薄曇り。
花殻を摘む手に届く春朝日 正子
●ラジオ深夜便で桜守の話があった。今朝は伊那谷の桜守の話。伊那谷と聞いて思い出すのが、花冠同人だった歯科医の河野斉さんは伊那にお住まいだあった。いつの年だったか、2月にしばらく投句がないので、電話で連絡したら、亡くなられたとのことだった。一度、小諸・東京の花冠大会のときお会いしたが体躯のいいかたで亡くなりそうな方ではなかった。斉さんの俳句に興味をもったお孫さんたちも花冠に投句するようになった。家族ぐるみで俳句を楽しまれた。小諸で話をするうち、ご次男だったかのお嫁さんが、私の郷里から来られて、一度行ったことがある、とのことだった。インターネットで花冠に投句されるようになったとは言え、ご縁が深いと感じた。亡くなられた秋、箱いっぱいの林檎が届いた。斉さんが、お孫さんたちのために、林檎の木を買っておられ、その実がなったからとご遺族からお送りいただいた。そんなことをつらつら思いながら桜守の方の話を聞いた。今頃は南アルプスをバックに八重桜が咲いているのだろうかと想像してみた。5丁目の丘からは、富士山の右手はるかに南アルプスが見える。
桜守の方は、「桜を守るなんておこがましい、桜に守られている気持ちなんです。」確かに、木に守られる、木を恃むことはあることだろうと思う。
草田男の句に、句は不確かだが、父母の亡きあと、榎夏樹を恃むといった句があった。
コメント