7月15日(木)

★梅雨月の光り増し来て萱の上   正子
梅雨の間、月を見ることも稀になる。その月が雲の切れ目に見えたとき、新鮮な喜びを感じる。明日は晴れるのか、次第に雲がうすくなり、月が輝きを増してきて萱の叢が浮かびあがる。梅雨ならではの情景を、豊かな目で捉えられている。 (山中啓輔)

○今日の俳句
蚊を打って陶工土に向かいけり/山中啓輔
陶工というのは、もくもくと土に向かう。陶工の生活の本質的なところを見た。(高橋正子)

○花冠ブログ句会7月前半入賞発表

○花冠9月号の校正中。

○白水社の図書新聞「出版ダイジェストNo.152 2010.6 →7」が届く。第1面にあっと驚く。「ブレードランナーたちと共に見る夢ー義足デザインでロンドンパラリンピックを目指す」(山中俊治/慶大教授/インダストリアルデザイナー )
前にこのブログで、映像で見た義足のランナーの走りのあまりの美しさに驚いて、そのことを書いた。その私の驚きとそっくり同じような驚きをもって見た方がいた。その方が山中俊治教授。(私のほうは、山中教授よりずっとずっとあとになって見たのだろうが。)
私はひそかに工業デザイナーに大いなる敬意を払っている。物理学的な計算をして、美しいフォームやスピードなどを作り上げる。機能性とのせめぎあいで生まれる美に全くもって感心している。そして、義足のほうが、人間の足よりかっこいい場合があるのだ。この義足は、走るときに装着されるもののようだが。
スポーツ用義足がどんなものか、記事を一部引用しておく。
 <スポーツ用義足を初めて見たのは映像の中だった。両足の膝下が人工物に置き換えられ、信じがたいスピードで走り抜ける異形のランナーに私の眼は釘付けになった。
 そのランナー自身の肉体は脛の辺りで終端となっていた。代わりにふくらはぎの後ろに接続された炭素繊維のブレートが、ネコ科の動物のつま先を思わせるカーブを描いて、地面に着地している。スキー板にも似たブレートの弾力を巧みに使って送り出される高速の足先は、その薄さゆえにほどんど映像から消えてしまう。その滑らかな走行は、飛んでいるようにさえ見えた。
 最新のテクノロジーが生み出した高性能の装置が人体に装着され、一体となって疾走するという、まるでSFの世界のできごとのようなシーンだった。 
 彼の名はオスカー・ピストリウス。刃物のような足に敬意を込めて「ブレートランナー」と呼ばれる。>中略<彼の肉体と一体化することで完璧な美しさを醸し出していた。これこそ、人が作りし物の究極の機能美なのではないか。>

◇生活する花たち「槿」(横浜日吉本町)


コメント

  1. 山中啓輔
    2010年7月15日 9:42

    お礼
    陶工の句をお取り上げいただき、ありがとうございました。感激しております。

  2. 山中啓輔
    2010年7月15日 22:36

    一句鑑賞
    梅雨月の光り増し来て萱の上   正子
    梅雨の間、月を見ることも稀になる。その月が雲の切れ目に見えたとき、新鮮な喜びを感じる。明日は晴れるのか、次第に雲がうすくなり、月が輝きを増してきて萱の叢が浮かびあがる。梅雨ならではの情景を、豊かな目で捉えられている。

  3. 高橋正子
    2010年7月17日 21:31

    お礼/啓輔さんへ
    梅雨月の句に丁寧なコメントをありがとうございました。月と萱があれば、蒸し暑いときも、涼感が得られます。