5月11日(水)

★ビルの窓全てで五月の空なせり  正子
立ち並ぶ四角いビルの窓全てが五月晴れの青い空、白い雲をそのまま映し出している。もう一つの五月の空が出現し清々しい感動がそこに生まれたのである。(佃 康水)

○今日の俳句
 広島縮景園
茶摘女や手にさ緑の陽を返す/佃 康水
薫風の季節を迎え、茶摘みが始まる。茶葉を摘む女性のしなやかな手元から、きらきらと陽光がこぼれるように、茶葉が光る。「さ緑の陽」といい、季節の麗しさが詠まれた。(高橋正子)

◇生活する花たち「もっこうばら・花水木・花水木」(横浜日吉本町)

5月10日(火)

★野ばら咲く愛のはじめのそのように  正子
野にあって、人知れず芳しく咲く野ばら。ちょうど愛のはじまりのように、明るく、ひそやかに咲く野ばらに、しっとりとした味わいを感じます。(小川和子)

○今日の俳句
沢音の高まり青葉に分け入りぬ/小川和子
沢の音が高まって、その先の沢の流れは、青葉の下を潜ることになる。青葉の中へと分けて入る。茂る青葉と豊かな水が、日本の季節をよく知らせている。(高橋正子)

◇生活する花たち「あやめ・かきつばた・山吹」(東京・椿山荘)

5月9日(月)

★初夏の夜の電車傾きつつ曲がる  正子

○今日の俳句
真っ青な五月の空の飛行雲/高橋秀之
すっきりとして、なにもない良さ。「五月の空」と言って、それ以上言わないことで、実在感が生じた。青と白のさわやかさは五月である。(高橋正子)

◇生活する花たち「竹としゃがの花」(東京・関口芭蕉庵)

5月8日(日)

★新緑の翳るときあり水があり  正子

○今日の俳句
幾たびも来ては飛び去る夏の蝶/平田 弘
夏になると、蝶さえも活発な動きを見せるようになる。今しがた蝶が来たかと思うと、また来ている。初夏の日差しのなかにきらめく蝶の動きが印象に残る。(高橋正子)

◇生活する花たち「野いばら・黄菖蒲・睡蓮」(横浜港北区北山田)

5月7日(土)

★白ばらの空気を巻いていて崩る  正子

○今日の俳句
高々と牛舎の空へ鯉幟/渋谷洋介
鯉幟は、男の子の成長を願って立てられるものだが、牛舎のある家にも男の子が誕生したのだ。のどかな風景に、力強く、高々と泳ぐ鯉幟に健やかな成長を願う気持がいっぱい。(高橋正子)

◇生活する花たち「つつじ・藤・パンジー」(横浜日吉本町)

5月6日(金)/立夏

★葉桜の蔭は家居のごと安し  正子

○今日の俳句
ゆさゆさと百の牡丹も風のまま/黒谷光子
風が来て、百ほどの牡丹の花を揺らす。大きく富貴な花が、花の重みをもって揺れると「ゆさゆさ」となる。「ゆさゆさ」「風のまま」は、牡丹をより自然に捉えている。(高橋正子)

◇生活する花たち「つつじ・パンジー・藤」(横浜日吉本町)

5月5日(木)

★春の塩ぱらぱら振れば菜はみどり  正子  
自解:台所は、家のなかでも冷えている。台所に立ち漬物用の菜に塩を振ると、塩は塩壺の中でで少し湿りを帯びて、掴んで降れば、霰のように菜にかかる。春愁に近い気分。

○今日の俳句
青竹を立てて泳がす鯉幟/河野啓一
青竹に泳ぐ鯉幟が風にさわやかで、男子の健やかな成長を願う気持ちをよく伝えている。(高橋正子)

◇生活する花たち「薔薇・ドウダンツツジ・つばな」(横浜日吉本町)

5月4日(水)

★スイートピー眠くなるほど束にする  正子

○今日の俳句
しゃぼん玉垣根越えゆき風となる/祝恵子
しゃぼん玉は吹かれていって消えるものであるが、消えるのではなく、姿の見えない風となったのである。風となって風と一緒に吹かれてゆく。しゃぼん玉は風となって命を新しくしたのである。(高橋正子)

◇生活する花たち「さつき・キンレンカ・白山吹」(横浜日吉本町)

5月3日(火)/憲法記念日

★森奥のたんぽぽ大方は絮に  正子

○今日の俳句
降り初めの雨粒まるし柿若葉/小口泰與
柿若葉のころは、急に空が曇って降り出すことがある。降り始めた雨粒がまるく、やわらかく、柿若葉にあたる。柿若葉の緑がありありと見える。(高橋正子)

○花冠ツイッター句会
おとといの5月1日から、ツイッター句会を開始。句会は、もともと実際に人が集まり、座の文学として、ずっと行われてきて、今も継続されている。単に句会と言えばそれを指す。俳句雑誌「花冠」は、1983年に創刊し、インターネットが一般に普及しはじめたのが、1995年。その翌年1996年、花冠のウェブサイト「インターネット俳句センター」を開設。翌1997年からは、ネット上での句会をBBS(掲示板)で始め、その後、ブログ句会を立ち上げ、今年の5月1日からは、ツイッター句会を開始した。句会の管理運営は、信之先生が担当。ツイッターによる俳句は、1年以上前から取り組んでいたが、ツイッター句会開始の時がきた。

◇インターネット俳句センター:
http://suien.ne.jp/haiku/
◇ブログ句会:
http://blog.goo.ne.jp/kakan17/
◇ツイッター句会の入賞句(今日の秀句):
http://twilog.org/kakan_syuku
◇デイリ-俳句花冠/ツイッター新聞:
http://paper.li/HaikuKakan

◇生活する花たち「藤・花水木・シャガの花」(横浜市緑区中山)

5月2日(月)/八十八夜

★八十八夜のポプラに雀鳴きあそぶ  正子
自句自解:松山では、居間の窓から年中ポプラのそよぐのが見られた。今はやわらかな緑がしずかに音を立てて、風の様子を見せてくれている。いい天気の昼下がり、鳴き始めた雀は、いつまでたっても鳴きやまない。一人遊びをしているように、夏の近づく日差しを楽しんでいた。

○今日の俳句
子が発ちし八十八夜の月明り/藤田洋子
「八十八夜の月明かり」の美しい抒情に、旅立つ子を送り出す母の一抹の寂しさが添えて詠まれた。(高橋正子)

◇生活する花たち「藤①・藤②・シャガの花」(横浜市緑区中山)