竹を割っている老人がいるので、「今日はよく風が吹きますね。」と声をかけると、「そうだね、割合良く吹くね。」と。巻尺で道路幅を測っている初老の夫婦がいて、ちらっと見て会釈してくれる。若いお母さんが、自転車で自分の家に帰ってきたのか、「こんにちは。」という。今朝あった人は、みんな始めて出会う人だが、七夕という日のせいか、風がすずしいせいか、これまでと人の心が違っていると感じる。

荒れた畑に「はるしゃ菊」が群れ咲いて、それにヒメジョオンの白い花が混じり、なかなかいい景色だ。「はるしゃ菊」は「蛇の目草」とも言うが、コスモスのような黄色い花の中に、蛇の目傘のようなチョコレート色の模様が入っている。はるしゃ菊の荒れ畑を曲がると、お寺ののうぜんかずらが、花をたわわに咲かせている。花の下には、オシロイバナがたくさん蕾を付け、夕方が来るのを待っている。

今日は、これで打ち切り。家に向かう。十一時半ごろ家に着くが、やはり暑かった。信之先生用にそうめんを茹で、私は蕗の佃煮を作っていたのを出して、ご飯を食べる。食後は、冷茶とお菓子の「水無月」。「水無月」は、京都の老舗では六月三十日にしか売らないそうだが、今日の「水無月」は、コープに注文していたもの。白い外郎に小豆が載っている。三角形に包丁を入れて食べるが、三角形であるゆえに涼しさが湧く。

「水無月」は、ちょうど一年の半分に当たる六月三十日の「夏越祓(なごしのはらえ」に食されるお菓子。三角形に切られた白い外郎は、暑気を払う氷室の氷を表し、小豆には、魔よけの意味と、氷室の藁をイメージしたものということだ。。見た目といい、食感といい、涼しいお菓子だ。今年は、節電のため、家ではまだ一度もクーラーを使っていないが、なんの不便も感じない。「水無月」を食べて、少し昔の日本にもどったような気持ちになった。夜、外に出ると、田を吹き渡るような涼しい風が吹いている。七夕の空は、あいかわらず曇り。

◇生活する花たち「朝顔・槿・はるしゃ菊」(横浜日吉本町)

7月7日(木)

★学生食堂ひとりの顔に夏日あり  正子
学生食堂にも夏が近づいてきた。海や山で日焼けしたらしい顔も見える。レポートの提出で忙しい人もいるだろうが、キャンパスには今や若者の季節がやってきました。(河野啓一)

○今日の俳句
松生うる浜辺に立てば夏の霧/河野啓一
浜辺に生える松を夏の霧が幻想的に浮かばせて、夏の浜辺の涼しさが心地よい。(高橋正子)

◇生活する花たち「凌宵かづら・槿・はるしゃ菊」(横浜日吉本町)

7月6日(水)

★明け易き時をラジオのミサ合唱  正子
朝早くラジオからミサの合唱が流れてくると、敬虔な気持ちになり、清々しい一日が始まります。(井上治代)

○今日の俳句
青空を透かして網戸まっさらに/井上治代
網戸から青空が透けて、その網戸もまっさら。風もよく通り、目に涼しい。さわやかで、清潔感のある句。(高橋正子)

◇生活する花たち「ヤブカンゾウ・ノカンゾウ・マリーゴールド」(横浜・四季の森公園)

7月5日(火)

★青田みな青嶺へ靡き吹かれける  正子
苗が育って青田となり、青田波が生まれるころは山々の緑も最盛期を迎えています。青田が青嶺に吹かれている、日本の最も日本らしい風景かもしれません。(多田有花)

○今日の俳句
とりどりの浴衣の少女踏切に/多田有花
踏み切りの開くのを待っている浴衣を着た少女たち。これから、連れ立って、祭りに出かけるのであろう。涼しそうで、少女らしいかわいさがあって、大人には、幼い頃を思い出させてくれる光景である。(高橋正子)

○アクセスランキング
2011.07.04(月) 691 PV 218 IP 5887 位 / 1604103ブログ

◇生活する花たち「ゴンズイの実・ムラサキシキブの花・蛍袋」(横浜・四季の森公園)

7月4日(月)

★蜜豆に夜の会話の間がありぬ  正子

○今日の俳句
隣家の窓に今朝より青簾/河野啓一
隣家の窓を見ると、今朝からは、青簾がかかって目にも涼しげ。隣家も夏支度が整って、夏本番を迎える。(高橋正子)

○四季の森公園
七月三日、日曜日。このごろは早く目が覚める。夏は朝が来るのが楽しみだった田舎暮らし。庭に出て掃除や水遣り。西窓に朝顔を一杯咲かせていたので、これを外から見る楽しみがあったし、山鳩もくうくう鳴いていた。

だから朝、信之先生と久しぶりに四季の森公園へ出かける。九時に家を出発、中山駅まで地下鉄。駅からはズーラシア行のバスで長坂というところまで。その停留所から徒歩十分ほどで、公園の南口に着く。南口には、花壇があるので、そこから入る。百日草、ベゴニア、マリーゴールドが植えられて、噴水を中心にシンメトリーに設計されている。花壇を見て、森へ入る。

森へ入るや、楮(こうぞ)の赤い実を見つけた。くわ科の木なので、桑の実のような実だが、食べられない。さらに歩くと、ゴンズイという木があって、青い実が付いている。山ぼうしも、青い丸い粒粒が集まったような実をつけていた。むらさきの蛍袋がある。ムラサキシキブの花が咲いているが、葉も大きく、木の姿も、普段見ている形とは違って、枝が乱れて自生のものか。ゴンズイという木に初めて出会う。青い実がたくさんできている。

山を下って降りたところに、夏椿と合歓の花が咲いている。広場になってベンチもあるので、持参のお茶とスライスケーキで涼みながら一服。合歓を撮ろうとするが、ズームすると、どのあたりがズームされているか良く分からないし、手振れするうえに風が吹いて枝をあおるので、なかなか焦点が合わない。一休みした後さらに下る。平地になったところの山肌にオカトラノオの群生を見つける。向こうに目を移せば、夏草の中にひときわ目立ってノカンゾウ。盛りを過ぎた感じだが、紅カンゾウもある。菖蒲田には、まだぽつぽつ花が咲き残っている。菖蒲田を木道伝いに巡る。時期を逸した花、ちょうどタイミングよく出会った花や実など、出会えば幸運である。自然界は一時も休まず変化している。われわれは、光に乗って、彼方へ行っているのかなという風にも思える。

今日は、日曜日なので、公園内にはスケッチをする人たちが二十人ほど、かわせみを狙ってカメラに収めようとする人たちが十三人。(数えたのです。)それを見物する人も。北口には、七夕飾りが山からの涼風にさらされ揺れている。北口のベンチは、白樫と桂の木陰にあって、涼しい風が吹いてしばらく居れば汗が引く。正午には、中山駅ビルの軽食喫茶に行く予定で、公園を出る。暑いこと。去年尾瀬に行った経験から、暑い時は薄手の長袖シャツに限ると自分に言い聞かせていたので、今日はそのいでたちで出た。(思い出した。)尾瀬を持ち出す間でもなく、暑い盛りは、薄手の長袖シャツ一枚が一番ということは、田舎暮らしでよく知っていたのに。

◇生活する花たち「楮(コウゾ)の実・山ぼうしの実・水木の実」(横浜・四季の森公園)

7月3日(土)

★長き柄に団扇の風のぱっさぱっさ  正子
ばっさばっさと扇ぐのは天狗の団扇でしょうか。天狗の団扇で自由自在に飛んで行けたら面白そうです。以前は夏のお店の景品は団扇が定番でしたが、最近は無くなりました。実用的なものから飾っておきたいような絵柄のものなど団扇も幅が広く、大らかな「ばっさばっさ」を楽しませて頂きました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
梅落とす姿はすっぽり葉隠れに/後藤あゆみ
梅をぱらぱらと落している。しかし、当の落す人は、梅の葉叢にすっぽり隠れて見えない。梅の実もぎのおもしろいところを捉えた。(高橋正子)

◇生活する花たち「蛍袋・カシワバアジサイ・山ぼうし」(横浜日吉本町)

7月2日(金)

★鎌倉へ合歓の一樹の花盛り  正子
紅を含んだ彩りの合歓の花は繊細で絹糸の様な刷毛または花火の形に咲き、また緑の葉が生い茂る中に明かりを灯しているかの様にも見えとても印象深い花です。「鎌倉へ」の措辞で古都鎌倉も合歓の一樹も響き合い尚更光り輝いている合歓の大樹が印象付けられます。(佃 康水)

○今日の俳句
白山の寸時雄姿を梅雨晴れ間/佃 康水
梅雨が晴れたほんの少しの間、白山の雄姿に会え、感動しきり。梅雨に隠れた神秘的な白山が暗に示されている。(高橋正子)

◇生活する花たち「石榴・紫つゆ草・サルビアとキンシバイ」(横浜日吉本町)