2月5日(土)

 東山・法然院
★春寒し木を打ち人を呼び出せり   正子
春寒の季節、寂びた佇まいの森閑とした禅寺を訪れる。玄関に着くと魚の形の板が吊るされている。修行僧に食事や起床の時刻を知らせるのに打ち鳴らす魚板の名残りだろうか。家人を呼ぼうと置いてあった木槌で板を叩くと、樹々に反響して、静寂な境内の奥深くから木の音が響いてきます。思いがけない魚板の音に迎えられ旅の妙味や修行僧の生活などが思われます。(柳原美知子)

○今日の俳句
白梅の香りとともに明るさも/迫田和代
白梅の香りには気品があって、だれにでも愛でられるところ。香りだけでなく、陽があたれば白い花はかがやくように明るい。「明るさも」と見てとったのは秀逸。


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