★すずしさに星座の話読みつなぐ 正子
都会では、今ははもう星々を線でつなぎ星座の姿を思い浮かべることが難しくなってしまいました。昔はよく夕涼みなどに出て星空を見上げ、遠いメソポタミアの神話に思いを馳せたものでした。子供たちにとっては、それは時間的にも空間的にも思いの広がる楽しいひと時でした。 (小西 宏)
○今日の俳句
行き交える電車の過ぎて蔦の青/小西 宏
電車が行き交っている間は、向こうにあるものに目が届かないが、過ぎた向こうには蔦が青々と茂っているのが目に鮮やかに飛びこむ。行き交う電車にこの蔦は煽られ揺れていたであろうが。(高橋正子)
★あさがほに我は飯くふ男かな 芭蕉
★朝顔や其の日其の日の花の出来 杉風
★朝がほに釣瓶とられてもらひ水 千代女
★朝がほや一輪深き淵のいろ 蕪村
★朝がほや垣にしづまる犬の声 白雄
★あさがほの花はぢけたりはなひとつ 暁台
★雪国の大蕣の咲にけり 一茶
★朝顔のさまざま色を尽すかな/正岡子規
★朝顔の紺の彼方の月日かな/石田波郷
★堪ふることばかり朝顔日々に紺/橋本多佳子
★朝顔の濁り初めたる市の空/杉田久女
★朝顔むらさき海に裏側みせて棲む/桂 信子
朝顔は、鉢植えにして行燈作りにするか、四つ目に竹を組んで垣根を作って咲かせてきた。最近はネットに上らせているが、風情がなくていけない。四つ目の垣に咲き上ると、花はみんな表を向いて、裏側からは、葉ばかり眺めることになる。でも、外からみれば、すずしい花がいくつも咲いて、きれいなのだ。
桂信子の「海に裏側みせて」は、海の見えるベランダで咲かせたときは、まったくこの通り。久女の「濁り初めたる市の空」は、朝顔が涼しい時にさいているのは、ほんのひととき。すぐに市の空は煙ったように濁り初め、じりじりと暑くなる。朝の終わりを咲く朝顔か。
横浜に引っ越してから、朝顔の種をまく時期がいつも遅くなっている。今年も5月20日過ぎに蒔いた。ゴールデンウィークに種をまくことにしていたが、ついつい遅くなっている。遅くなっても必ず蒔く。遅くなりはしたが、2,3日前から咲き始めた。最初は錆朱、次は赤紫、その次も赤紫。毎朝、何色が咲いたか楽しみにみるのが夏の朝の日課となるが、青も白もはまだ咲いていない。。朝顔の色を一つと言われれば、青をあげたい。西洋朝顔は、青い花ではあるが、昼間も夜も花をたくさん咲かせて、涼しいそうに見えはしない。日本の朝顔の破れそうなロート型の花が日本の夏にはよく似合う。
コメント
お礼
高橋正子先生
「行き交える電車の過ぎて蔦の青」を先生の「俳句日記」にご紹介くださり、たいへんありがとうございました。
鑑賞
★すずしさに星座の話読みつなぐ 正子
都会では、今ははもう星々を線でつなぎ星座の姿を思い浮かべることが難しくなってしまいました。昔はよく夕涼みなどに出て星空を見上げ、遠いメソポタミアの神話に思いを馳せたものでした。子供たちにとっては、それは時間的にも空間的にも思いの広がる楽しいひと時でした。