★虫籠に風入らせて子ら駈ける 正子
虫を取りに秋の野を駈ける子らの元気な声が虫の音と重なり合って聞こえてきます。爽やかな秋風が子らの虫籠にもたっぷりと入ってきて、澄み切った青空がどこまでも広がっています。(柳原美知子)
○今日の俳句
朝の田に光こぼしつ赤とんぼ/柳原美知子
朝の赤とんぼは、ことにきらきらと輝いている。「光こぼし」は的確な描写。朝の田の清々しさと、生き生きと飛ぶ赤とんぼが目に明らかだ。(高橋正子)
○今日の秀句発表/高橋正子選
★涼新た一直線に船が出る/高橋秀之
新涼の季節。港を出てゆく船も、かろやかに一直線に航跡を残して出てゆく。新涼の気分に満ちた句。(高橋正子)
その他の秀句:
http://blog.goo.ne.jp/kakan111
★落栗やなにかと言へばすぐ谺/芝不器男
栗の木があるところは、山静かな里。落ちた栗も拾われずに転がっている。ちょっとした言葉も響いて谺となる。自分の発した声の谺は、もっとも自分の心がよく受け止めているのではないか。(高橋正子)
★毬栗に袋かぶせてありにけり/高橋将夫
★毬栗や身籠りし山羊つながるる/大串章
★毬栗や祖母に優しく叱られし/大串章
★毬栗を蹴つて日暮れの村となる/小澤克己
★毬栗の落ちてすとんと暗くなる/杉浦典子
★毬栗のやや枯れてゐる掌/田畑幸子
★毬栗を剥くに大事や鎌と足/田中英子
栗の季節になった。栗の季節は意外と早い。まだ残暑が残る中、店頭に栗が現れる。農村や山村では、家に栗の木をもっている家も多い。栗には虫がつきやすいので、昨年まで豊作で栗を送ってきてくれていたのに、今年は突然虫にやられて栗の木が枯れたと報告を受けることもある。送ってきた栗は毬が外してあるのだが、数個は毬栗のまま入っている。それをしばらく飾って楽しんだりするが、毬栗も生き物、次第に色艶が失われてくる。そうなると飾りとしてはおしまい。毬を外して食べることになる。毬栗のまだ青いのが、可愛い。まだ暑い中なのに、毬栗が青々と育っているのを見ると、もうすぐ涼しくなる、もうすぐ栗が食べれるとうれしくなる。愛媛の山村の内子町は蝋の生産で財をなした町で、いまでも古い町並みが残っている。ここは、栗の産地。栗の季節、車を運転してこの辺りを通ると、道にあふれるほど収穫した栗が山積みされている。いったいどの位の栗が収穫されているのか。我が家ではよく栗の渋皮煮を作った。好評であったが、これは土井勝著の「今日の料理」の教えの通りに作っていた。土井勝先生の料理の本にはに随分恩恵を受け、感謝もしている。
★毬栗の青々としてまん丸し/高橋正子
クリ(日本栗・学名Castanea crenata)とはブナ科クリ属の木の一種。日本と朝鮮半島南部原産。中華人民共和国東部と台湾でも栽培されている。クリのうち、各栽培品種の原種で山野に自生するものは、シバグリ(柴栗)またはヤマグリ(山栗)と呼ばれる、栽培品種はシバグリに比べて果実が大粒である。また、シバグリもごく一部では栽培される。落葉性高木で、高さ17m、幹の直径は80cm、あるいはそれ以上になる。樹皮は灰色で厚く、縦に深い裂け目を生じる。葉は長楕円形か長楕円状披針形、やや薄くてぱりぱりしている。表はつやがあり、裏はやや色が薄い。周囲には鋭く突き出した小さな鋸歯が並ぶ。雌雄異花で、いずれも5月から6月に開花する。雄花は穂状で斜めに立ち上がり、全体にクリーム色を帯びた白で、個々の花は小さいものの目を引く。一般に雌花は3個の子房を含み、受精した子房のみが肥大して果実となり、不受精のものはしいなとなる。9月から10月頃に実が成熟すると自然にいがのある殻斗が裂開して中から堅い果実(堅果であり種子ではない)が1 – 3個ずつ現れる。
果実は単にクリ(栗)、またはクリノミ(栗の実)と呼ばれ、普通は他のブナ科植物の果実であるドングリとは区別される(但し、ブナ科植物の果実の総称はドングリであり、広義にはドングリに含まれるとも言える)。また、毬状の殻斗に包まれていることからこの状態が毬果と呼ばれることもあるが、中にあるクリノミ自体が種子ではなく果実であるため誤りである。毬果とは、松かさのようなマツ綱植物の果実を指す。
日本のクリは縄文時代人の主食であり、青森県の三内丸山遺跡から出土したクリから、縄文時代にはすでに本種が栽培されていたことがわかっている。年間平均気温10 – 14℃、最低気温氷点下20℃をくだらない地方であれば、どこでも栽培が可能で、国内においてはほぼ全都道府県でみられ、生産量は、茨城、熊本、愛媛、岐阜、埼玉の順に多い。
コメント
お礼とコメント
お礼
「赤とんぼ」の句を9月16日の今日の俳句にお選びいただき、素晴らしいご講評をありがとうございました。朝日に
きらきらと輝きながら稲田の上を飛ぶ赤とんぼに元気をも
らいました。
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★虫籠に風入らせて子ら駈ける 正子
虫を取りに秋の野を駈ける子らの元気な声が虫の音と
重なり合って聞こえてきます。爽やかな秋風が子らの虫
籠にもたっぷりと入ってきて、澄み切った青空がどこまでも広がっています。
お礼とコメント
お礼
今月の秀句発表で「涼新た一直線に船が出る」をご紹介いただきありがとうございました。
日々の港の景色も、同じようで少しずつ変わります。素敵なコメントもいただき、ありがとうございました。
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虫籠に風入らせて子ら駈ける 正子
草原で秋の虫を追いかけて、虫籠を持って走り回る元気な子どもたち。そんな様子が軽やかに感じられます。