3月31日(水)

晴後曇
俳句
 不器男記念館
詩人死してただ春風の竹葉吹く  正子

○今日の俳句
春鳥の飛び去り棒の揺れるのみ/祝恵子
たとえば、畑に突っ立っている棒に、鳥が飛んで来て止まり、辺りを見たり、鳴いたりして、飛び去る。飛び去るときのはずみで棒が揺れる。春になると特に小さな生き物がいきいきと動き始める。春らしい景色。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・すみれ・ムラサキナズナ」(横浜日吉本町)

3月30日(火)

晴れ
俳句
花あしびしずけきものに山の路  正子
自解:東山銀閣寺での作。光は明るく空は高いものの、京都の春寒い日のこと。寺苑をめぐり山路にかかると、眼に映るものは低く咲くあしびの花。すれ違う人もたまにはいるが、人のいることを忘れさせる山路。銀閣寺の姿と相俟って、「しずけきもの」とは、こういうものかと実感する。山路からは、竹の秀先越しに京都の霞んだ町並みが見える。

今日の句
寒気来て花咲く空の青深し

○「俳句界5月号」の結社広告の原稿校正と、6月号結社広告の原稿を送る。

○昨日は、3度まで気温が下がる。寒気のせい。

○今日の俳句
水色のそらに連翹の明るい岸/小西 宏
元の句は、「水色のそら」で切れ過ぎ。感動のありどころを、論理的に詰めて表現するとリアルな句になる。水色の空であるから、真っ黄色い連翹の咲く岸がくっきりと眼前に見える。そのコントラストが美しい。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇生活する花たち「桜・馬酔木・連翹」(横浜日吉本町)

3月29日(月)

雨のち曇
俳句
春雷のいなづま明かりを胸に受く  正子
自解:春雷は夜、寝についたころ、突然に鳴ることが多い。眠ろうと胸に手を置いていると、ガラス窓からカーテンを越して、いなづまが胸をさし照らす。胸に受け止めるしかない。

○昨夜から気温が下がり、午前11時でも5度。

○今日の俳句
残る鴨みずから生みし輪の芯に/川名ますみ
「残る鴨」なので、みずからが生んだ輪の中心にいるという事実が生きる。温んだ水が、しずかに輪を描き、その中心にいる鴨に、独りでいる意思が読み取れる。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇生活する花たち「桜・ソケイ・パンジー」(横浜日吉本町)

3月28日(日)


俳句
芽柳のるると色燃ゆ向こう岸  正子
自解:「るると」がお分かりだろうか。柳のさみどりの小さい芽が「る」という字に似て、また、小さな芽のつながる枝が「るる」と発音すればよさそうな具合に風に揺れていた。それが水を隔てた向こう岸にあるので、そこまで行って見たいような、こちら側から見ていた方がよいような風景だった。

○松山へのお土産と、月間賞の賞品にする扇子と葉書に俳句を書く。家事をした後は、気のせいか腕が重く感じるので、家事は目をつむる。夕方、どっさり洗濯。外に出ると冷え込んでいる。4度らしい。

○町内会の班長を次の方に引き継ぎ、一年3ヶ月の任務を終える。
班長の仕事は、回覧を月2回程回す、毎月広報の配布、秋の防災訓練に参加、防災班の担当を割り振る、年2回の募金集め、班長会、総会に出席。町内会費の徴収など。結構あるのです。

○今日の俳句
桜咲く島へと長き水脈を曳き/柳原美知子
島に桜が咲くこと自体に抒情がある。その島まで船が長い水脈を曳いて、穏やかなみどり深き海が想像できる。島へゆくのは生活の船であろう。一景の画だ。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇生活する花たち「桜・雪柳・菜の花」(横浜日吉本町)

3月27日(土)

晴後曇
俳句
春の夜のむかし炭火を持ち運び  正子
自解:「むかし」というのは、昭和30年代の終わりから40年代の初めごろ。火鉢を使っていて、台所で熾した炭火を炭斗(すみとり)に入れて、各部屋の火鉢に火だねを持ってゆく。春の夜は、がらんとして寒い。炭火の匂いがなんともよい。そういった時代があったことを思い出して作った句。

○今日の俳句
青空の青を返して犬ふぐり/渋谷洋介
犬ふぐりは、地に咲く星に例えられたり、その他、いろいろな表現で称えられてきた。この句のよさは、「青を返して」にある。青空の青を映し、その青をまた空へそっくり返す。この力が花の生命力、あるいは生命感というものであろう。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇生活する花たち「桜・ラベンダーの蕾・菜花」(横浜日吉本町)

3月26日(金)

曇時々晴
俳句
春の塩ぱらぱら振れば菜はみどり  正子  
自解:台所は、家のなかでも冷えている。台所に立ち漬物用の菜に塩を振ると、塩は塩壺の中でで少し湿りを帯びて、掴んで降れば、霰のように菜にかかる。春愁に近い気分。

○俳句雑誌「花冠」5月号校了。
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/

○川柳のかもめ舎主宰の川瀬晶子先生に、第19回インターネット俳句コンテスト審査員依頼の件で電話。
http://www.kamomesha.net/

○今日の俳句
花冷えの夜も賑わえる我が家かな/高橋秀之
花冷えとは一見お構いなしの元気な子どもたちで賑わう我が家。とはいえ、花冷えの空気が大きく家を包んでいる。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇生活する花たち「桜・パンジー・いちごの花」(横浜日吉本町)

3月25日(木)


俳句
春の蕗提げしわれにも風が付く  正子
自解:蕗を油揚げと煮る。これは、お惣菜の定番。しかし、茎が1メートルほどの栽培蕗で風情もなくて、つまらないが、それでも季節のせいか、いいおかずになっている。丈の短い、茎の細い蕗。これが本当の蕗。筍もそろそろ。蕗と煮るのも定番。

○昨日は、真冬のような寒さ。今朝も雨で寒い。

○松山へ行く準備をはじめる。

○今日の俳句
まんまるい蕾もろとも花菜漬け/藤田裕子
まんまるい、黄色も少し見える蕾もろとも漬物に付け込むには、心意気がいる。日常生活が身の丈で表現された句。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「馬酔木・菜の花・金盞花」(横浜日吉本町3丁目)

3月24日(水)/彼岸明け


俳句
らんまんの一花こぼさぬ花強し  正子
咲き満ちて日に輝き、仄かな香を漂わせている桜。風に吹かれて撓う枝に、優美な花がひとつだに零れ落ちることなく戦いでいる。爛漫の花に秘めらた強靭さに驚嘆し、短い花の生命の限りを精一杯輝かせて咲いている、美しくもけなげな桜への愛しさが込み上げてきます。透徹した観察眼と女性ならではの感性の感じられる生命の讃歌に心惹かれます。(柳原美知子)

○彼岸明けというのに、寒波の再来。最高気温が9度とか。「暑さ寒さも彼岸まで」が、眉唾物になってきた。苺が届いたのに、冷たそうで、食べる気にならない。

○川柳のかもめ舎から柳誌「かもめ舎」第5号が届く。

○今日の俳句
チェロの夕果てて仰げば春の月/佃 康水
チェロの演奏会が果て、余韻を引いて外に出れば春の月が出ている。「秋の月はさやけさを賞で、春の月は朧なるを賞づ」と言われるが、「澄んであたたかい感じ」の春月もよい。チェロの余韻が広がる。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇季節の花「ソケイ・パンジー・チュウリップ」(横浜日吉本町3丁目)

3月23日(火)

曇時々晴
俳句
コーヒーに水の旨味よ花の朝  正子
自解:この句は、愛媛県久万高原町にある久万中学校での作。映画のロケにも使われた木造校舎。この校長室でいただいたコーヒー。窓には桜が咲き満ち、ひんやりとした山の朝の空気。出されたのは、インスタントコーヒーだが、おいしかったこと。水の旨みを実感した。

○全国俳誌協会の俳句コンクールの正子選30句を郵送。

○今日の俳句
一山の花明りして暮れゆけり/藤田洋子
一山が桜の花で見事であるが、暮れてゆくときは、花の色が発光するようように暮れ残る。「花明かり」にある華やかさと寂しさの混じった抒情がよく詠まれている。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇季節の花「曙つつじ・黄水仙・ラッパ水仙」(横浜日吉本町)

3月22日(月)/放送記念日

晴れ
俳句
水菜洗う長い時間を水流し
 こんな句は、地味なようで、実は派手な句と言えましょう。自分の感動をよく吟味し、工夫して、表現した新しさがあります。(川本臥風)

○今日の俳句
咲き初めし辛夷湖へと枝を張る/黒谷光子
 この句の眼目は、景色がよいことである。「咲き初めし辛夷」も、「湖へ枝を張る」も、これからのさらに美しい景色を想像させて、芯にしっかりとした力の強さがある。

○現代俳句一日一句鑑賞
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◇季節の花「桜・レンギョウ・雲間草」(横浜日吉本町3丁目)