★娘の秋扇たたまれ青き色の見ゆ 正子
句会などで机の上の手許に置かれた扇でしょうか。「娘の秋扇」に若々しい感じが最初に伝わります。丁寧にたたまれた扇には、絵柄の「青き色」が凝縮して見え、涼しげです。(小川和子)
○今日の俳句
機関車の蒸気噴きゆく秋風よ/小川和子
「蒸気噴きゆく」に機関車の生きいきとした走りを見る。冷涼な秋風となってゆく蒸気に、秋の季をとらえた。(高橋正子)
○新聞を読む
「日経」朝刊の「経済教室」を読む。私たちの俳句雑誌「花冠」のモットー「細く長く」が日本の経済界を含め、日本の社会・文化のすべてに重要な課題であることを知った。「花冠」は、創刊29周年が過ぎ、来年9月には、創刊30周年を迎える。「細く長く」を30年間一貫して続けて来れたことを嬉しく思った。
「日本経済新聞」2012年9月5日朝刊「経済教室」
(逆風下の企業経営)(下)中長期戦略、着実に実行を
伊藤邦雄 一橋大学教授
情報開示と整合的に 価値創造への具体策描け
<ポイント>
○企業価値の長期低落の一因は経営能力低下
○資本市場からの信頼感低下も価値低落招く
○日本企業では中期経営計画の未達が恒例化
http://kakan.info/memo/nikkei.pdf
○射干、檜扇(ヒオウギ)
[射干(ヒオウギ)/東京・向島百花園]
★射干のまはりびつしより水打つて/波多野爽波
★水打つて射干の起ち上がるあり/波多野爽波
★射干の前をときどき笑ひ過ぐ/岡井省二
★射干の咲く川岸に風立ちぬ/當麻幸子
★射干や海に出る道石多し/鈴木多枝子
★満願の朝や射干実をはじく/飯田はるみ
★仏谷出て射干の朱にまみゆ/淵脇護
★射干や人欺かず蔑まず/小澤克己
★射干や薪積む軒の深庇/生田喬也
檜扇の花の印象はとてもクラッシックだということ。朱色の花は貴族階級の女の子のような雰囲気だ。栽培しているものも最近ではめったに見ることがなくなった。向島百花園でかろうじて咲き残るのを見たくらいだ。昭和30年ぐらいまでだろうか。夏休みの八月の庭に植えてあるのを見たことがある。そのずっと後、生け花に活けたのを床の間で拝見することもあった。葉が檜扇のようなのでこの名前がついているのだが、檜扇の連想からいつも古典的な花と思う。手書きの生花の本のような。
★檜扇を活けし鋏がまだそこに/高橋正子
★檜扇の花を揚羽が飛びゆけり/高橋正子
ヒオウギ(檜扇、学名:Iris domestica)はアヤメ科アヤメ属の多年草である。従来はヒオウギ属(Belamcanda)に属するとされ、B. chinensisの学名を与えられていたが、2005年になって分子生物学によるDNA解析の結果からアヤメ属に編入され、現在の学名となった。ヒオウギは山野の草地や海岸に自生する多年草である。高さ60 – 120センチ・メートル程度。名前が示すように葉は長く扇状に広がる。花は8月ごろ咲き、直径5 – 6センチ・メートル程度。花被片はオレンジ色で赤い斑点があり放射状に開く。午前中に咲き夕方にはしぼむ一日花である。種子は5ミリ・メートル程度で黒く艶がある。本州・四国・九州に分布する。花が美しいためしばしば栽培され、生花店でも販売される。特に京都では祇園祭に欠かせない花として愛好されている。黒い種子は俗に「ぬば玉」と呼ばれ、和歌では「黒」や「夜」にかかる枕詞としても知られる。
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