てのひらに書を読む梅雨のすずしさに 正子
てのひらの上に書物を置いて、読み耽っておりますと、いつしか微かな風を感じ、梅雨の心地よいすずしさの中、静かな時間を過ごされました。(藤田裕子)
○椿山荘へ、娘と蛍狩りに。江戸川橋下車、神田川沿いの葉桜の道を歩き、冠木門から入る。無茶庵で天ぷらそばを食べ、庭園を巡る。日暮れまでの時間を椿山荘のカフェ・フォレストで過ごす。カフェの照明は、7時から照度が落とされ、窓から庭園の夕景が楽しめるようになっている。暗くなり始めた7時半にカフェを出て、庭園の谷川沿いに蛍が飛ぶのを見る。たしかに人は多いが、気にしなければ、どういうこともない。風があって、梅雨にしては涼しい。一箇所に10匹ぐらいはいたであろう。庭園は、紫陽花、ぎぼうし、式部の花、どくだみの花。滝の裏側も見た。
四国の家では、サンダルをはいて、数軒行けば橋の袂に出て、蛍が飛ぶのが見れた。この時期毎夕蛍を見に出ていた。その家から、車で15分ほど奥に行けば、山の高さまで蛍が乱舞する光景に出会えた。都会とは、随分と風情の違う蛍狩りだ。
○NHK出版からNHKラジオテキスト「すこやかに老いる」(塩田丸男)(7月~9月)が贈呈される。NHK出版編集部の粕谷昭大氏からで、水煙同人だったおおにしひろしさんの俳句が掲載された。「旅」のテーマで、P158の「老後の旅は「同行二人」」の項。
同行二人若葉風背に寺に着く/おおにしひろし
○今日の俳句
青梅雨や雨音軽く夜に入る/藤田裕子
青梅雨という言葉が美しい。それと微妙にずれた軽い雨音がして夜に入る。心に浸透するような詩情がある。(高橋正子)
時計草ほんの少しの青があり 正子
愛らしい時計草の中に、まるで空の一部を切り取ったような新鮮な色がある。時計草の中にそのような色を見つけたときの作者の感動が伝わってきました。見たまま、感じたままをストレートに一句にされているのに、この一句の中に詩(うた)があることがすばらしいと思いました。(井上治代)
○今日の俳句
山里に植田広がり空深し/井上治代
山里にも田が植えられて、あの田この田とつながって広がりをもつ。水面を渡る風にそよぐ早苗が目にすずしい。山里の植田の静かさに対し て、空はと言えば深い。静かさと深さが体に沁みるようだ。(高橋正子)
紫陽花を抱え魚屋に魚を選る 正子
紫陽花を新聞紙にくるっと包み、魚屋の店主と、魚の品定めをしている、夕方の風景が、見えてきます。心の穏やかな、ひとときです。(成川寿美代)
○今日の俳句
折り紙のあじさいあふれる保育室/成川寿美代
保育園の一室。壁にも、どこにも折り紙のあじさいが飾られ、あふれ咲くようである。四季のゆたかな日本であればこその、細やかな心遣いである。(高橋正子)
水こぼす水車の音の菖蒲田へ 正子
水車が動いている菖蒲田。 素敵な景ですね。 何とも言えぬ軽やかな音が広がっていきます。(祝恵子)
○洋介さんの句集葉桜の中扉の書を郵送。あわせて裏表紙版下(草枕国際俳句大会)も印刷所に送る。俳句界の版下は、昨日メールで送った。
○合同句集橘の電子書籍を信之先生が作成中。あらたに会員になられた方の分を含める。
○日々草の苗を二株植えた。朝顔、今日になって6番目の双葉がでる。花やで琉球朝顔の苗を見る。
○今日の俳句
ガラス器に白一色の花菖蒲/祝 恵子
ガラス器は、もちろん透明。それに合わせて無彩色の白。そこにいい関連があって、白菖蒲が凛として現代的である。(高橋正子)
ハム削ぎ切り新玉葱の白を載せ 正子
この季節、玉葱をうす切りにして生で食べるのがとても瑞々しく、歯ざわりのいい甘みを楽しませてくれます。ハムとの食べ合わせも美味しさを増しますが、「新玉葱の白」が涼感を運んでくれています。(小西 宏)
○花冠8月号入稿。ネットにアップし、印刷所でダウンロードしてもらう。
○今日の俳句
模様替えし部屋に藺草の匂い立つ/小西 宏
住まいは夏を旨とすべし、と言われるように、夏はことに部屋を夏向きに模様替えする。新しい花茣蓙を敷くと、藺草のいい匂いがする。開けた窓からの涼風とともに寛いだ気持ちになれる。(高橋正子)
オナガ来て新樹の中をよろこべり 正子
近来、西日本ではなかなか見られなくなったオナガ鳥です。みずみずしくつややかな新樹の立木に、オナガとの出会いがとても新鮮で、胸躍るような嬉しさを感じます。 (藤田洋子)
○昨日入梅宣言があった関東地方だが、今朝はよく晴れる。合いものの洗濯に追われる。朝顔の双葉がようやく4本出た。植えてから2週間以上は経ったかも。茄子も花が咲くが落ちてしまう。その中、青紫蘇は元気で、夕べ小さかった葉が今朝は大きくなっている。
○今日の俳句
植田澄みもれなくそよぐ丈となり/藤田洋子
田植えをしたばかりのときは、水に浮くような早苗だったものが、次第に落ち着いてきた、田水も澄むようになり、早苗もどれもがそよぎ出す丈となった。梅雨入りを待って、いよいよ苗も生長していくことであろう。(高橋正子)
朴の花栃の花見てゆたけしや 正子
朴も栃もどちらも山地に自生する落葉高木で、初夏のころ白い花を咲かせます。両方の花を見て歩かれた詠者の豊かなお気持ちがよくわかります。 (河野啓一)
○関東地方は、今日入梅。一日雨。
枇杷の実に雨は一日止みもせず 正子
額あじさい雨を受けては海の色 正子
わらびもち電話かかればそのままに 正子
○わらびもちを作る。
○今日の俳句
野萱草咲いて荒野の色となり/河野啓一
野萱草の花は、荒野に置いてこそ似合う色である。葉も乱れつつ橙色の萱草の花が夏雲の下に咲くと、荒野は目覚めたように夏の景色となる。「荒野の色」は、そういう意味だろう。(高橋正子)
葛飾は薔薇咲き風の吹くところ 正子
薔薇の香りが風に乗って吹いてきて、心地よい葛飾でのひとときが想像されます。寅さんの瓢々とした姿なども目に浮かんで来て、自然体で過ごせそうな町の風情を感じます。 (柳原美知子)
○関東地方も入梅したようだ。
○紫陽花ネット句会。
http://blog.goo.ne.jp/kakan15/
○今日作った句
青紫蘇の丈の低きの二枚摘む
津和野回想
鷺舞の二羽に行き逢う旅の途に
瑠璃鶲・野鶲・駒鳥みな知らず
鯵を焼く藻塩さらさら振りかける
朴の花上より見むと上に来し
街路樹に栃の花咲き氷菓食ぶ
○今日の俳句
熟れ麦へ風吹く度に日の匂う/柳原美知子
麦が熟れ、さらさらと風が吹くと、日が匂い、言いがたいような懐かしさが湧く。(高橋正子)
東京幡ヶ谷
下町の空に乾ける子の白シャツ 正子
6月の晴れた下町の空、ベランダにであろうか、子の白シャツが風に吹かれて干されている。「子の」とあるのでご子息の住居であろう。親から離れ、確かな生活をしているわが子に思いを馳せる母親の俳句である。昔イタリアのアッシジを訪れた時、狭い路地を挟んで張った綱の上に、干された洗濯物が青空に美しかったことを思い出した。(古田敬二)
○今日の俳句
露天湯と白樺若葉と青空と/古田敬二
露天湯から見える白樺の若葉、それに青空。ただそれの並列であるが、作為がなく、さわやかである。(高橋正子)
バスの後ろ揺らし入りゆく青山河 正子
山も河もしたたる青さの大きな景観の中、一点のバスの動きが見て取れるようです。「揺らし入りゆく」リズムの心地よさに、青葉満つ季節の喜びをことさら感じます。(藤田洋子)
○今日の俳句
夏兆す田毎に水の落ちる音/藤田洋子
どの田にも水が入り、水音がしている。涼感を呼ぶ水音と、水の入った田の明るさに、「夏の兆し」をことさらに感じる。(高橋正子)