7月29日(月)

★わが視線揚羽の青に流さるる  正子
この揚羽はアオスジアゲハでしょうか?きっとそうだろうと思いました。軽快にきびきびと飛ぶこの蝶は、翅のブルーの線が美しく目を引きます。思わず目を奪われてその姿を追っていかれた、そのことに共感いたします。 (多田有花)

○今日の俳句
雲の峰四方八方立ち上がる/多田有花
ぐるりと空を見渡すと、四方八方から雲の峰が立ちあがり、まさに夏をそれに感じる。四方八方の雲の峰は勇壮なことである。(高橋正子)

○屁糞葛(へくそかずら)

[屁糞葛/横浜・四季の森公園]

 「へくそかずら」は、埃っぽい真夏の暑さにも負けず道路わきの草に巻きついたり、涼しそうな竹藪の下草に巻きついたり、結構あちこちで見かける。初めてへくそかずらの名前を知ったのは、小学生の時だった。そのころは、夏休みの宿題は夏休み帳だけ。夏休み帳だけやるのは少な過ぎると考えたのだろう。上級生から夏休みには、漢字の百字練習と、計算ドリル、絵を2,3枚。工作1点、押し花か昆虫採集、これらをそろえて新学期に持ってゆくものと教えらえていた。一緒に勉強したり、絵を描いたり、工作をしたりすることもあった。押し花は小学3年生のころから始めた。毎夏のことで、家の周りのいわゆる雑草を採集して押し花にし、画用紙に貼り付けた。10枚から20枚くらいを綴じた。植物の名前は、図鑑で調べるののではなく、上級生や大人に聞いた。わからないものは何も書かないで提出。「へくそかずら」の名前は、夏休みの植物採集で知った。かわいい花だと思ったが、それが花にはかわいそうな名前であることなどちっとも思わなかった。実際、意味を考えもしなかったのだろう。

★へくそかずら涙を溜めし目に映る/高橋正子

 ヘクソカズラ (屁糞葛, Paederia scandens) とはアカネ科ヘクソカズラ属の植物の一種。別名ヤイトバナ、サオトメバナ。古名はクソカズラ(糞葛・屎葛)。日本各地、東アジアに分布する蔓性の多年草で、至る所に多い雑草。葉や茎に悪臭があることから屁屎葛(ヘクソカズラ)の名がある。葉は蔓性の茎に対生し、形は披針形から広卵形で、縁は全縁。花期は7月から9月頃で、花弁は白色、中心は紅紫色であり、その色合いが灸を据えた跡のようなのでヤイトバナ(灸花)の別名がある。果実は黄褐色。干して水分を飛ばした果実、または生の実を薬用とする。ただ、生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるため、乾燥したものを使うことのほうが多い。劇的ではないが効用は認められており、しもやけ、あかぎれなどの外用民間薬のほか、生薬の鶏屎藤果としてもしられている。「ヘ」の上に「クソ」までつく気の毒な名をもつヘクソカズラは、荒れた雑木林などに生える。名前のとおりに花などをもむといやなにおいがするが、芯の部分は落ちついたアズキ色でしゃれている。冬になれば枯れたつるで素敵なリースができる。

◇生活する花たち「鬼百合・コムラサキ・藪茗荷」(東京・新宿御苑)


コメント

  1. 多田有花
    2013年8月2日 18:15

    お礼とコメント
    正子先生、
    「雲の峰四方八方立ち上がる」を今日の俳句にお取り上げいただきありがとうございます。
    真夏の勢いを最も感じさせるものが高く立ち上がる雲の峰です。
    入道雲は日本らしい雲、だとも思います。

    ★わが視線揚羽の青に流さるる  正子
    この揚羽はアオスジアゲハでしょうか?きっとそうだろうと思いました。軽快にきびきびと
    飛ぶこの蝶は、翅のブルーの線が美しく目を引きます。思わず目を奪われてその姿を
    追っていかれた、そのことに共感いたします。