★豆の花宙に雀が鳴いており 正子
風かおる五月、菜園には今をさかりと蚕豆や豌豆が花を咲かせ、莢も実りはじめています。うららかに晴れた宙には雀がさえずり、いつの時代にも失いたくない田園の原風景が思われます。 (小川和子)
○今日の俳句
茄子苗の影なすほどに確と付く/小川和子
夏野菜の苗を植える季節。茄子苗も植え付けはじめは、心もとない感じだった。しっかりと根付いた今は「影をなすほど」になった。「影なすほど」は、茄子苗の存在感。(高橋正子)
○芹の花
[芹の花/横浜市都筑区緑道ふじやとの道(左:2012年5月1日・右:2013年4月17日)]
★一と股ぎほどの野川の芹の花/田村いづみ
★法隆寺からの小溝か芹の花/飴山 實
★底見せて流るる川や芹の花/石塚友二
★芹咲いて遠くに群れているを見る/高橋信之
芹は、セリ科の多年草で、春の季語であるが、芹の花は、季語となっていない。湿地やあぜ道、休耕田など土壌水分の多い場所や水辺の浅瀬に生育することもある湿地性植物である。高さは30cm程度で茎は泥の中や表面を横に這い、葉を伸ばす。葉は二回羽状複葉、小葉は菱形様。全体的に柔らかく黄緑色であるが、冬には赤っぽく色づくこともある。花期は7~8月といわれるが、晩春にも咲く。やや高く茎を伸ばし、その先端に傘状花序をつける。個々の花は小さく、花弁も見えないほどである。北半球一帯とオーストラリアに広く分布する。
★せせらぎはあまたの芹の花揺らす/高橋正子
芹は、独特の香りを持ち、春先の若い茎を食用とする。春の七草のひとつであるため1月ごろであればスーパーマーケット等で束にして売られる。自生品が出回ることもあるが、最近では養液栽培も盛んである。野草としての性質が強く種子の発芽率が低いため、計画的な生産には発芽率の改善が不可欠である。産地にもよるが、栽培ものと野生のものに、比較的差が少ない種である。観賞用の斑入りの品種もある。無農薬で栽培することで食用にもなる。
毒草との間違い。野外で採取する場合、小川のそばや水田周辺の水路沿いなどで見られるが有毒なドクゼリとの区別に配慮が必要である。ドクゼリは地下茎は太くタケノコ状のふしがあり、横に這わず、セリ独特の芳香もないので区別できる。また、キツネノボタンも同じような場所に生育する毒草である。葉が細かく裂けないので比較的容易に区別できるが、個々の小葉だけを取ると似ているので間違えるおそれがある。
和名は、まるで競い合う(競り)ように群生していることに由来する。
コメント
お礼
正子先生の「今日の俳句」に茄子苗の句をとり上げて頂きまして有難うございます。
★豆の花宙に雀が鳴いており 正子
風かおる五月、菜園には今をさかりと蚕豆や豌豆が花を咲かせ、莢も実りはじめています。うららかに晴れた宙には雀がさえずり、いつの時代にも失いたくない田園の原風景が思われます。