9月19日(水)


★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
吹き起こる風の大きさに、田一面に波立つ金色の稲穂が目に見えるようです。情景さながらの爽やかさは、まさに稔りの秋の喜びです。(藤田洋子)

○今日の俳句
秋涼し仏花の束を風に解き/藤田洋子
仏様に花を供えようと花束をほどくと涼しい風が吹く。花束にはリンドウなど秋の花もあってそれも嬉しい。「風に解き」で、いっそうさわやかな句となった。(高橋正子)

●信之先生、10時入院。入院するやいろいろ事務手続きや検温などで忙しい。あっという間に2時。
病院の布団は薄すぎるというので、家に帰り、普段使っている羽毛の厚い蒲団を運んだ。午後6時半に病院を出て帰る。途中日吉の天一書房で、「世界一写真集」を買う。外国の世界一の景色に混じり、日本では淡路島大橋がのっていた。

「ベビーマグちゃん」の商品名のマグネシウムの洗濯用を使い始めた。始めたのは6月ごろだが、一度使って良さそうなので、肌の弱い句美子にあげた。よかったのか、句美子が通販で買って送ってくれた。一番良いのは、衣類に匂いが残らないこと。殺菌効果あり、みたい。

○稲刈

[稲刈/横浜市緑区北八朔]          [稲干す/横浜市緑区北八朔]

★世の中は稲刈る頃か草の庵 芭蕉
★みるうちに畔道ふさぐ刈穂哉 杉風
★稲刈れば小草に秋の日のあたる 蕪村
★落日が一時赤し稲を刈る/青木月斗
★稲を刈る夜はしらたまの女体にて/平畑静塔
★月の水ごくごく飲んで稲を刈る/本宮哲郎
★田の土の匂いが強し稲を刈る/高橋正子
★稲を刈りバッタ飛びたる弧が澄みぬ/〃

 稲刈り(いねかり)とは、熟したイネを収穫するために切り取る農作業で、普通は根元からその穂ごと切り取る。古代には穂のみを切り取ったと考えられるが、現在では株の基部で切り取るのが普通である。刈り取った稲は、普通はその基部で縛って束ね、ぶら下げて乾燥させる。実際の米の収穫はこれ以降の脱穀の過程で行われる。人力のみで行われていたころは、大きな人数を要し、集中して行う必要のある作業であった。稲刈りは古来より、日本の農村部における秋の代表的な風物でもある。秋祭りは、その年のイネが無事に収穫されたことを祝い、来年も豊作であることを祈願する祭りである。日本では第二次世界大戦後も久しく、鎌を用いて手作業で稲刈りが行われた。稲刈りに使用する鎌は、刃先が鋸になった特殊なもので、イネの茎の切断が容易に出来るよう工夫されている。稲刈りの実際の作業は、近年のコンバインの登場によって大きく様変りした。
 コンバインは1940年代に初めて登場し、徐々に普及した。稲刈りから脱穀までの作業を一貫して行えるのがコンバインの特徴である。稲刈りから脱穀をまとめて行うが、その間籾の乾燥工程がないので、脱穀された籾は直ちに専用の穀物乾燥機にかけられる。現在でも、山間地や棚田など大型の農業機械の導入が困難な田んぼ(圃場整備が行われていない千枚田など)では、バインダーで刈り取り、稲架にかけて乾燥、ハーベスターで脱穀するという組み合わせで収穫するか、もしくは鎌を用いた従来通りの作業方法が採られている。
 コンバインの普及により作業時間は大幅に短縮されたが、車両後方に排出される藁のくずが皮膚に付着すると、比較的大きな痒みや(人によっては)肌荒れが起きる為、コンバイン搭乗者以外の作業従事者は作業時の風向きに十分注意する必要がある。稲刈りを行っている農家が顔を覆うようにタオルや手ぬぐいを着用しているのは、その痒みを事前に防ぐ為である事が多い。近年は高価ではあるがキャビン(操縦席が密閉されているもの)付きの車両も登場しており、エアコンが搭載されている事も含め、搭乗者の負担は大幅に減少しているようだ。
 刈り取られた稲は水分が多いので、稲架にかけて天日干しされ、十分乾燥した頃に脱穀を行う。人力のみに頼ったころは、多人数が必要であったから、当然のように子供も動員された。そのため農村域では学校でも休暇を設定しているのが普通であった。農繁休暇と呼ばれたが、一般には稲刈り休みと呼んでいた。
 神社で神に捧げる少量の稲を神職や氏子などの手により作られている場合もあり、この場合、稲刈りはだいたい手作業で行われる。皇居でも生物学御研究所脇に御田があり、毎年9月下旬頃に天皇が自ら手作業で稲刈りをする。この行事は昭和天皇が始めたもので今上天皇にも引き継がれている。収穫した稲は伊勢の神宮に納めたり、皇居内の神事に使うほか、天皇一家の食事にも使用されている。

◇生活する花たち「犬蓼・吾亦紅・チカラシバ」(横浜下田町・松の川緑道)


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