★竹落葉わが胸中を降るごとし 正子
かろやかに降りそそぐ竹落葉。自然の動きを深く観察し続ければこそ、それが「胸中を降る」様を、意識できるのでしょう。胸中の入れ替わりには、つい「今年は何々の古葉を捨て」などと意味づけたくなりますが、竹が葉を落とすように自然の季のなすことなのだと、御句に感じた次第です。(川名ますみ)
○今日の俳句
山峡の一家の植田陽を返す/川名ますみ
山峡なので「一家の植田」に、つつましい田が想像できる。植田に風が渡り、陽をよく返している。陽に恵まれて、これから夏を過ごして、実りの秋へ豊かに稲が育っていくことであろう。単なる写生でなく、植田の一家にも心が及んでいる。(高橋正子)
★昼顔や屈託のなき海女の笑み/水原春郎
★昼顔よ汝はそも何故ひといろに/林翔
★昼顔を広げて浜を踏ましめず/鷹羽狩行
★昼顔の咲いて上りの電車透く/岡本眸
★晝顔はみな肌色の熱き色/瀧春一
★ひるがほに紙の日の丸掛かりをり/吉田汀史
昼顔(学名Calystegia japonica)は、ヒルガオ科の植物。アサガオ同様朝開花するが昼になっても花がしぼまないことからこの名がある。つる性の多年草で、地上部は毎年枯れる。春から蔓が伸び始め、夏にかけて道ばたなどに繁茂する。夏に薄いピンク色で直径5~6cmの花を咲かせる。花の形は漏斗形。苞葉が萼を包み込むので、帰化植物のセイヨウヒルガオ(西洋昼顔、学名Convolvulus arvensis)と区別できる。アサガオと違って鑑賞用に栽培されることは、殆ど無い。また、結実することはまれであるが、地下茎で増え、一度増えると駆除が難しいため、大半は雑草として扱われる。黄色のヒルガオは無い。 ヒルガオの花言葉は「絆」。 根で組み合っているので、「絆」という花言葉になったと思われる。
夏の光が強くなりはじめるころから、昼顔の花が咲く。道端などに繁茂する植物とは思えないほど、たよりなげな淡いピンクの花が光りにとけるようで、夏の風景にやさしさを添えている。
コメント
お礼とコメント
正子先生、「山峡の一家の植田陽を返す」の句をお採り上げ下さいまして、ありがとうございます。どのような時も変わらずに、俳句日記を綴られ、ご指導下さいますお姿に、身の引き締まる想いです。
★竹落葉わが胸中を降るごとし 正子
かろやかに降りそそぐ竹落葉。自然の動きを深く観察し続ければこそ、それが「胸中を降る」様を、意識できるのでしょう。胸中の入れ替わりには、つい「今年は何々の古葉を捨て」などと意味づけたくなりますが、竹が葉を落とすように自然の季のなすことなのだと、御句に感じた次第です。