9月9日(日)

★つまみ菜を洗えば濁る水の色  正子
大根や蕪、貝割菜など、秋に種を蒔き間もなくして密生して芽を出すので、間引いて味噌汁の実にしたりみどり鮮やかな新芽をサラダやトッピングにもして、つまみ菜は食卓を楽しませてくれます。殆ど土が付いたり汚れは少ないつまみ菜ですが洗えば多少の汚れが落ちたり菜が広がったりと水が濁ります。しかし、この濁りもみどり色で有ったり爽やかな色に濁り、つまみ菜は大地からの恵みで有ること、そして又、澄む秋の水の色をも実感していらっしゃる様に思えます。(佃 康水)

○今日の俳句
せせらぎの岩すべり来る秋の水/佃 康水
「岩すべり来る」が澄んで滑らかな秋の水の感じをよく出している。(高橋正子)

○未草(ひつじぐさ)

[未草/国立公園尾瀬]             [未草/ネットより]

★漣の吸ひ込まれゆく未草/西村和子

高校生のころだったろうか、睡蓮のことを、または未草というと思うようになっていた。そして、いつのころか、未草と睡蓮は違うものだと知った。未草は白い花で、睡蓮より花が小さく花の咲く時間も未の刻を中心に咲く。名前だけ知って実際に花を見たことはなかったが、一昨年8月27日と28日に尾瀬に行ったとき、池塘に未草が咲いていた。これは感激であったが、尾瀬に入ってビジターセンターや国民宿舎のある山の鼻から木道を歩いて行くと、ちょうど2時ごろであったので、未草の花を見ることができた。実際は午前11時ごろから午後4時ごろまで咲くそうだが、未の刻に合わせて咲いているようにしか思えなかった。

★湿原の日はやわらかし未草/高橋正子

 未草(ヒツジグサ)は、スイレン科スイレン属の水生多年草で、学名は Nymphaea tetragona(Nymphae:スイレン属、tetragona:四角の)。Nymphaea は、水の女神であるところの「Nympha(ニンファー)」と命名された、古い植物名に由来するもの。夏、地下茎から茎を伸ばし、池や沼で水面スレスレに白い清楚な花を咲かせる。花の大きさは3~4cm、萼片が4枚、花弁が10枚ほど。花期は6月~11月。昔の時刻の数え方のひとつである、「未(ひつじ)の刻(14:00)」の頃に花が開くことからこの名前になった。実際には午前11時頃から咲き始め、夕方4時頃しぼんでいく。一つの花は3日、3回咲いたあと、水中に沈んで実をつける。未草はスイレンの原種の一つであり、日本唯一の在来種(尾瀬の未草が有名)で、日本全国の池や沼に広く分布している。寒さに強く、山地の沼や亜高山帯の高層湿原にも生えている。日本以外ではシベリア、欧州、中国及び朝鮮半島、インド北部、北アメリカに分布している。

◇生活する花たち「萩・からいとそう・瓢箪」(東京・向島百花園)


コメント

  1. 佃 康水
    2012年9月5日 21:04

    お礼・俳句鑑賞
    (御礼)高橋信之先生 正子先生
    今日の俳句に「せせらぎの岩すべり来る秋の水」をお取上げ頂き嬉しい句評も添えていただき誠に有り難うございます。山路を歩いたときの事を思い出しています。

    「俳句鑑賞」
       つまみ菜を洗えば濁る水の色  正子

    大根や蕪、貝割菜など、秋に種を蒔き間もなくして密生して芽を出すので、間引いて味噌汁の実にしたりみどり鮮やかな新芽をサラダやトッピングにもして、つまみ菜は食卓を楽しませてくれます。殆ど土が付いたり汚れは少ないつまみ菜ですが洗えば多少の汚れが落ちたり菜が広がったりと水が濁ります。しかし、この濁りもみどり色で有ったり爽やかな色に濁り、つまみ菜は大地からの恵みで有ること、そして又、澄む秋の水の色をも実感していらっしゃる様に思えます。