★竹皮を脱ぐ孟宗の節短し 正子
筍の皮を脱いで竹の姿に豹変する様子はあっという間で驚かされます。孟宗竹においてはことさらその姿が鮮明で、それを「節短し」と表現されたところに描写力の力強さ、心揺さぶるものがあります。(小西 宏)
○今日の俳句
鶯のしきりに鳴けば孫二歳/小西 宏
鶯がしきりに鳴くと、遊んでいる孫はかわいい盛りの二歳。すくすくと育つ孫と鶯の伸びやかな声が重なり、幸せなひと時。(高橋正子)
★押しあうて又卯の花の咲きこぼれ/正岡子規
★卯の花の夕べの道の谷へ落つ/臼田亜浪
★卯の花や流るるものに花明り/松本たかし
★卯の花曇り定年へあと四年/能村研三
★卯の花のつぼみもありぬつぼみも白/高橋信之
★卯の花の盛りや雷雨呼びそうに/高橋正子
卯の花は、空木(ウツギ)といい、バラ目アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、樹高は2-4mになり、よく分枝する。樹皮は灰褐色で、新しい枝は赤褐色を帯び、星状毛が生える。葉の形は変化が多く、卵形、楕円形、卵状被針形になり、葉柄をもって対生する。花期は5-7月。枝先に円錐花序をつけ、多くの白い花を咲かせる。普通、花弁は5枚で細長いが、八重咲きなどもある。茎が中空のため空木(うつぎ)と呼ばれる。「卯の花」の名は空木の花の意、または卯月(旧暦4月)に咲く花の意ともいう。北海道南部、本州、四国、九州に広く分布し、山野の路傍、崖地など日当たりの良い場所にふつうに生育するほか、畑の生け垣にしたり観賞用に植えたりする。
★卯の花の白きを門に置きし家/河野啓一
卯の花の白さを門に配しているのがいい感覚だ。「置きし」は、画を描いているような、絵具を置くような、詠み方で、光景を絵画的にしている。(高橋正子)
コメント
お礼
高橋正子先生
「鶯のしきりに鳴けば孫二歳」を先生の「俳句日記」にご紹介くださり、たいへんありがとうございました。今でもそのときの感動を思い起こします。
鑑賞
★竹皮を脱ぐ孟宗の節短し 正子
筍の皮を脱いで竹の姿に豹変する様子はあっという間で驚かされます。孟宗竹においてはことさらその姿が鮮明で、それを「節短し」と表現されたところに描写力の力強さ、心揺さぶるものがあります。