★ひとつぶのつめたさうましぶどう食ぶ 正子
ぶどうは多汁で甘酸っぱく、手を濡らしつつも一粒ずつ頂けるのがまた嬉しい果実です。上五、中七を全部ひらがなにされたことで、良く冷えたぶどうを一粒ずつ、美味しく味わいながらゆとりの時間を過ごされていらっしゃる様子が窺えます。(佃 康水)
○鬼灯(ほおずき)
ほおずきの玲瓏と熟れ原爆忌 正子
月遅れのお盆が近くなると、ほおずきを思い出す。生家には、築山といって庭石や灯籠や小さい池に、松、椿、紅葉といった木を配しているところがあって、そこに先祖を祀る小さい碑のようなものがあるのだが、そのわきにほおずきが植えてあった。お盆のころちょうど熟れるので、植えられたのであろうが、このほおずきは、きれいに熟れかけたと思うと、袋が虫にくわれて網目状になってしまうのが、ほどんど。中の実の皮と破らないように種を出して口に含めば、鳴るというもの。しかし、これがうまくいったことはなかった。かなりの技がいるのであろう。浅草のほおずき市に売られるような完璧なほおずきを見てみたいものと思っていた。
東京・下町の夏の風物詩「ほおずき市」が7月9日、東京都台東区の浅草寺で始まった。本堂周辺に並んだ露店は約220軒。朱色が鮮やかな丹波ホオズキが売れ筋で、1鉢2500円。かつて薬効があるとして用いられた、緑色の千成ホオズキも人気という。9、10日は参拝すると4万6千日分の御利益があるとされる浅草寺の功徳日。ほおずき市は10日夜まで開かれ、浅草観光連盟は約60万人の人出を見込んだ。
○今日の俳句
露草を今朝の客にと摘みて来る/佃 康水
まだ露草が咲いているうちの来客。すずしい露草の花を摘んで来てもてなす心。主客ともにすずやかな気持ちのひと時が過ごせそうだ。(高橋正子)
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