★アカシヤの花に青空寄りかかる 正子
アカシアの木はかなり大きな木に成長すると聞いて居ます。白い花を付けた仄かな香りのするアカシアを見上げられた時、隙間から見える青空が恰もアカシアに寄りかかっているかの様に見えたのでしょうか。「寄りかかる」との表現の面白さと同時にアカシアが大樹で有る事そして作者の優しさが感じられます。 (佃 康水)
○今日の俳句
船窓に見え来る全山島若葉/佃 康水
船窓から島の全山が見え始め、さらに近付くと島を覆い尽くす若葉の鮮やかさに、息をのむような感動を覚える。(高橋正子)
★死火山の膚つめたくて草いちご/飯田蛇笏
★草苺藩主の墓の居並びて/宮津昭彦
★草いちご青春暗き沼もありし/山口冬男
★指こはばる掌に草苺盛るほどに/細野恵久
クサイチゴは本州(岩手県以南)の各地に生育する落葉の小低木。低木と入っても高さは数十cmしかなく、葉も草質であり、イメージは多年生草本である。落葉であると図鑑には記されているが、岡山市では常緑であり、冬にも葉を付けている。気温の低下する場所では落葉となり、丈も低いことから、クサイチゴの名が付いたものであろう。生育地は明るい林縁や草地であり、ポピュラーなキイチゴである。早春に地下茎から新しい茎を出し、開花する。果実が稔るのは5月のおわり頃から6月始めにかけてであり、あっさりとした甘みで食べられる。
草苺は、見かけは草のように見えるが、実は茎は木質ということだ。5月、野山を歩くと木下などに草苺の白い花を見つける。先日5月6日には、近所の駒林神社と金蔵寺を含む山裾で、花と熟れた赤い実を見ることができた。高いフェンスが張られているので、採ることはできなかった。 一昨年は、明治神宮の森で草苺の花を見つけた。意外と多いのかもしれないが、苺といわれるものは、花も実も可憐だ。この5,6年で食べた野の苺は、苗代苺、木苺、草苺。苗代苺は、もう少し後に花が咲き、実が熟れるが、松山市に住んでいたころ、野茨の咲く畑の崖にあったので、沢山摘んだ。草苺は、松山では食べた記憶がないが、横浜には近所の山裾など方々に見られる。フェンスで取り囲んでいるので採るわけにはいかないが、かわいらしい白い花と実をつけている。木苺も草苺と同じ山裾にあって、そろそろ熟れ始めた。オレンジがかった黄色である。
★大いなる森のはずれの草苺/高橋正子
★草いちご金環食のただ中も/高橋正子
コメント
御礼・俳句鑑賞
高橋信之先生 正子先生
(御礼)今日の俳句に「島若葉」の句に素敵な句評を添えてお取上げ頂きまして誠に有り難うございます。あの時見た情景が今も思い出されます。
(俳句鑑賞)
アカシヤの花に青空寄りかかる 正子
アカシアの木はかなり大きな木に成長すると聞いて居ます。白い花を付けた仄かな香りのするアカシアを見上げられた時、隙間から見える青空が恰もアカシアに寄りかかっているかの様に見えたのでしょうか。「寄りかかる」との表現の面白さと同時にアカシアが大樹で有る事そして作者の優しさが感じられます。