5月7日(土)

谷戸口に樹齢いくばく栃の花 正子
花嫁が混じりておりぬ夏電車 正子
●昨日、港の見える丘公園へ行った。中華街駅を出て「やとさか」へ出ると、目の前のフランス山の登り口に栃の大樹に白い花が湧き立つように咲いていた。
きのう、自分でも栃の花の句を作ったが、今日ネットで栃の花を検索して、久女の句に出会った。久女の句は全く読んだこともなかったのだが、こういうこともあるのかと、あまり驚きもしなかった。久女の句に「ぞ」があるのは、彼女の芯の強さ。自分に無いところと気づいた。
仰ぎ見る樹齢いくばくぞ栃の花/杉田久女
●フランス山。きのう登った。登り口に栃の大樹が2本ある。円錐花序の白い花に、赤みがかった色が見える。フランス山の麓なので、マロニエかと思ってぶら下がっている樹木札を確かめたが、「栃の木」と書いてあった。マロニエ(西洋栃の木)の実には棘があるとのこと。マロニエではないかと、疑いを持つ。こんど秋に来て確かめよう。階段を上った。麓に梅花ウツギが咲いている。階段で結構人とすれ違った。頂上に着くと、例の風車が立っている。都忘れ、蔓桔梗、薄紫や紫のパンジーで、一面薄紫色がひろがっている。その中に石楠花がの白い花や赤い花が花びらを透かせて咲いている。かつて井戸水を組み上げた風車が一基。三色旗の色に羽が塗られているというが、オレンジ色っぽくて、よくわからない。今も水をくみ上げているらしい。フランス山からばら園へ出た。
ばら園は、コロナで2年は開園されなかったと思う。何年か前、この薔薇園の続きのポートヒルホテルで一泊して水煙大会をした。レストランのフルコースもよかったが、港の丘の場所がよかった。そのときより薔薇園が整備されている。アーチやパーゴラが作られたり、薔薇の手入れも行き届いている。
 ばら園の端から港が見える。この日は、港は霧で真っ白だった。手前に氷川丸の煙突と黒い船尾、向こうの大桟橋に停泊している客船の煙突はくっきり見える。写真に撮ろうとしたが、スマホのカメラが動かない。(家に帰って再起動したら動いたが。)せっかくの景色も、薔薇も噴水も撮ることができなかった。しなしながら、残念という気持ちもそれほど湧かなくて、目に映ったものだけ、記憶して、ばら園を出た。すぐ近くの近代文学館では吉田謙一展が開かれていた。ポスターに吉田謙一のフランスの文学者っぽい風貌の半身写真があった。寄り道をするには時間がなく、文学館には寄らないで帰った。
港の見える丘に来るとき、中華街駅を出ようとしたら、白い花束をもった男性が改札へ向かって階段を急いだ。間もなく、白いドレスの裾を摘んで、花嫁が現れた。電車に乗る花嫁。みんなどんな視線を送ったのだろうか、それとも無関心だったのだろうか。ともかくも、花嫁が電車に乗るくらい、いい季節なのだ。
 

コメント