7月12日(木)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
昼顔は散歩の途中でよく見かけます。あまり栽培しているというふうでもなく、道端や空き地の隅に咲いていることが多いような気がします。色も薄く何となくか細げです。そんな風情が「この世に透ける」との措辞によく表わされているように思います。(小西 宏)

○今日の俳句
梅雨の森また静やかに葉を鳴らす/小西 宏
梅雨の森は青葉が茂りしんとして緑の奥深さを感じる。風に鳴り止んだ葉が、またも静かに葉を鳴らす。なんと、ひそけく「静やか」なことであろう。深い明るさがある。(高橋正子)

○花冠9月号校正をお願いします。
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○向日葵(ひまわり)

[向日葵/横浜市港北区箕輪町]

★日まはりの花心がちに大いなり 子規
★葉をかむりつつ向日葵の廻りをり 虚子
★日天やくらくらすなる大向日葵 亞浪
★向日葵や日ざかりの機械休ませてある 山頭火
★向日葵の月に遊ぶや漁師達 普羅
★向日葵やいはれ古りたる時計台 風生
★向日葵もなべて影もつ月夜かな 水巴
★向日葵や月に潮くむ海女の群 麦南
★日を追はぬ大向日葵となりにけり しづの女
★ひまはりのたかだか咲ける憎きかな 万太郎
★キリストに向日葵あげて巷の中 青邨
★向日葵の眼は洞然と西方に 茅舎
★向日葵の空かがやけり波の群 秋櫻子
★向日葵に馳せくる波の礁を超ゆ 秋櫻子
★向日葵に天よりあつき光来る 多佳子
★縋らむとして向日葵もかなしき花 鷹女
★たまたまの日も向日葵の失へる 汀女
★高原の向日葵の影われらの影 三鬼
★向日葵は連山の丈空へ抽く 草田男
★われら栖む家か向日葵夜に立てり 誓子
★向日葵の蓋を見るとき海消えし 不器男
★塀出来て向日葵ばかり見ゆる家 立子
★向日葵や一本の径陰山へ 楸邨
★向日葵にひたむきの顔近づき来 波郷
★向日葵の一茎一花咲きとおす/津田清子
★向日葵を長身佛の華とせる/岡井省二

向日葵といえば、ゴッホの絵がまず浮かぶ。次元は違うが、 ひまわりはチューリップと並んで、子どもがまず描く花だ。それほど花の形、葉の形がはっきりしている。最近は小型の向日葵があるが、戦後、子どものころの向日葵は、たぶんロシア向日葵というのだろうが、一茎に一花咲かせる大きな向日葵だった。夏休みが終わるころ種がぎっしりと出来て花がうつむく。種は縞模様で一花に百粒以上はできるのだろう。
 今年初めてミニ向日葵を植えた。思いついて通販で種を買ったのだが、育ちつつある。驚いたことにこの種が大変魅惑的なブルーなのだ。咲くのを楽しみにしている。ヨーロッパやアメリカでは向日葵から油を取るために見渡す限り向日葵をさかせている光景を写真などで見るが、壮観なものである。

★向日葵に日が照るもとを蟻走る/高橋正子
★いくらでも水遣る夕べの向日葵に/高橋正子

ヒマワリ(向日葵、学名:Helianthus annuus)はキク科の一年草である。日回りと表記されることもあり、また、ニチリンソウ(日輪草)と呼ばれることもある。種実を食用や油糧とするため、あるいは花を花卉として観賞するために広く栽培される。ヒマワリは夏の季語である。原産地は北アメリカ。高さ3mくらいまで生長し、夏にかなり大きな黄色の花を咲かせる。大きな1つの花のように見えるが頭状花序と呼ばれ、多数の花が集まって1つの花の形を作っている。これは、キク科の植物に見られる特徴である。外輪に黄色い花びらをつけた花を舌状花、内側の花びらがない花を筒状花と区別して呼ぶ場合がある。和名の由来は、太陽の動きにつれてその方向を追うように花が回るといわれたことから。ただしこの動きは生長に伴うものであるため、実際に太陽を追って動くのは生長が盛んな若い時期だけである。若いヒマワリの茎の上部の葉は太陽に正対になるように動き、朝には東を向いていたのが夕方には西を向く。日没後はまもなく起きあがり、夜明け前にはふたたび東に向く。この運動はつぼみを付ける頃まで続くが、つぼみが大きくなり花が開く頃には生長が止まるため動かなくなる。その過程で日中の西への動きがだんだん小さくなるにもかかわらず夜間に東へ戻る動きは変わらないため、完全に開いた花は基本的に東を向いたままほとんど動かない。なお、これは茎頂に一つだけ花をつける品種が遮るもののない日光を受けた場合のことであり、多数の花をつけるものや日光を遮るものがある場所では必ずしもこうはならない。北海道の標準播種期は5月上旬であり、霜や氷点下の気温にも耐性はある。種は長卵形でやや平たい。種皮色は油料用品種が黒色であり、食用や観賞用品種には長軸方向に黒と白の縞模様がある。

◇生活する花たち「楮(コウゾ)の実・山ぼうしの実・水木の実」(横浜・四季の森公園)


コメント

  1. 小西 宏
    2012年7月11日 19:15

    お礼
    高橋正子先生
    「梅雨の森また静やかに葉を鳴らす」を先生の「俳句日記」にご紹介くださり、たいへんありがとうございました。とても励みになります。

  2. 小西 宏
    2012年7月11日 19:17

    鑑賞
    ★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
    昼顔は散歩の途中でよく見かけます。あまり栽培しているというふうでもなく、道端や空き地の隅に咲いていることが多いような気がします。色も薄く何となくか細げです。そんな風情が「この世に透ける」との措辞によく表わされているように思います。