★梨の実に白雲の空広がれる 正子
○今日の俳句
さざめける稲穂の風の中に居る/桑本栄太郎
稲穂の上を風が渡ると、稲穂はさざめくような、快い音を立てる。吹く風も稲穂のさざめく音も、自然体で受け止められている。(高橋正子)
○風船かずら
風船かずらの丸い空気が風を待つ 正子
風船かずら。風船のように真ん丸く膨らんで、中に丸い種がある。この風船様の実をつぶしてパチンといわせたい衝動に駆られるのは、私だけではあるまい。見つけるとうれしく、実を玄関などに転がして置く。その小さい白い花も可憐なのだ。いつも、風に吹かれるのを待っているようだ。
○新聞を読む
今日の日経朝刊第1面に「新しい日本へ 復興の道筋を聞く(5)」と題して、セールスフォース・ドットコム会長のマーク・ベニオフ氏の意見が載った。昨日の、ビル・エモット(英エコノミスト元編集長)と同じように、「信頼」を取り上げていた。ベニオフ氏は、「信頼」を保証する「透明性」を求めた。
我々、海外の企業が日本で事業を展開するには、国家の信頼と透明性が必須だ。その意味では日本政府の原発事故への対応は不明瞭だったと言わざるを得ない。情報開示も遅れがちで透明性にも欠けていた。フィルターが掛かっていない生のデータをどんどん開示すべきだった。国民や企業も積極的に政府に情報開示を求め、得た情報をネットで広く世界に発信してほしい。
新しい日本は、信頼の上に築かれなければならない。自国の国民や企業に加え、他国や外資系企業の信頼を取り戻す必要がある。ネットを通じて世界の人々が瞬時に意見を交わせるソーシャルの時代だからこそ、信頼を最重視すべきだ。政府がSNSなどを使って必要な情報を開示すれば、信頼関係を取り戻すことにつながる。
※マーク・ベニオフ氏は、 1999年に米セールスフォース・ドットコム設立、企業向け「クラウドコンピューティング」専業の世界最大手に育てた。46歳。
○昨日の英エコノミスト元編集長、ビル・エモット氏の記事の文中に「経済学とは、単に統計や方程式を扱う学問ではなく、根本的には人間の行動を研究する学問である。そして人間の行動では、心理的な要素が重要な役割を果たす。」とあった。
ノーベル経済学賞をとった人の論文を、いつだったか、新聞紙上で読んだことがある。よくわからないにしても、日本の経済学者が言うこととは、全く違うと感じた。経済学も人間の幸福のためにある。人間とはなにかを根本で問題としている感じを受けた。日本の経済学者のいうことが、あまりにも非人間的で、金中心主義的である感じを受ている。が、世界では、そうではないことを知った。経済学も、人間への深い研究なしには成り立たない。
俳句だって、東洋的自然観、人間への深い洞察がなくして、本物と言えるか、だ。
○ビル・エモット氏の記事、「日本で政治が混迷しているのは、このコンセンサスと共同体の連帯感の欠如が原因である。理想をいえば政治家がそうしたコンセンサスの醸成を主導すべきだが、彼らの行動には、有権者のほか、メディアや実業界など影響力をもつ集団の意見や態度が反映される。いままさに政治家はコンセンサスと共同体の連帯感の欠如を反映している。」
俳句では、個人(有権者)の本当によいと思う句ではなく、メディアや団体の集団の好む(金銭的利害をたぶんに含むが)ものが反映されて俳句の混迷と衰退を招いている、と置き換えて考えられる。
コメント
お礼
高橋正子先生
「球追えば芝に群れなす赤とんぼ」を先生の「俳句日記」にお取り上げ下さり、大変ありがとうございました。
鑑賞
★いつよりか燕無き空青澄める 正子
季節の移ろいによる喪失の寂しさ。しかしまた、新しいものとの出会いでもあるのです。ふと燕のいない空に気づいたとき、澄む秋の青を一層しみじみと感じます。